1.学習院女子中等科とは?
学習院女子中等科は1885年に創立された中高一貫の私立女子中学校で
西早稲田駅(副都心線)から徒歩3分
早稲田駅(東西線)から徒歩10分
と通いやすい場所に位置しています。
「ひろい視野 たくましい想像力 ゆたかな感受性」といった教育目標を掲げ、進度より深度を目指す充実した授業展開を行っています。
また都心にありながら、非常に広い校地をもち実習室等の教育を目的とした施設だけでなく、総合体育館など部活動を行うにも充実した環境が整っています。
2.学習院女子中等科の入試傾向について
学習院女子中等科の各科目の配点・試験時間は以下の通りです。
科目 | 配点 | 時間 |
算数 | 100点 | 50分 |
国語 | 100点 | 50分 |
理科 | 60点 | 30分 |
社会 | 60点 | 30分 |
まず全教科を通して記述問題の比重が高い傾向にあります。答えだけでなく、答えまでの「過程」「根拠」を明確にすることが大切となります。
また算数・国語の比重が高いことから算数・国語を苦手科目にしないことが合格への近道となります。よって算数・国語に関しては早期から対策を重点的に行うことをオススメします。
①算数
学習院女子中等科の算数は試験時間50分・大問6題の出題形式です。
大問1は計算問題が中心であり、大問2以降は各分野の標準〜応用問題が出題される傾向にあります。特に「平面図形」「速さ」「規則性」の問題が頻出であり、これらの分野は特に対策を行っていく必要があります。
また2024[5](2)の速さの問題のように電車間の距離によって信号の色が変わる問題では状況の整理が必要となり、かなり複雑な問題設定がなされている場合もあります。
しかし算数では解きやすい問題と解きにくい問題が非常にはっきり分かれているため、問題の取りかかり方が重要です。まずは解きやすい問題を確実に正解することが必要不可欠となるでしょう。
また答案に考え方・計算過程を記述する形式となっていることも大きな特徴です。2023年度では作図問題も出たことから「書く」ことを重要視した試験の作成を行っていると考えられます。
記述式に慣れるためには式・図を書く習慣づくりが有効です。考え方を図・式にまとめて整理する習慣は間違えた原因を特定するきっかけにもなります。
②国語
学習院女子中等科の国語は試験時間50分・大問2題の出題形式です。
大問1では例年「小説」の読解が出題されます。2024年度でも小説が題材として扱われました。問題内容としては10〜15問の記述問題・知識問題等が出題され、短い時間での処理能力が問われる試験構成となっています。
また小説の読解の中でも記述問題が多い傾向にあります。小説の場合は「きっかけ・理由」と「気持ち・考え」の2つを意識することが大切です。
大問2では漢字の読み書きが20題出題されます。これは配点の約2割を占め、かなり漢字の知識が重要視されているため漢字の学習は日々重点的に行うことが必要です。
③理科
学習院女子中等科の理科は試験時間30分・大問4題の出題形式です。
物理・化学・生物・地学の4分野から均等に出題され、本校では例年記述問題が出題されることが特徴です。しかし内容としては基礎的な内容の理解に基づくものも多く、「基礎固め」の充実度が合否を分けるといっても過言ではありません。
理科の入試では「知識問題」「計算問題」「記述問題」の3つに分けられます。
「知識問題」に関してはレベルの高い知識問題も少し散見されるものの、各分野に基礎知識が備わっていれば解ける問題がほとんどです。レベルの高い知識問題を簡単に対策することは難しいため、まずは「基礎固め」に注力することが大切です。
「計算問題」では「理屈」の理解が最重要となります。特に本校では答えまでの計算過程を書く必要があり、答えに至る理屈の理解を重要視していることがわかるでしょう。
「記述問題」は本校でも目立つ傾向にありますが、中には思考力を問われる問題も存在します。
2024年度[1]ではナミアゲハのさなぎの色に関する資料の読み取り問題が出題されました。記述問題では「基礎固め」や「理屈」の理解が前提となります。よって基礎力の身についた段階で取り組むことをオススメします。
④社会
学習院女子中等科の社会は試験時間30分・大問3題の出題形式です。
地理・歴史・公民の3分野から均等に出題され、記号選択・用語の問題に加え短行の記述問題が出題される傾向にあります。
加えて2024年度では「マイナンバーカードを持つメリット」を答える問題が出題されました。これは健康保険証がマイナンバーカードに切り替わるという「時事問題」に関する問題だと考えられます。
このように時事問題に基づく問題も出題傾向にあります。
3.学習院女子中等科の入試対策について
まず全教科に共通して
・基礎固めのフェーズ
・入試に向けた実践力を高めるフェーズ
に分けて対策を進めていくことが有効です。
基礎固めができていないと
・出題分野によって得点が安定しない
・応用問題を解くのに必要な基礎が理解できていない
など実践力を高める時期に影響が出てきてしまいます。
学習院女子中等科を目指す生徒様にとっては6年前期までに基礎固めをある程度行い、6年後期の段階で応用力を高める学習+基礎の確認を勉強計画に組み込むことをオススメします。
また勉強計画は各塾で実施される確認テストや志望校別判定テストを目標に立てることが大切です。学習院女子中等科を目指す生徒様は以下の偏差値を目標に立てると良いでしょう。
SAPIX | 四谷大塚 | 日能研 |
54 | 62 | 60 |
①算数
〜6年生前期
6年生前期までは標準レベルを確実に解ける状態を作りましょう。
1つ1つの問題の解き方を説明できる状態を作っておくことで、応用問題に向けた土台を作ることができます。
「解法を覚える」勉強に走る生徒様も多いようですが、解法暗記では今後応用問題を解く際に太刀打ちできません。
「なぜこのように解くのか?」
に着目して答えまでのプロセスを理解することが大切です。
5年生以降新しい分野を次々に習うことになるため確認テストを目標におき、各分野の習熟度をチェックすることをオススメします。
また記述形式が特徴的な本校の入試に向け、日頃から図・式を書く習慣を身につけておくことが非常に大切となります。この習慣は入試対策だけでなく、間違えた原因を探す際にも利用でき、学習効率の向上も期待できます。
〜6年生後期
6年後期では前期で身につけた基礎力を通して応用力を積み上げていきます。次の2つを意識して学習に取り組めると良いでしょう。
①分野別に応用力を積み上げる
②実践演習(模試・過去問など)を通して入試への対応力を身につける
まず分野別に応用力を身につけることが重要です。応用問題は標準レベルの解法をもとに解くケースがほとんどです。答え合わせの際には「どの問題と似ているか」「どのような解き方を使っているか」を意識して復習しましょう。
解き方の確認の際に基礎に立ち返ることで基礎力の確認も行うことができます。よって過去のテキストを見直す作業も有効な学習方法と言えるでしょう。
特に「平面図形」「速さ」「規則性」は出題可能性の高い分野であり、比重を高くする必要があります。また年度によっては「作図問題」が出題されるケースもあるので対策することをオススメします。
また入試への対応力・得点力を身につけるために模試・過去問・授業中の演習時間を有効活用しましょう。入試では「解ける問題で落とさないこと」「適切な時間配分で解き進めること」が非常に重要となります。
解ける問題で落として、不合格だけは避けたいですよね。解ける問題への比重を増やす・見直しの時間を確保するなど時間の使い方を特に身につけてほしいところです。
②国語
まず大問2で漢字の読み書きが20題出題される本校の入試に向けて、漢字を確実に身につけておくことが必要となります。漢字の勉強は早期から習慣化しておきましょう。
加えて、言葉の知識問題も数問出題されるため漢字・知識の学習は「寝る前」「起床後すぐ」など習慣化しておき、常日頃から触れておくことが大切です。
〜6年生前期
6年前期までは特に「質」を意識した読解問題の勉強を行いましょう。授業で扱った文章を深く復習することが大切となります。
・授業で解いた問題の「解答までのプロセス」を理解する
・最終的に自身の言葉でまとめ直す
この2点を意識し、効率的な復習方法を身につけることが成績アップの鍵となります。
読解問題の成績は短期的に上げることは難しく、6年後期の時点で苦手な状況はなるべく避けたいです。そのため毎回の確認テスト・志望校別判定テストの得点を気にすると良いでしょう。
もし点数が悪いのであれば、答案を見て自分の苦手箇所・原因を突き詰める必要があります。
〜6年生後期
前期までは1つの文章を深く復習する方法が主でしたが、後期では塾での実践演習・志望校別判定テスト・過去問など扱う問題数が非常に増えます。よって復習効率を上げる必要があります。
この際解けた問題は軽く見直し、解けなかった問題は
・なぜ解けなかったか/どのような流れで答えに至ったのか
・使える解法はなかったか
を分析してもう一度まとめてみましょう。
③理科
6年前期までは標準レベルの知識・計算問題を解けるようにすること、6年後期では計算問題の応用力、記述問題への対策を行うことを目標にしましょう。
〜6年生前期
6年前期までの期間は知識を身につける・標準レベルの計算問題を確実に解けるようにすることを意識して学習に取り組みましょう。
特に5年生では新しい分野を次々に習うことになると思います。そのため覚える知識の量が非常に多くなります。よって毎回の授業で
・基礎知識はしっかり暗記する
・計算問題を理由もふまえて解けるようにする
勉強を着実に行う必要があります。
また知識量が多い分野では特にインプットだけに専念せず、積極的に問題を解いてアウトプットすることが大切です。
基礎力の確認を行う上で確認テストは良い判断材料となります。そのため6年生前期までは特に確認テストに焦点をおいた学習が有効です。
なおこの期間で「記述問題」に専念する必要はありません。記述問題は「基礎固め」や「理屈」の理解が前提となり、基礎固めができていない段階で対策を行っても高い効果は得られないからです。
〜6年生後期
6年後期では計算問題の応用力、記述問題への対策をメインに行いましょう。
理科に関しても入試本番に向けて実践演習・模試の機会が増えてくるかと思いますが復習の際は
・知識問題であれば6年前期の学習内容
・計算問題であれば、解き方の根拠
をしっかり見直すことが大切となります。
本校の入試ではマニアックな知識問題が出題されるケースもありますので、新しい知識が出てきたらその都度覚えるようにしましょう。
また記述問題に対しては日頃の演習・過去問・模試の機会を有効活用しましょう。
演習の機会を通して記述問題に触れ、家庭学習では記述問題を解くのに必要だった知識を見直すといったサイクルを繰り返すことで記述問題への対応力を徐々に上げていくイメージです。
日頃の学習成果は志望校別判定テスト等を指標に用いましょう。「自分の苦手箇所は何か」「知識・計算・記述問題のうちどこで多く間違えているか」を分析し、苦手に応じた学習計画を立てるようにしましょう。
一方、応用力の向上に注力する期間ですが、知識の抜け漏れには注意しなければなりません。そのため知識の確認を学習習慣に取り入れることをオススメします。
④社会
6年前期では知識の定着、6年後期では入試問題への対応力を上げることを目標に学習に取り組みましょう。
〜6年生前期
5年生は新しい単元を次々に習うこととなり、覚える知識の量が非常に多くなります。よって毎回の授業で知識のインプットを欠かさず行うことが大切です。
また社会はインプットが重要な教科ですが、同時に背景の理解が重要となります。以下が各分野における学習のポイントとなります。
<地理>
地理の学習は地名・気候→産業の流れで授業が進んでいきます。
地名は名前・場所を地図帳・白地図を用いて暗記し、気候は海流・地形など原因を理解することに注力しましょう
また産業に関しては地形・気候と密接に関連していることが多いため、どのように関連しているのか着目しながら勉強していきましょう。
<歴史>
まずは時代の流れ・出来事の因果関係をしっかり追いましょう。
「政策はどのような時代背景・流れがあってとられたか」など背景を理解することで知識の理解が深まります。
これらの理解が深まったら文化・外交・産業・学問の切り口でジャンル別に学習していくと歴史の整理がしやすいです。
ここでおすすめなのが、ジャンル別に年表をつくって流れを図式化する勉強です。時代の流れを図式化することで視覚的に覚えることができます。
<公民>
日本国憲法・三権分立に関しては暗記の側面がかなり大きいため、理解に重点をおいて暗記しましょう。また時事問題にも気を配れると良いでしょう。
このような流れで背景・理屈を理解しながら知識のインプットを行うことで理解が深まります。知識を一通りインプットしたら問題集で確認してみましょう。
〜6年生後期
6年後期では考察問題・記述問題へ対応できる力を養う必要があります。
入試本番に向けた実践演習・模試の機会が増えてくるかと思います。しかし大半は6年前期までに学習した内容が関わっているので、6年前期の学習を振り返ってみることが有効です。
このように実践力の底上げ+基礎力の確認を日々行いながら、着実に入試に向けた対策を進めていきましょう。
また志望校判定テストの結果を見て、自分の苦手分野・問題を分析しておきましょう。応用力が足りないのであれば演習量を増やしていく必要があります。
また知識の抜け漏れも発生するかと思いますので、知識の確認を学習習慣に取り入れることをオススメします。
⑤過去問の取り組み方
過去問は基礎力が身についた6年後期の時期に取り組むことが効果的でしょう。
主に学校の入試傾向・難易度・時間配分を掴むことを目的として取り組みます。
そのため夏期講習が終わったタイミングで1年分解いてみることをオススメします。そこで各科目の出題傾向や時間配分の方法を分析しておきましょう。
特定分野の応用問題が苦手なのであればその分野の演習量を増やす、時間が足りないのであれば解くスピードを意識して演習に取り組むなど本番に向けた具体的な対策を練ることができます。
また早期に分析を行うことで、演習や模試の時間で意識すべきことが明確化されます。
このように1ヶ月に2年分くらいのペースで過去問に取り組み、最終的には10年分程度取り組めることが理想です。
また第二・三志望校に関しては3年分程度取り組み、同じく過去問の傾向等を掴んでおきましょう。
⑥保護者様ができるサポート
生徒様は4教科の学習を効率よく行うことが必要ですが、各教科における勉強目的、勉強計画を自力で整理することはかなり難しいと思われます。そのため目標を生徒様と一緒に立て、目標から逆算したスケジューリングをしてあげることが重要となります。
特に漢字・知識などの勉強については継続的に行う必要があるため、習慣を作ってあげるようなサポートも重要です。
「○月のテストで△点を取ろう!」「計画通り進んでる?」などの声かけを通して生徒様と保護者様が共に目標に向かって進めるような環境づくりを行うと良いでしょう。
また試験結果が悪くても「できなかったところを責める」ことは避けましょう。まずはできたところに注目して褒めてあげることが大切です。その上で苦手科目、分野を一緒に分析し、苦手克服のための勉強計画を練り直すことが重要です。
4.学習院女子中等科の併願校について
以下が学習院女子中等科を受験される生徒様の代表的な併願校となります。
〜1/31 | 2/2 | 2/3 | 2/4〜 |
1/13淑徳与野 | 共立女子 | 学習院女子B | 大妻 |
1/21 国府台女子学院 |
大妻 | 慶應中等部 | 山脇学院 |
1/14 浦和明の星 |
青山学院 | 大妻 | 成蹊 |
まず1月中の受験は必須と考えてください。
それは①安全校の合格を勝ち取る、②受験の緊張感に慣れるといった目的があるためです。生徒様の緊張感をなるべくなくすためにも早めに合格を得ておくことが大切です。
本校と同程度の学校が1〜2校、5程度偏差値の低い学校を3校程度受験している傾向にあります。特に1月では確実に受かる中学校を数校受験しておくことも戦略の1つとなります。
また2/4以降は倍率がかなり上がってしまうため2/3までの期間で確実に合格を勝ち取れるスケジュールを組むことが非常に重要となります。
まとめ
学習院女子中等科の入試傾向と対策法について幅広く解説してきました。
本校に合格するためにはまず基礎固めを徹底し、応用力を着実に身につける必要があります。また記述問題に重点をおく本校に向けて日頃から「書く」ことに意識を向けましょう。
入試突破は生徒様1人ではなく、保護者様のサポートも大切となります。
ぜひスケジュール管理など影で支えていただき、生徒様と二人三脚で受験に向かって頑張っていただければと思います。
正しい努力で中学受験を成功させるために勉強計画や勉強方法の参考にしていただければ幸いです。
【参考文献】
学習院女子中等科 教育方針
https://www.gakushuin.ac.jp/girl/about/philosophy.html
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