1. ギフテッドは不登校になりやすい?
ギフテッドの生徒様で不登校になってしまう方は少なくありませんが、具体的にはどの程度の方が不登校になってしまうのでしょうか?
また、不登校になってしまう原因としてどのようなものがあるのでしょうか。
①ギフテッドと不登校の関係性
文部科学省の資料(注1)によるとギフテッドうち約3割は不登校もしくは登校渋り(学校に行きたくないなどと話している)であるとしています。
小中学生における不登校の割合は3.2%であるとされているため、ギフテッドは不登校になりやすいと言えます。
②不登校の原因
ギフテッドの生徒様が不登校になってしまう原因として大きく3つ考えられます。
1つずつ紹介していきますので、生徒様の状況と比較してみてください。
(1)知的・技術レベルの差により孤立してしまう
1つ目は「知的・技術レベルの差により孤立してしまう」ために不登校となってしまうケースです。
ギフテッドの生徒様は学校の成績が良かったり、美術・音楽などの芸術性が高かったりするために、周囲からなんとなく近寄りにくい感じがして孤立してしまうことが多くあります。
「〇〇さんには簡単すぎるよね」「〇〇さんはこんなこと興味ないよね」
そんなふうに距離を置かれてしまうと人間関係を作ることもできません。
また、能力が高いがゆえに嫉妬や妬みの対象とされ、「上から目線でむかつく」「自分はできるからって調子に乗っている」といじめのターゲットにさせれる場合もあります。
本来生徒様の将来を明るくしてくれる才能が裏目に出てしまうこともあるのです。
(2)集団行動が難しい
2つ目は「集団行動が難しい」ために学校に行きたがらなくなってしまうケースです。
ギフテッドの生徒様は興味関心のあることにまっすぐにやりすぎて視野が狭くなってしまう傾向にあります。
「これを知りたい」「あの方法を試してみたい」という思いが強くなりすぎて「みんな同じペース」「みんな同じこと」という集団行動に対して
「なんでこんなちんたらやんなきゃいけないの」「なんで自分の好きなことができないの」といった不満が溜まってしまうのです。
また、授業中にふざけてしまう、私語をしてしまうクラスメイトが気になり、イライラしたり、感情的・衝動的な行動に出てしまったりするため、集団での生活を嫌がるようになり、不登校となってしまいます。
(3)学校に行く意味を感じられない
3つ目が「学校に行く意味を感じられない」です。
ギフテッドの生徒様は他の生徒様よりも学習にかかる時間が短く、理解度も深いため、学習においては学校に行くよりも自習をしていたほうがスムーズに進めることができます。
また人間関係においても、共通の話題がなく、クラスで浮いてしまうため、「共通の話題を楽しむ」「友だちに会う」といったことが、学校に行くモチベーションにならないのです。
「勉強も自習でよく、学校にいても1人なら学校に行く意味がない」と、合理的に考えてしまい、学校に行かなくなるのです。
2. ギフテッドで不登校の生徒様にしてはいけない声掛け
次にギフテッドで不登校の生徒様に対してしてはいけない声かけについて解説していきます。
「早く学校に行ってほしい」と気持ちが焦るあまり、生徒様にとってつらい対応をしてしまうケースがあります。
日頃の生徒様への関わりを見直すきっかけとなれば幸いです。
①とにかく学校に行かせようとする
「学校に行くのが自然なこと」「学校に行かないなんておかしい」という考えで生徒様を無理やり学校に行かせてはいけません。
学校に行きたいくない原因が解消されていないまま学校に行っても登校は続きませんし、「親は無理やり嫌なことをしてくる敵」という認識を与えかねません。
また、「学校にいかないならお小遣いなし」「ご飯も抜きにするよ」などと、学校にいかないことでデメリットを生じさせることもNGです。
「学校には行きたくないけど、行かないと困る」状態を押し付けることで生徒様を追い詰めてしまい、引きこもりや家出などの事態を引き起こしかねません。
②学校に行かないことを「甘え・怠け」だと決めつける
ギフテッドの生徒様には生徒様なりの学校に行けない理由があるのですが、それを聞かずに「甘えてるだけだ」「怠けるんじゃない」と生徒様に伝えてはいけません。
たしかに大人からみれば些細で、つまらないことかもしれません。
またはギフテッドの特性による理由のため、よく理解できないかもしれません。
しかし、生徒様が苦しんでいるということは事実です。
「甘え・怠け」だと指摘したとしても学校に行けるようになるわけではありません。
生徒様の話を聞き、受け入れたうえで、批判ではなく建設的な話し合いを行っていく必要があるのです。
③「言うこと聞かないなら好きにすれば?」と投げやりになる
不登校の生徒様にとって、家族とのつながりは貴重な人間関係でもあり、家族は生徒様が学校復帰できるかどうかのキーパーソンです。
そんな家族、特に保護者様から見放されては生徒様の学校復帰はさらに遠のいてしまいます。
またギフテッドである生徒様の特性を1番に理解しているのも保護者様です。
保護者様が環境を整えてあげなくては、生徒様はもっている才能を活かしきることができません。
保護者様の協力なしには生徒様は生きていくことができないのです。
将来に焦りを感じたり上手くいっていない現状にイライラしたりしている生徒様は時に保護者様に対して心無い言葉を浴びせることもあるでしょう。
そんなときはぐっとこらえ、保護者様が生徒様の不安定さに巻き込まれないよう距離をとったり、冷静に言葉を返すことで建設的な話し合いに持っていけるようにしていきましょう。
3. 生徒様の状況別、保護者様の対応方法と家でのおすすめの過ごし方
不登校の生徒様への対応方法は、生徒様がどの段階にいるかによっても異なります。
そこで生徒様の状況別の保護者様の対応方法と家での過ごし方について解説します。
①学校に行けている場合
言うまでもありませんが、学校に行けている場合はそのままのペースを維持していけるようにしましょう。
ギフテッドの生徒様は繊細な部分がありますので、環境の変化に敏感です。
なるべく変化を起こさないように朝食の時間から学校へ行く時間、帰ってきてからのルーティンを崩さないようにしていきましょう。
学校行けているとはいえ、いつ不登校になるかわかりません。
普段の様子をよく観察し
「いつもと違うところはないか」
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を確認し、生徒様の変化を敏感に感じられるようにしてあげてください。
②「学校に行きたくない」と言い始めた場合
生徒様が学校に行きたくないと言い始めた際には、しっかりと生徒様の言葉に耳を傾けてあげてください。
どうして学校に行きたくないのか、どうなったら学校に前向きに通えるのかを一緒に考えていきましょう。
なかには保護者様には理解できない理由で学校に行きたくないと話すこともありますが、頭から否定はせず、生徒様の気持ちと保護者様にできることの落としどころを探すことで、できるだけストレスのない通学を目指していきましょう。
またこの段階で万が一に備え、学校以外の場所の情報を集めていきましょう。
「学校に行きたくない」から「学校に行かない」に発展した際に社会とのつながりが途切れないように準備しておく必要があります。
ご自宅では生徒様のしたいことを目一杯できる環境を設定してあげてください。
パソコンで調べ物をしたり、プログラミングに熱中したり、楽器の演奏や絵を描いたりするなど、生徒様が好きなことを好きなだけできる時間を作ってあげることで、ストレス発散とともに自分の得意分野を伸ばすことができます。
③学校に行けてない場合
生徒様が学校に行けていない場合は無理に行かせることはせず、生徒様に合った環境に身を置けるようにしてあげましょう。
ギフテッドの生徒様には素晴らしい才能がありますので、自分で知識を増やしたり技術を磨くことには困らない場合がほとんどです。
必要なら家庭教師や音楽教室、絵画教室で生徒様のペースで学習を進めていきましょう。
社会性についても学校以外の場所、例えばフリースクールやギフテッドグループに参加することで伸ばしていければよいでしょう。
中学校や高校については内申書を重視しない学校や登校日の少ない学校を選ぶなど、不登校やギフテッドに理解のある学校へ進学する方向性で考えていけるといいですね。
家庭では学校に行けてない負い目を感じさせることがないように、生徒様の得意なことで評価された部分や結果を出せた部分の話を積極的にしていきましょう。
学校に行けず一番困るのは「自分はダメなやつだ」「何をやっても上手くいかないんだ」と自尊心が低下してしまうことです。
そうならないように家庭でサポートしていく必要があります。
4. ギフテッド、不登校に関する相談先
最後にギフテッドと不登校で悩んでいる生徒様と保護者様が利用できる相談先について紹介していきます。
ギフテッドの特性と不登校はご家族だけでなんとかできる課題ではありません。
これから紹介する機関を上手に活用してよりよい方向へと生徒様を導いてあげてください。
①教育機関
なかには学校の対応方法に不信感をもっている保護者様もいるかもしれませんが、学校をはじめとする教育機関から得られる支援は決して少なくありません。
学校の方針にもよりますが、教室での授業が難しい場合は放課後に補習の時間を設けてもらったり、スクールカウンセラーや相談員に個別対応をしてもらえたりする場合があります。
さらに進路先についてもたくさんの情報を持っており、生徒様にあった学校選びも親身に相談に乗ってくれるでしょう。
学校以外にも適応指導教室に通うことで出席扱いになるだけでなく、社会性を培ったり、年齢以上のレベルの勉強をみてもらえたりとギフテッドで不登校の生徒様にあった学習環境を提供してくれます。
②精神科・心療内科
ギフテッドは病気ではありませんので、医療機関にかかったとしても診断名がつくことはありません。
しかし、ギフテッドの特性や不登校によるストレスからくる症状として、不眠や過眠、抑うつ状態などが出る場合もあります。
それらの症状が悪化して、うつ病や適応障害などに発展する恐れもあります。
そうなる前にあらかじめ医療機関に繋がっておき、症状を薬で抑えながら、万が一精神疾患を患った際にもすぐに動けるようにしておくことで、生徒様が苦しい思いをする時間を短くすることができます。
③カウンセリングルーム
1ヶ月〜1週間に1回などのペースでカウンセラーに話を聞いてもらうだけでも精神的な負担は少なくなります。
小学生であればプレイセラピーや箱庭療法を通して心のもやもやを外に出すこともできます。
保護者さまにとっても話を聞いてもらえるだけでなく、生徒様への接し方や今後の方針、心理学的な助言を得ることができます。
カウンセリングは大体1セッション50分程度であり、料金はカウンセリングルームによって異なり、1セッション5千円から1万円のところもあります。
カウンセリングに対して抵抗感のある方ははじめに大学院に併設されているカウンセリングルームを利用することをおすすめします。
大学院生が担当することもありますが、教授からの指導をきちんと受けています。
料金も千円から3千円のところが多く、リーズナブルにカウンセリングを受けることができます。
まとめ
今回はギフテッドと不登校の関係性、ギフテッドで不登校の生徒様に対してしてはいけない声かけと状況別の適切な対応方法、利用できる相談機関について解説しました。
ギフテッドと不登校から生じる問題はご家族だけで解決するのは難しく、生徒様だけでなく保護者様にも精神的負荷がかかってしまいます。
生徒様と保護者様ののストレスにならないよううまく立ち回りながら、いろんな機関のサポートを受けて、生徒様にとってよりよい道を、生徒様と一緒に探してあげてください。
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