1. 麻布中学校とは?
東京都港区に立地する御三家の一角、麻布中学校。制服や校則はほぼ無いと言って良い位自由な学校です。その自由さが故に、生徒様の自主性に委ねられている部分が大きく、良くも悪くも自分次第です。ただ、優秀な生徒様の集まりであることには違いないですから、ほとんどの生徒様がしっかりとしたけじめをつけつつ、自由な雰囲気を楽しんでいます。
開成中学校は、いわゆる優秀な生徒様の集団であることに対して、麻布中学校は、創造力豊かで、大きな可能性を秘めている生徒様の集団という感じでしょうか。
どちらが良いというのではなく、生徒様の気質に合わせてお考え頂くことになるでしょう。
2. 麻布中学校の入試傾向について
試験科目は算数・国語・理科・社会の四科目です。
それぞれ配点は60点・60点・40点・40点で、試験時間は60分・60分・50分・50分です。全体的に試験時間が長い事が特徴です。科目毎の平均点が示されていないのですが、合格者最低点は55%前後である事が多く、問題としては、かなり難しいと言えるでしょう。
非常に独特な問題が出題されますが、総じて言える事は、問題文が長い事・思考力が問われる事です。
どの科目も、問題文が非常に長く、試験時間内に内容を理解しながら解くには、高度なレベルが要求されます。
また、問題文を読みながら、深く考え、生徒様自身の言葉で記述する問題も多く、単なる暗記だけではなく、日頃から常に問題意識を持って生活しているかが問われる試験となっています。
当たり前の事を当たり前だと思わずに、何故だろう?という疑問を持って探求していく。
そのような探求心旺盛な生徒様が麻布中学校の入試問題にフィットするでしょう。
①算数
例年、大問が6題出題されます。どの問題も、解法を書く欄がありますので、日頃から式・解き方を明瞭に書く習慣が必要です。良く出題される単元は、図形・速さ・数の単元です。年度によっては、同単元で、2題出題される事もありますので、苦手単元を作らない事が大事です。2024年度を含め、時折、計算問題が大問1番で出題される事があります。速く、正確な計算力は必須です。
図形は、平面図形・空間図形どちらも出題されます。図形で2題出題される事もあります。難関校では立体切断が多く出題されますが、麻布中学校は、そういった偏りはありません。むしろ、平面図形の割合が高めの学校です。
速さは、旅人算・通過算・時計算・流水算・点の移動など、こちらも万遍無く出題されますし、2題出題されることもあります。文章がややこしいものもありますが、図やダイヤグラムを書くことで対処しやすくなることが多いですから、手を動かして考えていきましょう。
数の単元では、規則性・約数・倍数・場合の数・思考力問題など、多岐に亘り、2題〜3題出題される事もあります。麻布中学校が特に好きな単元と言えるでしょう。2024年度でも2題出題され、どちらも規則性が絡む問題でした。規則性の問題は、解ける生徒様だと全問正解出来る可能性がありますが、一方で、苦手な生徒様だとほとんど解けない事もあります。よって、差がついた問題と言えるでしょう。
どの問題も一筋縄ではいきません。じっくりと考えて解法を導き出す練習を積んで下さい。
②国語
例年、大問一題で、物語文が出題されています。
設問の大部分は内容理解を問う記述式問題で、残りは漢字・語句の問題・正誤選択問題となっています。
文章の分量は中学受験問題としてはかなり多く、何度も読み返す事はほぼ不可能です。
長い文章を集中力を切らさずに読む訓練は必須となります。
また、記述式問題は字数制限が与えられていないことが多く、行数が与えられているだけです。
基本的には、1行30字程度を目安に書いて頂ければと思いますが、小学生の生徒様にはとっつきにくい問題であることには違いありません。形式に慣れる様にして下さい。
長い記述を論理的に、矛盾無く書く訓練も必要となるでしょう。
前述の通り、記述式問題が多くを占めますが、要旨を問う問題は必ずと言って良い程、出題されています。
2024年度入試でも、例年通り、要旨を答える問題が問11番で出題されました。(1)(2)と2題に亘って要旨を答えさせる問題でしたから、点差は大きくついたと考えられます。日頃から文章の要旨把握に努める事が大事です。授業で扱った文章の要旨を100字程度で書く練習をして下さい。
③理科
例年、大問4題の構成で、物理・化学・生物・地学がそれぞれ1題ずつの事が多いです。しかし、年度によっては、化学が2題出題され、地学は出題されないなど、特定の単元が2題出題されることもあります。生物や地学分野では知識問題が多少出題されることがあります。
どの問題も、文章が長く、思考力問題、もしくは考察問題となっています。思考力問題は、それぞれの設問が考えさせる問題となっており、設問を解いていくうちに、少しずつ全体の内容が把握出来ていくように作成されていることが多いです。考察問題は、実験の内容が複雑で、図や表も多数与えられることがあります。それらの資料の何に注目すべきか、情報を素早く見つけ出し、導き出していく問題です。
2024年度では、化学分野で、例年通り、思考を要する問題が出題されました。設問を解いていく毎に、設問の意図が分かってくる問題でしたが、最初の設問1番から苦しんだ生徒様はいらっしゃったようです。算数的な思考も必要な問題で、論理的思考力が相当に問われた問題でした。日頃からじっくり考えて、何とかして解答を導き出す練習が必要となる問題でした。
理科が最も塾での一般的な学習が通じにくい科目かもしれません。しかし、塾で習ったことをベースにした問題であることは確かですから、疎かにせず学習を進めて下さい。それと同時に、現象理解に多くの時間を割いて下さい。なぜそうなるのか、を全単元で考え、調べ、深く探求していくことを繰り返して下さい。
④社会
毎年、大問一題で、非常に長い文章やグラフ・図表などが前提として与えられてから、10問~15問程度の設問という構成です。
文章の内容としましては、ある一つの事柄についての歴史的推移が書かれていまして、例えば、公共(2023年度)・建築(2017年度)などが過去に出題されました。2024年度では、教育に関する文章題が出題され、設問後半では、現在の学校教育に関する設問が記述問題として複数出題されました。文章を読んで解答できるタイプの問題ではなく、生徒様自身が日頃から問題意識を持って考えられているか、という問題でしたから、生徒様の解答に大きく差が出た問題だったと思われます。
設問形式としましては、記述問題が中心ですが、意外にも、基本的な知識問題も出題されています。
ですので、単語レベルや地図帳を使用した場所の暗記・統計も決して疎かに出来ません。
記述問題の内容としましては、地理・歴史・公民に関する知識系の記述設問もありますが、前述の通り、生徒様自身の考えを答えさせる記述問題も多く出題されます。
時事問題で出てくる言葉や内容に関する記述問題もありますから、幅広く興味を持ちながら、常に生徒様自身がどう考えるか、意見を持つようにしましょう。
最後に、過去、高頻度で出ていたものがありまして、それは地図の見方に関する設問です。
最近はあまり出題されていませんが、来年出題されるとも限りません。対策をしておきましょう。
⑤問題の形式等が似ている学校は?
麻布中学校の問題は、非常に独特ですので、中々似ている中学校を探すのは難しいです。
ただし、中では武蔵中学校や海城中学校は似ていると考えます。
算数については、開成中学校や駒場東邦中学校の方が参考になると思います。
3. 麻布中学校を受ける際の併願パターンは?

①1月受験校
栄東中学校・東邦大学附属東邦中学校・市川中学校・渋谷教育学園幕張中学校
1月は、練習として、栄東中学校・東邦大学付属東邦中学校・市川中学校が挙げられます。
この中で、しっかりと合格を手にすることで、精神的に落ち着けると思われます。
渋谷教育学園幕張中学校は、受験しても良いのですが、もし不合格ですと、生徒様は相当に落ち込む可能性があります。生徒様の性格を踏まえてご検討下さい。
②2月1日
午前:麻布中学校
午後:広尾学園中学校(2次)
午前入試は麻布中学校で決まりです。
午後入試は受験しなくても良いと思います。第一志望校となる麻布中学校を受験後、相当に疲れると思います。
もし受験されるのであれば、広尾学園中学校(2次)が良いと思います。
③2月2日
午前:渋谷教育学園渋谷中学校(2次)
午後:広尾学園中学校(医進サイエンス)
午前は渋谷教育学園渋谷中学校(2次)が良いでしょう。
午後は広尾学園中学校(医進サイエンス)が良いと思われますが、1日の午後に受験されるのであれば、合格の場合、受験の必要はありません。休息に充てましょう。
④2月3日
筑波大学附属駒場中学校・早稲田中学校(2次)・海城中学校(2次)
麻布中学校に合格しそうな生徒様は、思い切って筑波大学附属駒場中学校で勝負しましょう。
一方、余裕の無い生徒様は、早稲田中学校(2次)・海城中学校(2次)が良いでしょう。
麻布中学校対策とマッチするのは海城中学校の方になります。
⑤2月4日
芝中学校(2次)・城北中学校(3次)
3日までの結果が芳しくない場合、芝中学校(2次)、もしくはもっと安全に行く場合は、城北中学校(3次)が良いでしょう。
尚、2月5日には渋谷教育学園渋谷中学校(3次)がありますから、そこまで頑張ってみるのも手です。
生徒様のご様子でお考え下さい。
4. 麻布中学校の受験対策方法
全体的に問題文が長く、思考力・記述力が問われる試験内容です。
塾による勉強だけではない部分が問われています。
差がつきやすいと想定される算数については、解答をすぐに見たり、暗記で処理したりせず、じっくり考えることを重視して取り組みましょう。思考力はそう簡単に向上しません。毎日の積み重ねです。
また、その他日々出来ることとして、読書・ニュース・新聞・日記などが挙げられます。
少しでも疑問に思う事柄について、調べ、考える事も大事です。
当たり前の事を当たり前だと思わずに、深く考える。
そして、自分だったらどう考えるか、という生徒様自身の意見を持つようにしていく事が大事になってくるでしょう。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学四年生
算数は、塾のカリキュラム、もしくは「予習シリーズ」に沿って行って下さい。
平面図形・場合の数・数の性質・規則性を習う頃ですから、それらの単元は応用問題まで解けるようにして下さい。
また、今のうちに、文章に出てくる数字や登場人物に、印をつける癖付けをしておきましょう。
情報を整理するために、図や絵を書く訓練もしておくと良いでしょう。
難しい問題であっても、じっくり考える習慣をつけましょう。安易に解答を見るのではなく、試行錯誤をすることが重要です。
国語は、文章の読解は勿論ですが、要約を行う練習をして下さい。文章の長さにもよりますが、100字程度を目安に取り掛かると良いでしょう。
また、読書は欠かさず行ってください。なるべく文章が長い本を読みましょう。
まずは、興味のあるジャンルからで構いません。スポーツや趣味の本でも良いですから、長い文章に慣れていきましょう。
漢字・語句も疎かにせずに行っていきましょう。
毎日、日記を書くのも効果的です。社会の記述問題対策にもなります。出来れば、保護者様や専門家に添削してもらうのが良いでしょう。
理科は、夏休みの自由研究課題は必ず行いましょう。
また、日頃から疑問を持って生活して欲しいですね。
身の回りに、当たり前にあるものに興味を持って、生徒様自身で調べると良いでしょう。
生き物を飼ったり、毎日の天気を記録するのも良いですね。常に、何故そうなるのか考え、調べる様にして下さい。
また、大手塾では、この学年で生物・地学分野を行います。暗記すべき事項は、しっかり覚えていきましょう。
社会は、地図帳を使用した学習が最も効果的です。小学四年生になりますと、地理の授業が始まります。
都道府県について学習することになりますので、地形と合わせて、地図帳で場所を確認しましょう。
一度見ただけでは定着しませんので、繰り返し見ていくことがポイントです。
地図の見方についても、しっかり学習した方が良いでしょう。
また、日頃からご家庭でニュースを見る習慣付けが出来ると良いですね。
ニュースの内容について、ご家庭で会話をしながら、理解を深め、疑問点を生徒様と一緒に調べると良いと思います。
(2)小学五年生
算数は、速さ・立体図形といった単元も始まります。
平面図形・場合の数・数の性質・規則性と合わせて、特に力を入れて学習して下さい。
これらの単元に苦手意識があるようでしたら、小学四年生に遡って復習をして下さい。
また、基礎~標準問題の定着には「プラスワン」「ステップアップ問題集」(東京出版)もおすすめです。
国語は、前学年と同様に、要約を行いましょう。読書も欠かさず、毎日読む習慣付けが欲しいですね。
物語文・説明文問わず幅広いジャンルを読めるようにしていきましょう。
客観的に読むことを意識して、取り組んで下さい。
漢字・語句は、必ず前学年までの復習もお願いします。
理科は、やはり自由研究課題は行いたいですし、引き続き、身の回りの物・現象に疑問を持ちつつ、探究心を持って、取り組んで頂く必要があります。
特に興味を持つものがあれば、とことんまで探求するのも、とても良い事です。
化学・物理分野などの計算問題も始まります。麻布中学校では、計算問題も出題されますから、難しい問題まで対処出来る様にしていきましょう。
社会は、引き続き地図帳を使用した学習を心掛けて下さい。雨温図や統計など周辺知識も忘れずに学習して下さい。
ニュースや新聞で多くの事を知って頂き、ジャンル問わず、興味を持って調べていきましょう。
秋頃からは歴史が始まります。一つ一つの単語暗記は勿論ですが、特に背景や流れを理解するようにして下さい。
(3)小学六年生(4月~6月)
算数は、前学年までの復習をしっかりしながら、全体的なレベルを上げていく時期です。
この時期に過去問を解くのは難しいかもしれませんが、一度どのくらいのレベルなのか、身をもって知っていただく意味でも、チャレンジして頂ければと思います。
国語は、長い文章を正確に読める様に、そして論理的に矛盾の無い文章を書ける様にしていく時期です。
この時期でも、読書・日記の習慣は続けて下さい。
過去問にもチャレンジし、レベル感を知って頂ければと思います。
理科は、生物・地学の理解を総復習しつつ、計算問題の力をつけて行きましょう。
計算問題が苦手な生徒様は特に力を入れて復習して下さい。
志望校別特訓で出てきた内容についても復習しつつ、あやふやな所は深く調べ、納得していきましょう。
社会は、公民が始まります。公民分野は一つ一つの暗記も必要ですが、
どちらかと言うと、理解をしていくことが大切です。例えば、選挙について学習すると思いますが、選挙の問題点は何か、今選挙制度で議論されていることは何か、考えることが大切です。単に衆議院議員には解散がある、という知識だけではなく、周辺の内容を深堀りしていきましょう。
地理・歴史の復習、志望校別特訓で出てきた内容の深堀りが出来ると良いでしょう。
(4)小学六年生(7月~8月)
算数は過去問を夏休み中に3~5年分は行いたい所です。解いたら必ず解き直しをしましょう。
また、過去問だけではなく、塾の復習は必ず行い、全体的に苦手単元が無いようにしていきましょう。
入試が近づき、焦る時期ではありますが、難しい問題を時間を掛けて取り組む姿勢は崩さないようにして下さい。
国語は、時間を測りながら過去問を解きましょう。夏休みは忙しい時期ですが、読書・日記・要約の時間は確保して頂きたいです。
漢字・語句については、夏休み中に定着させたい所です。
秋以降にまとまった時間は取れなくなりますので、この夏休みが勝負です。
理科も、算数同様、過去問に取り掛かりましょう。やはり、3年分は解いて頂きたいですね。
暗記事項や計算問題で漏れがあるようでしたら、この夏休みに定着させて下さい。
志望校別特訓や過去問で出てきた考察問題・思考力問題の解き直しを行い、解ける様にしていきましょう。
引き続き、現象理解についても、行って下さい。
社会も、過去問に取り組んでみて下さい。理科同様、3年分解いて、形式に慣れていきましょう。
地理・歴史・公民の全体的な復習を行いましょう。その際、記述問題を意識して頂き、内容を口で説明出来る様に、練習しましょう。
また、新聞やニュースで出てきた内容について、保護者様と意見交換をし、一緒に調べることで、内容を深める様にしましょう。
(5)小学六年生(9月~11月)
算数は、塾の志望校別特訓での演習を中心に、過去問も出来る範囲で解いていきましょう。
この時期は、新しい問題を解くだけではなく、解き直しにも相当程度時間を割いて頂きたい時期になります。
麻布中学校の算数は、重要単元がある程度決まっていますので、とにかく解き直しが肝心です。
問題量が足りないようでしたら、「最高水準問題集」(シグマベスト)もおすすめです。
国語も、算数同様に志望校別特訓と、過去問が中心です。
解き直しも大事です。要点をまとめられるように練習しましょう。
この時期でも、読書・日記や漢字・語句の確認に、少しでも時間を割いて下さい。
理科も、志望校別特訓と、過去問が中心です。
夏休みに引き続き、考察問題・思考力問題への対処が出来る様に、演習・解き直しをしていきます。
時事問題が出題されることも多いですから、ニュース・新聞で見識を深めましょう。
社会も、勿論志望校別特訓と、過去問に尽きます。
社会も、過去問・志望校別特訓が中心になりますので、解き直し・暗記をしっかり行いましょう。
また、ここ20年程度の時事問題を知っていき、これまで同様に、生徒様自身の考えが記述出来る位まで、調べるようにしましょう。
それらに加え、大手塾から出版されている「重大ニュース」や、統計対策として「日本のすがた」(最新版)を読み込んで下さい。
(6)小学六年生(12月~1月)
算数は、他の併願校に備えた対策をしながらも、麻布中学校での頻出単元である図形・速さ・数の問題に特に注力して下さい。過去問を遡っていくのも良いかと思います。
とにかく、志望校別特訓・過去問で出題された問題は、全て解ける位まで、徹底的に行って下さい。
国語は、制限時間内に解き切れるか確認する必要があります。まだ触れていない過去問を使用して、数年分解いておくと良いでしょう。しばらく触れていないと、いざ本番の入試で思うようにいかなかった生徒様を見てきました。この時期でも1週間~2週間に1回は解くようにして下さい。
読書・日記・漢字・語句は最後まで継続して行って下さい。
理科は、算数と同様に、志望校別特訓・過去問の解き直しを行いましょう。
また、これまで理解をしてきた内容の復習、確認を行って下さい。
計算問題については、生物・地学分野も含めて復習を行って下さい。
社会は、時事問題を含めた、今までの知識の総復習と、調べてきた内容の確認に時間を掛けましょう。
現在の日本の課題・問題点を中心に、深めるべきところは深めていくと良いでしょう。
②麻布中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
麻布中学校は、形式は似ているものの、同じような問題が出題されるわけではありません。
しかし、演習するには過去問は格好の材料です。理系科目の算数や理科は、20年遡って頂きたいと思います。
一方、文系科目の国語・社会については、時間との関係上、10年遡れば良いかと思います。
一度解いたら、二度目以降は、原則、間違えた問題・不安な問題のみ解き直しを行ってください。
その際も大問一問毎に、時間を測って行うことで、より効果的になるでしょう。
(2)いつから解き始めればよいか
算数と国語については、夏休み前から解き始めると良いでしょう。
二科目とも配点が高い科目ですから、早めに一度解くのが望ましいでしょう。
一方、理科と社会は夏休みに入ってから始めれば良いと考えます。
早めに始めようとしても、解けない問題も多いと思いますから、その位を目安に行ってみて下さい。
(3)何年分を何周解けばよいか
算数は、時間が無ければ最低10年分、出来れば20年分解いておきたい所です。
同じ問題は出題されませんが、麻布中学校の問題は、他の問題集や教材では中々補いきれません。
従って、過去問を出来るだけ解くのが宜しいかと思います。
出来なかった問題を中心に、3周は解き直しましょう。
国語は、過去問の傾向把握、解き慣れが重要になりますので、10年分が宜しいかと思います。
解き直しの際は、ポイントを箇条書きした上で、記述していきましょう。解答と照らし合わせて、ポイントが合致しているか確かめましょう。2周解き直せば十分です。
理科については、算数同様、他の問題集で補うのは難しいと思われます。
ですので、最低10年分、出来れば20年分遡りましょう。
解き直しは、算数同様、出来なかった問題を中心に3周行って下さい。
社会は、同じ題材が2度出題されることがありません。
ですが、問題慣れや問題を通しての知識の確認は必要ですから、10年分行いましょう。
解き直しは、2周行えばよいでしょう。
③保護者様に出来るサポート内容
麻布中学校は、御三家の一角ですし、非常に特殊な問題形式ですから、勉強に費やす時間は相当なものになるでしょう。
その際に、常日頃から保護者様が出来る事を列挙していきたいと思います。
(1)成績が下降してきたら…
基本〜標準的な問題が出来なくなっている可能性が高いです。
難しい問題ばかり行なっていると、基本的な所が疎かになり、土台が崩れていきます。
すると、成績が下降して行きます。ですので、保護者様には、是非基本的な問題、例えば小学四年生・五年生の単元に立ち戻って、再度復習をされる事をおすすめします。
生徒様にも「少し前の単元に戻ってやってみようか。」とお声掛けし、「ゆっくり基本からやり直してみよう。」と生徒様を責めずに、ご対応して下さい。
また、試験の結果に一喜一憂せず、長い目で生徒様を見てあげて下さい。麻布中学校の入試問題と、一般的な模試の成績は一致しないことも多々あります。知識面での暗記が多少出来ていなくても、理解がしっかり為されていれば、問題が無いこともあります。生徒様の状況を細かくご確認されてみて下さい。
(2)成績が下降してきたら…
麻布中学校のような難関校には、低学年のうちから塾の教材以外での思考力強化を考えましょう。
即ち、勉強としてではなく、楽しみながら思考力を強化する方法を考えましょう。
具体的には、パズル・タングラムなどで図形的思考力を、将棋・チェス・トランプ・algoなどで論理的思考力を養うことが重要です。
是非、保護者様も生徒様と一緒に遊んでみて下さい。
(3)時事問題対策
時事問題こそ、保護者様の出番です。今、ニュースや新聞で見聞きする内容は、保護者様にとっては常識的な事でも、生徒様には実感がわかない・わからないことも多いと思われます。
ニュースや新聞で出てきた内容を生徒様と会話するようにして下さい。
例えば、
「今円安が進んでいるってニュースで言っていたけど、どういうことかわかる?」
「男女の格差社会ってどういう事なんだろうね?」
「原油価格が上昇しているっていうけど、なぜだろうね?どんな値段になっているんだろうね?」
「塾があるのに、なんで学校に行くんだろうね?」
と言った質問から、生徒様と一緒に会話をし、一緒に調べることは重要です。そして、生徒様が自分自身で説明出来る様に、題材によっては、自分の考えを持てる様に、サポートしてあげて下さい。
(4)理科の対策
麻布中学校の理科は、これまでご説明している通り、考察問題による、理解を問う問題が多く出題されております。
保護者様としては、身近な事柄について、生徒様と会話をし、一緒に調べて理解を促すようにして頂けると宜しいかと思います。
例えば、
「洗濯物は干すと乾くのは何故だろうね?」
「ドライヤーの仕組みって知っている?」
「地震が起きる仕組みを一緒に調べてみようか。」
「月の形が毎日少しずつ違ってくるのはどうしてなんだろう。」
など、日常当たり前の事をしっかりと調べることは、理科の対策にとても重要です。
まとめ
麻布中学校は、暗記は必要ですが、そのウエイトは小さく、大部分は生徒様の思考力・考え方が試されています。
このような問題に対しては、いわゆる詰め込み教育的なものは通用しません。
例えば、算数であれば、しっかり自分の頭をフルに使い、じっくり考えて試行錯誤する経験が大事ですし、国語であれば、日々の読書・要約練習・日記などが功を奏するでしょう。
理科・社会の対策としては、ニュース・新聞などで見識を深めつつ、疑問に思うことは調べて納得する、そして自分の考えを纏められるようにすることが大事です。
一筋縄ではいきませんが、だからこそ挑戦し甲斐がある学校です。今すぐ対策を始めて行きましょう。
【参考文献】
麻布中学校HP(https://www.azabu-jh.ed.jp/)
麻布中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
武蔵中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
海城中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
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