1. 青山学院横浜英和中学校とは?
横浜市営地下鉄蒔田駅から徒歩8分、階段を登って『英和学院「ここ入る」』が目印です。
100年以上の伝統校で、2016年より青山学院横浜英和中学高等学校に改称されました。神奈川のMARCHの系列校として人気を集めており、特に最終回の試験では2024年は6倍、2023年は9倍の倍率となり人気が加熱しておりました。
入試問題は基本から標準レベルが中心となっていますが、設問数が比較的多く、速く正確に設問を解答するということが求められています。
校風は全身がキリスト教系の女子校のため厳しめの印象に感じる方が多いです。ただ保護者様からするとちょうどよい、必要な厳しさと感じる方が多いようです。
学校では約7割の生徒が青山学院の内部進学の枠を保有し、実際に6割程度が内部進学するという形になっています。
2. 青山学院横浜英和中学校の入試傾向について
それでは青山学院横浜英和中学校の入試について、具体的にチェックしていきましょう。
各教科では特に2024年度入試でポイントになった問題を厳選して解説します。
①青山学院横浜英和中学校入試の特徴
試験はA日程、B日程のほか帰国生試験が2回実施されます。今回はA日程、B日程を中心に紹介します。
<A日程>
算数 100点(50分)
国語 100点(50分)
理科 50点(30点)
社会 50点(30点)
4科目 300点満点
<B日程>
算数 100点(50分)
国語 100点(50分)
2科目 200点満点
<2024年度 A日程試験結果(男女合算)>
合格最低点 166点
合格最高点 非公表
合格者平均点 184.7点(61.5%)
受験者平均点 154.7点(51.5%)
<合格者平均得点>
算数 61.3点
国語 70.6点
理科 24.4点
社会 28.4点
<2024年度 B日程試験結果(男女合算)>
合格最低点 166点
合格最高点 非公表
合格者平均点 131.9点(65.9%)
受験者平均点 99.3点(49.6%)
<合格者平均得点>
算数 62.7点
国語 69.2点
共学校ですが女子の割合が大きいこともあって、国語社会といった文系科目の得点が高くなっています。国語は合格へ向けて7割は得点したいところです。算数は65%、理社は60~65%の得点率が目標となってきます。
②算数
例年大問5題構成となっています。レベルは標準的で得点できる分野をしっかり作り、ミスなく得点できるようにすることが大切です。
大問1は計算問題と基本の小問集合です。小数分数といった計算問題からはじまり、特殊算や平面図形などの問題が続きます。
大問2は標準レベルの小問集合です。対策準備については大問1と同じように進めましょう。
大問3〜5は場合の数、整数、速さ、流水算、図形といった問題が出題されています。小問ごとに難度が高まっていくような構成になっているので、得点できるものを取り切るところが大切です。
2024年度特徴的だった問題は大問4の速さの問題でした。中学受験をするのであれば必ず解くことになる速さの問題ですが、お手本のような問題でした。問題文が長いので読みにくく感じるかもしれませんが、ちゃんと読み、手順を追って解答することができれば全問正解も狙えます。しっかり得点したい問題でした。
③国語
大問5題構成にて出題されます。合格者の国語の得点率が7割ほどあり、ミスなく得点してくことが必要な入試問題です。
大問1と2では漢字の読みや書きと語句の問題です。大問3は文脈整序問題でした。いずれも難度としては標準的です。大問4と5では合わせて10000字になる長文の読解問題が出題されたこともあり特徴的でした。選択肢と書き抜きの問題が中心で記述問題は数題出題される傾向なので過去問題で練習もしておきたいところです。
2024年度特徴的だった問題は大問5の小説文でした。場面展開も多く人物の心情変化もあり受験生にとっては進めにくかったのではないかと思います。文学的文章では人物の変化、場面の変化、といったところを情景描写などから読みとれるようにしておきましょう。
④理科
大問4題構成になっており、理科四分野がバランスよく出題されます。年によって主題順がかわるため、分野ごとに解説します。
化学分野は水溶液、気体の性質、溶解度、中和といった内容が出題されています。化学では計算問題が出題されることも多いですから、質量や体積の計算問題は十分に演習しておきましょう。
生物分野はミツバチの生態、分類、植物など幅広く出題されます。基本的な知識を抑えた上で昆虫や植物の生態、分類などは得意にしておきたいところです。
地学分野は気象、火山、天体などについて出題されています。太陽や天体の日周運動、年周運動などは十分に理解しておきたい問題です。
物理分野は電気、物質の性質、力のつり合いなど受験生が苦手としがちな分野が出題されます。ここは焦らず弱点が出ないように準備をし、本番は得点できるものをしっかり得点することがポイントです
2024年度特徴的だった問題は大問3の地学の問題でした。資料が多くそれがストレスに感じた受験生も多いかもしれません。ですが、資料が多いということは読み取っていければ解答に辿りつけるということでもあります。制限時間があるなかで、進めるのは大変ですが、落ち着いて取り組むことができれば大丈夫です。
⑤社会
大問3題構成で出題されており、地理、歴史、公民といった出題が基本です。
大問1は地理の問題です。テーマに沿って問題が出題されていくという形式で、図や資料を使った問題、地図を使った問題などが出題されています。資料などは普段から読み取ってなれておきましょう。
大問2は歴史の問題です。下線部に対して解答していくように出題されます。2024年度は環境問題を織り混ぜた歴史の問題でした。
大問3は公民の問題です。例年国際関係や外交といった現代社会の内容が扱われることが多くなっています。2024年度は女子サッカーのワールドカップを題材にしながら、経済、現代社会といった分野の設問に解答していく形式でした。
2024年度特徴的だった問題は大問3の最後の記述問題でした。フェアトレードに関して語句指定がある中で解答する問題でした。語数指定はないものの100字程度で的確に説明する必要がある差がつく問題でした。もちろんしっかりと準備ができていれば十分得点できる問題でした。
⑥問題の形式等が似ている学校は?
併願先として多い中央大学附属横浜中学校、合格のしやすさを考えていくのであれば同じ附属校の関東学院中学校などの問題などを活用していくとよいでしょう。
また同じ青山学院系列の問題も練習しておくことも役立つと思います。
3. 青山学院横浜英和中学校を受験する際の併願パターンは?
受験校を決めるにあたっておすすめなのは「第一志望校の受験日までに合格」をしていることです。どの生徒様にとっても初めての受験。併願校で合格して本命に望むことができるかどうかは大きな安心材料になります。
1月に受験する併願校から2月2日まで徐々にステップアップして受験をすることが個人的にはおすすめです。
①1月受験校
難度を考えると埼玉、千葉の学校は特に受験する必要はありません。2月1日の青山学院横浜英和中学校の本番へ向けて十分な準備をしておきましょう。
②2月1日
<午前>青山学院横浜英和中学校 |
午前は、第一志望校です。ここで全力を出し切りましょう!
午後の候補になってくるのは神奈川大学附属中学校や、山手学院中学校などになります。
③2月2日
・中央大学附属横浜中学校・法政第二中学校・横浜雙葉中学校 |
同じく附属系列の中央大学附属横浜中学校の併願が人気です。また法政大学第二中学校や、横浜雙葉中学校中学校を受験する生徒様もいますので、レベル別に出願を考えましょう。
④2月3日
・青山学院横浜英和中学校・関東学院中学校・山手学院中学校 |
第一志望校の2回目の受験日です。レベル差が大きくなければチャレンジしたいところです。そうでなければ関東学院中学校の受験が良いと思います。
⑤2月4日
・法政大学第二中学校・田園調布学園中学校・神奈川大学附属中学校 |
難度を考えるとこの日までには受験は終えておきたいところです。
⑥2月5日
・桐蔭学園中学校 |
難度はすこし上がってしまいますが、共学、環境といったところを考えていくと残されているのは桐蔭学園中学校の受験ということになると思います。
4. 青山学院横浜英和中学校の受験対策方法
青山学院横浜英和の入試問題はバランスよく準備をしておく必要があります。
まずは基礎の学習を徹底しましょう。基本の土台があって初めて力が生きてくる問題も多いですから、早めの準備とたっぷりと余裕を持った学習、そして勉強だけでなく様々な自然、社会といったものに興味関心を持つことも大切です。
それでは具体的に解説していきます。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学4年生
受験勉強は小4から始めましょう。
算数 | 小4までに算数は特殊算(周期算・植木算・つるかめ算など)の考え方や図形の理解を深めたいところです。 |
国語 | 国語は読書量を増やし、説明文読解に触れる機会を増やすことが大切です。 |
理科 | 理科は4分野が満遍なく出題されるため小4生の段階ではまず中学受験教材を使って学習をスタートし、百科事典や図鑑を見て知識を広げておくことをしましょう。 |
社会 | 社会は地理、歴史、公民といった分野の出題があるため地理は地図帳や資料を読み、歴史は歴史まんがなどを活用、公民は新聞やニュースを見るようにしておきましょう。興味関心を日常的に広げるのが大切です。 |
(2)小学5年生
受験科目の学習スタートです。「算数国語は小5で一通りの学習を終え、理社は図表や地図など知識を深める」ようにしましょう。
算数 | 算数は小5までで単元ごとの学習を完了しましょう。 |
国語 | 国語は記述問題と文法事項の確認を進めましょう。文法の学習が必要なのは問題に文法が出題されるからだけでなく、選択問題を論理的に考えて解くことと、記述問題を正確に書けるようにするため必要です。 |
理科 | 理科は計算が必要な問題、速さ、質量、体積の問題を十分演習しておきましょう。 |
社会 |
社会は近現代の統計が揃っている時代の資料を使った問題を解いておき、教科書にも出てくる農産物の生産量、工業製品の出荷額など目を通してください。
社会の教科書のグラフ、資料の読み取りの時間を作ることもやっておきましょう。 |
(3)小学6年生(4月〜6月)
全領域を完成させて総合演習に入る時期です。この時期には入試問題を演習しましょう。自分で対策するというよりも、志望校対策をする中学受験塾に通って、効率よく仕上げ学習をするのがよい時期です。
算数と国語は総合演習です。志望校以外の入試問題で構成された演習問題を解きながら実力養成をしましょう。志望校の入試問題は9月以降にとっておき、入試本番を想定した過去問演習で使うのがよいです。
この時期は時間内に問題を解く、正確にミスなくできるようにする、そして得意分野を作っておく練習をする時期です。復習ノートを作って間違い直しをして、自分の弱点分野にあたる学習を復習しておきましょう。
理科社会も分野別の学習から分野を横断した入試問題形式の学習を進めましょう。この段階で知識不足がないように、小4、小5の学習を進めておきたいところです。
(4)小学6年生(7月〜8月)
まとめの時期です。基礎、標準レベルの問題で失点しないことが中学受験では重要なため、夏期講習などを通して徹底して基礎力を固めましょう。そして勝負を分けるのが難度の高い問題です。
理社はここがまとまった弱点補強の機会です。分野別に復習をしていくこと、資料を読み解いて知識を深めることなどやりたいことはたくさんありますが、優先準備を決めて取り組みましょう。
塾では志望校別のテキストを使って対策をする時期です。この時期は成果重視で学習塾などの環境も上手く使うべきです。また、ともに同じ志望校を目指して学習する同級生がどの程度のレベル、到達度なのかを比べ合うことも重要な経験です。
(5)小学6年生(9月~11月)
志望校の過去問題の演習時期です。第一志望校と併願校の過去問題を演習し本番力をつけていきます。試験慣れをして、最後まで集中しきって解答できるように、この時期にリズムをとって進めていきます。最低でも過去問題は10年分。一度ではなく二度三度と解きなおしをします。
この時期の学習のポイントは「本番力の養成」です。入試本番の試験時間、試験問題を意識した学習を進めて本番で得点できる力をつけます。
詳しくは「過去問題対策方法」に記載していますのでそちらもご覧ください。
(6)小学6年生(12月~1月)
入試本番へ向けての最終調整の時期です。この時期には志望校、併願校、入試スケジュールなどはほぼ決まっていますので、試験日から逆算して過去問題の演習と弱点補強、日々のルーティンとしての問題演習などを進め、万全の状態で本番を迎える準備をする時期です。
規則正しい生活リズムを意識して、健康的な生活を意識しましょう。受験のことを考えると集中力のピークを午前中に持っていけるようにしましょう。
②青山学院横浜英和中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
青山学院横浜英和中学校のような特徴のある入試科目の学校は次のように進めるのがおすすめです。
- 入試本番と同じ時間、時間割で問題を4教科解く
- 自己採点をして解説をよく読む
- 該当分野の問題演習を進める
- 間違えた問題は再度チャレンジする
この4つです。
(2)いつから解き始めればよいか
標準的な開始時期は小6の9月です。
過去問題の対策は、4教科の学習と演習が終了した後に実施しましょう。受験勉強のなかで、過去問題を使った学習は本番の次に重要と言ってもいいくらいの大切な学習です。
雰囲気を味わいたいので大問1つだけ昨年度の問題をやってみるといったことは避けて丸々1年分解くことがおすすめです。
(3)何年分を何周解けばよいか
4教科で10年分は解いておきましょう。時間に余裕があれば15年分解いても良いと思います。
ただし、1度解いて終わりではなく、解き直しと再チャレンジを含めても同じ年度を最低3周は解いておきたいところです。
入試の過去問題はどの問題が出題されても、バッチリできるようにしておくのがベストです。
算数 | 算数は特に勝負を分ける科目です。最低10年分を3周は必ず、問題の独自性を考えるとさらに追加して過去問題の演習はしておきたいところです。 |
国語 | 国語は10年分を3周必ずしておきましょう。そして記述問題の根拠を時間内に見つけ、文構造を組み立てて解答する練習をしっかりしておきましょう。 |
理社 | 理社についてはまずは10年分。復習は2周分でも足りるかもしれませんが、分野ごとの演習として遡って問題を解いておくのはありです。ただ、問題を解く前に単元別の復習をよくしておくべきなので、得点と時間をよく考え、相談しながら決めましょう。 |
③保護者様にできるサポート内容
(1)生徒様のモチベーションを高める
受験へ向けて最も成績を左右するのは生徒様のモチベーションです。高いモチベーションを維持するには身近にいる保護者様がよいパートナーになっていることが望ましいです。生徒様は怒ったり、叱られるということよりも「信頼され期待される」ことのほうを望んでいます。
特に学習ではテストの点数などで落ち込んだり、フラストレーションがたまることがあります。その時によく話を聞いて、優しいアドバイスや前向きな言葉がけをしていただくだけで生徒様はまた頑張ろうと思って行動に移せます。
特に親子の関係では、「生徒様の意見をよく聴く」ことを意識してください。
(2)スケジュールの管理、ペース配分などのサポート
小学生が苦手なところとしてどの生徒様もあるのがスケジュール管理です。中学受験をする小学生はある意味アスリートと同じような状態にありますので、マネジメントを保護者様がすると学習に集中できるようになります。
いつまでに何を終わらせるか?といったことも生徒様だけに任せてパンクしてしまうよりも、ご家庭でオープンにして「いつまでに何をやる」という目標を立てたり、「うまくいかなかった場合にどうリカバリーするか」などを管理していただけると生徒様も安心して学習に集中できるようになります。
(3)学習環境の構築
学習環境は中学受験ではとても重要なポイントです。ここでの学習環境は勉強部屋のような施設・設備だけではなく、使う教材や通う塾のことも示しています。
多くの方は中学受験塾に通塾されて準備すると思いますが、教材や塾選びも大切です。どのくらい生徒様の面倒をみてくれるか、相性はどうか?といったところまで生徒様にすべて考えさせることは難しいですから、保護者様が万全の状態で受験の準備ができるように、整えていくことが大切です。
まとめ
大学附属校として人気の青山学院横浜英和中学校。
人気も年々高まっています。入試も厳しいところもありますが、やるべきことをやっていければ決して合格は難しくありません。目標を高く掲げて合格へ向けて、計画的に準備を進めましょう!
憧れの学校生活をイメージしてがんばってください!応援しています!
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