1.高校生の子どもが勉強しないことに対して悩む親は、どれくらい多いか
「子どもが全然勉強しない…どうしたらいいの?」と悩む保護者様は、意外にも少なくありません。同じような悩みを抱えている人がたくさんいると知るだけでも、気持ちが軽くなることがありますよね。実際には、どれくらいの保護者がこの問題で悩んでいるのでしょうか?
ここでは具体的なデータや事例を通じて、多くの家庭が直面するこの問題の実態を掘り下げていきます。
1-1.悩みを抱える親は約7割以上
多くの保護者が子どもの勉強について不安を感じています。
⼀般社団法⼈全国⾼等学校PTA連合会・株式会社リクルート合同調査第11回「⾼校⽣と保護者の進路に関する意識調査」(2023年)によると、『高校生が感じている親がよく使う言葉』で、『勉強しなさい』が第3位(32.8%)となっております。また、保護者の約70%が進路に関するアドバイスが難しいと感じ、悩んでいるというデータがあります。これは、7人中5人以上が同じ問題に直面している計算です。
なぜこれほど多くの保護者が悩むのか?
高校生は、思春期特有の自立心や反抗期の影響を受けやすい時期です。このため、「親が勉強しなさいと言うほど反発する」という構図が家庭内で生まれやすいのです。
悩みを抱える親が孤独を感じる理由
子ども自身は「問題ない」と言い張ることが多く、周囲に相談しにくいことが要因です。その結果、保護者が「自分だけがこの問題に苦しんでいる」と感じてしまいます。
1-2.「勉強しない」以外の関連した悩み
勉強以外の要因が悩みの根本になっている場合もあります。
「勉強しない」だけでなく、生活習慣やスマートフォンの使い方、進路への無関心も親の不安を助長する要素です。例えば、夜遅くまでスマホをいじる習慣が勉強の妨げになっていることもあります。
関連する悩みの具体例としては以下のものが挙げられます。
・ スマホやゲームに夢中で勉強に手がつかない。 ・将来の目標がなく、進路に対する意識が低い。 ・塾や家庭教師をつけても成果が見えず、親だけが焦る。
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これらの要因が「勉強しない」という現象を引き起こす場合も多いです。
1-3.周囲と比べて感じる焦り
「他の子は勉強しているのに…」というプレッシャーが悩みを深めます。
周りの友人や親戚の子どもが受験勉強に励んでいる話を聞くと、つい自分の子どもと比べてしまうのが親心です。「どうしてうちの子だけ…」と感じることが悩みを一層大きくしてしまいます。
しかし、実際には誰もが完璧ではありません。そして、周囲の話は必ずしも全て真実ではありません。表面上は努力しているように見えても、同じように悩んでいる家庭は数多くあります。「他の家庭も同じ問題を抱えている」と知ることが解決の第一歩です。
2.高校生が勉強しない理由にはどのようなものがあるか
高校生が自発的に勉強しない背景には、実はさまざまな理由が隠れています。ただ「怠けている」と決めつけるのは簡単ですが、それでは本質的な解決にはつながりません。
このセクションでは、勉強しない理由を明らかにし、どのようにアプローチすれば良いかのヒントを探ります。
2-1.モチベーションの欠如が主な原因
「なぜ勉強するのか」が見えない高校生は行動を起こしにくい傾向にあります。
勉強に対する目的意識が薄い場合や目指すべき夢が漠然としている場合は、日々の勉強に対するやる気を持ちにくくなります。高校生にとって、受験や学業は「先が見えにくい長期的な目標」の過程です。
⼀般社団法⼈全国⾼等学校PTA連合会・株式会社リクルート合同調査第11回「⾼校⽣と保護者の進路に関する意識調査」(2023年)からも、高校生の81%が高校2年生段階で進路について考えている一方で、67%が進路のことを考えている時に不安を感じていることが分かります。
不安を抱える多くの生徒様は『やりたいことが見つからない』や『自分に合っているものが分からない』という気がかりがあるようです。このような要因が「なぜ勉強するのか」という目的を見出す際の障壁となっているのです。
2-2.学習環境が整っていないことも原因
集中できない環境は、子どもの学習意欲を削ぐ要因になります。
周りが騒がしかったり、スマートフォンやゲーム機がすぐ手に取れる状態では、どうしても勉強への集中力が削がれます。家庭の学習スペースが整っていない場合も、子どもにとっては「勉強しよう」という気持ちを抱きにくくなります。
具体例として、机の上を整理し、適度な静寂を保つ環境を作るだけで、学習効率が上がるケースが多く見られます。
2-3.成績が伸びないことへの諦め
努力しても結果が出ないと、子どもは「どうせ無駄」と考えやすくなります。
高校生は、結果が見えないと努力を続けることが難しくなります。テストや模試で何度も低い成績を経験すると、「やっても意味がない」という諦めの感情が強くなり、勉強自体を避けるようになることがあります。
効果的な学習法を教えることで成功体験を積ませることや、スモールステップを明確にして1つ1つクリアしていく感覚を身につけさせることが重要です。
小さな成功体験を積み重ねることで、少しずつ自信を取り戻し、再び勉強に向かう姿勢を見せる子どもも多くいます。
3.勉強しないことを放っておいた場合、どうなってしまうか
「勉強しないのは一時的なことだから」と見過ごしていませんか?確かに成長期の高校生には波がありますが、放置することで取り返しのつかない状況に陥る可能性もあります。
このセクションでは、勉強をしない状態が続くとどのようなリスクがあるのかを具体的にお伝えします。
3-1.学力の遅れが蓄積し、将来の選択肢が狭まる
高校時代に学ぶべき基礎学力が欠けると、進学や就職の選択肢が限られる可能性があります。
高校生にとって、勉強は進学や将来のキャリアを築くための大切な基盤です。この基礎が弱いと、進学先や希望する職業への道が閉ざされるリスクが高まります。
例えば、数学での習熟度が低いがために、理系の学部への大学進学を希望していた生徒が理系を諦めざるを得ないということはよくあるケースです。国立大学を志望する場合には多数の科目を用いて受験する必要があるため、取り戻すのに膨大な時間と労力を要します。ですから、早めの対処が必要です。
3-2.自信を失い、意欲を取り戻すのが難しくなる
成績不振が続くと「どうせ自分には無理」と感じ、悪循環に陥ってしまいます。
勉強しないことでテストの点数が低下し、その結果「自分はダメだ」と感じるようになります。この負のスパイラルに入ると、自分を肯定する力が弱まり、意欲を取り戻すのが一層難しくなります。
逆に、東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究プロジェクト 「子どもの生活と学びに関する親子調査2017」結果速報によると、成績の上昇が自己肯定感を高めることに繋がっています。そのため、勉強への第一歩を促す支援をし、成績を上昇という成功体験を積ませるが重要となるのです。
3-3. 社会性や責任感の欠如につながる可能性
勉強を怠る習慣が、「やるべきことを後回しにする」姿勢を助長してしまいます。
勉強は単なる学力向上の手段だけではなく、自己管理能力や責任感を育む重要な機会でもあります。これを怠ると、他の物事にも消極的な態度を取る習慣が形成され、社会に出てから苦労する可能性が高くなります。
具体的には締切を守らない、目標を設定できないといった問題行動につながりやすい傾向があります。勉強を通じて得られるスキルが、社会での成功に直結することを忘れてはいけません。
4.本来高校生はどのように勉強すべきか
「高校生に適した効果的な勉強法って何だろう?」と悩む親御さんは多いのではないでしょうか。高校生の学習は中学生とは異なり、より主体性が求められます。
このセクションでは、勉強の計画の立て方や、実践的な方法を分かりやすく解説します。これを知ることで、親子で「正しい勉強」を進める道筋が見えてきます。
4-1.学習計画を立てることが成功の第一歩
計画を立てずに勉強を始めるのは非効率です。
高校生にとって、学ぶ内容は膨大です。とくに教育課程が新課程へ移行して、学ぶべきことは増加傾向にあります。そのため、まず何を優先して取り組むべきかを明確にする計画が必要です。
「目標設定→細分化→進捗チェック」の流れを取り入れると、無理なく計画を実行できます。そして、全体像を把握しやすい計画が立てらるかどうかが鍵となります。見通しが立ってあとは実行するのみの状態は、モチベーションの維持にもつながります。
4-2.重要なのはアウトプットの量を増やすこと
インプット(読む・聞く)だけでは記憶に定着しません。
オンデマンド式の講義を見て復習する生徒が多いですが、アウトプットを意識した勉強が必要です。ですから、高校の学習内容は単に覚えるだけではなく、問題を解くなどして実践力を養うことが重要となります。
具体的には、問題集を解く、友達に教える、模擬テストに取り組むなどが効果的です。心理学的には、「教えることで学びが深まる」とされており、自分でアウトプットすることで知識がしっかりと定着します。
4-3.短時間集中型の勉強法を取り入れる
長時間机に向かうだけでは非効率です。短時間でも集中力を活用する方法が効果的となります。
例えば「ポモドーロ・テクニック」では、25分集中して5分休むリズムを繰り返します。この方法は集中力を保ちやすく、勉強時間の質を高めます。
研究でも、短時間の集中が長期的な成果を生むことが示されています。また、この方法を実践すると、短い時間でスモールステップが踏めるため、勉強に対する苦手意識が軽減されやすいです。
4-4.自分に合った勉強法を”自分で”見つけることも大切
すべての勉強法が万人に合うわけではありません。なぜならば、視覚型、聴覚型、動作型など、学習スタイルには個人差があるからです。例えば、図解を活用することで理解が進む生徒もいれば、音声教材で学ぶ方が効率的な生徒もいます。
ですから、自己分析をしっかりと行い、最適な勉強法を試すことで無駄を省き効果を最大化できます。ツールやアプリを活用して、自分に合った方法を見つけるのもおすすめです。このようにして自分のスタイルを見極めるために学習法を模索し続けることが、後に大きな成績の伸びを生むのです。
5.家庭内ではどのようなサポートを行うのがいいのか
家庭でどのようにサポートすれば、高校生が自ら勉強に取り組むようになるのか悩んでいる保護者様は多いでしょう。特に、親子間のコミュニケーションがスムーズでない場合、かえって反発を招いてしまうこともあります。
このセクションでは、「NGな対応」と「ベストな対応」をはじめ、家庭で取り組むべきサポート方法について具体例を交えながら解説します。これを知れば、今日から家庭で実践できるサポートの第一歩を踏み出せるはずです。
5-1.NGな対応と声かけ
叱責やプレッシャーを与える声かけは逆効果です。「どうして勉強しないの?」や「このままだと落ちるよ!」といった声かけは、本人にとってプレッシャーとなり、やる気を失わせる原因になります。
特に高校生は、自立心が芽生え始める時期であり、親の干渉を嫌う傾向があります。叱責やプレッシャーは結果的に子どものやる気を削いでしまうことに繋がりますので、共感や対話を重視したアプローチが必要です。
5-2.ベストな対応と声かけ
共感とサポートを軸にした声かけが、子どもの心を開きます。「最近学校どう?」や「何か困っていることない?」など、日常会話を通じて子どもの気持ちに寄り添う声かけが重要です。親が子どもの立場に立ち、一緒に問題を解決しようとする姿勢を見せることで、自然と勉強に向かう意欲が生まれます。
例えば、「勉強の計画を一緒に考えてみようか?」という提案は、子どもにとっても受け入れやすいアプローチです。
5-3. 勉強環境を整える工夫
静かで集中しやすい環境を整えるだけで、学習効率は大きく向上します。
また、テレビやスマートフォンなどの誘惑が多い場所では、集中力を保つことが難しいことは大人も同じではないでしょうか。
具体的には、専用の勉強スペースを設けたり、学習時間に合わせてスマートフォンの使用を制限する工夫が効果的です。さらに、子ども自身が「自分の場所」と感じられるスペースを作ることで、勉強に対する意識が変わります。
5-4.達成感を共有し、モチベーションを高める
子どもの努力を認め、成功体験を共有することでやる気が持続します。
小さな目標でも達成した際には「すごいね!」や「頑張ったね!」といった言葉をかけましょう。
達成感を味わうことで、「もっと頑張りたい」という気持ちが芽生えます。生徒様は素っ気ない態度をとるかもしれませんが内心嬉しいものです。
5-5.親自身の行動で手本を示す
親の姿勢が子どもの行動に与える影響はとても大きいものです。
例えば、親が本を読んだり、自分の目標に向けて努力している姿を見せることで、自然と勉強の大切さを感じるようになります。
子どもは親の言葉よりも行動を見て学ぶもの。親自身が前向きな姿勢を示すことで、子どももポジティブな変化を見せるでしょう。子供が勉強しているときに、自分も一緒に何かに取り組むことが手っ取り早いです。「一緒に頑張っている」という感覚が子供にとっては大きな安心感に繋がります。
まとめ:親子で未来を切り拓くために
高校生が勉強しない状況に直面したとき、親としてできることはたくさんあります。焦りや不安を感じるのは当然ですが、大切なのは、子どもの気持ちに寄り添いながら一緒に前進することです。
そのためにはまず、「なぜ勉強しないのか」を深掘りすることが第一歩です。勉強しない理由は心理的な要因や環境的な要因など様々あります。原因をしっかり理解することで、的確な対応が可能になるのです。たとえば、自己肯定感が低下している場合には、子どもを褒める機会を増やし、小さな成功体験を積ませることが効果的です。
また、親の対応次第で子どもの未来は大きく変わります。厳しく叱るのではなく、子どもの気持ちに共感しながら適切にサポートすることが、学習意欲を引き出すカギです。ポジティブな声かけを心がけ、「ここまでできたね!」などの言葉で子どもの自己肯定感を高めていきましょう。
さらに、行動を通じたサポートが子どもの信頼を生むことも大切です。親子で学習計画を立てたり、進捗を一緒に確認することで、子どもは「支えられている」という安心感を得られます。そして、小さな目標を達成するたびに家庭全体で喜びを分かち合うことも、勉強のモチベーションにつながります。
もし家庭だけでの対応が難しいと感じたら、専門家の力を借りることも選択肢の一つです。学校の先生や家庭教師のサポートを受けることで、子どもに適切な学びの環境を提供できます。そして、親自身も子どもとともに成長を楽しむ姿勢を持つことが、子どもの学習意欲をさらに引き出すポイントです。
この記事を参考に、焦らず、前向きな気持ちで生徒様をサポートしてください。子どもの未来を切り拓くカギは、親子で手を取り合い、一緒に進むことです。
▼当会では、高校生への指導に特化した家庭教師をご紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
【参考文献】
・第11回「⾼校⽣と保護者の進路に関する意識調査」⼀般社団法⼈全国⾼等学校PTA連合会・株式会社リクルート合同調査(2023年)
・ 「子どもの生活と学びに関する親子調査2017」結果速報 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究プロジェクト
・アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門( アスキー・メディアワークス出版, Staffan Noeteberg (著), 渋川 よしき (翻訳), 渋川 あき (翻訳))