1. 大妻中学校とは
大妻中学校は1919年に創立された中高一貫の私立女子中学校で
市ヶ谷駅から徒歩10分
半蔵門駅から徒歩5分
と通いやすい場所に位置しています。
「恥を知れ」という校訓のもと、自律の精神・協働のこころをもつ女性の育成を目指しています。
特に総合とよばれる授業ではプレゼンテーション・ディベートを主体とし、中3では課題研究論文を書くなど課題発見能力・解決能力の向上を目的とした授業も行われています。
また学習面以外の諸活動にも力を入れており、年1回開催される体育祭は武道館で開催されるのだとか。
2. 大妻中学校の入試傾向
大妻中の各科目の配点・試験時間は以下の通りです。
科目 | 配点 |
時間 |
算数 | 100点 |
50分 |
国語 | 100点 | 50分 |
理科 | 60点 | 30分 |
社会 | 60点 | 30分 |
全科目において大半が標準レベルの問題で構成されています。まずは基礎固めを徹底し、その上で本校の傾向に合わせた学習をしていくことで確実な合格を目指しましょう。
①算数の入試傾向
大妻中の算数は試験時間50分・大問10題の出題形式です。
本校の算数の出題特徴としては次の通りです。
・出題分野の幅が広いこと
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まず大問数が多く、出題分野が多いことが特徴です。
他校の入試では特定の分野が中心として出題されるケースも多いですが、出題範囲の広い本校に関しては特定の分野に絞るのではなく、多分野の問題を満遍なく解けるようにすることが大切です。
しかし内容としては標準レベルのものが多く特殊問題も少ないため、難易度はそこまで高くありません。2024年度で出題された速さ・日歴の問題は特に基礎レベルで確実に得点する必要があります。
まずは苦手分野を作らないこと、その上で標準レベルの演習を十分に行うことが大切です。
また全ての問題に関して式・考え方の記述が必要となる点も特徴的です。また解答欄は大きくなく、考え方を簡潔に表す必要があります。図・式を書く習慣をつけ、どのような考えで答えに辿り着いたのかを書く習慣を早期から身につけましょう。
②国語の入試傾向
大妻中の国語は試験時間50分・大問4題の出題形式です。
近年では小説文・論説文・韻文の3題で構成されていますが、文量は9000字程度と多く設問も40問程度とかなり多いためスピードがかなり重要視される試験といえます。
選択式問題の割合が多く、「四択」「五択」「すべて選ぶ」などその種類も多岐にわたるため十分慣れておく必要はあるでしょう。
また30字程度の記述問題も数問出題されることから短い文章でまとめる練習もしておくと良いでしょう。
また韻文の出題が本校の大きな特徴です。韻文の読解は中学受験生が疎かにしがちな分野ですが、意識して取り組み練習を積んでおくことが必要です。
漢字・言葉の知識問題も毎年出題傾向にあります。知識問題は日頃からの習慣を大切にし、手を抜かずに取り組みましょう。
特に韻文が出題される本校では2024年度でも季語に関する問題が出題されました。季語の出題はまさに本校の特徴と言えるでしょう。
③理科の入試傾向
大妻中の理科は試験時間30分・大問4題の出題形式です。
例年は物理・化学・生物・地学の4分野からの均等出題ですが、2024年度では小問集合と生物・地学・化学から1題ずつの出題となりました。この傾向は次年度以降も継続される可能性があります。
しかしどの分野から出題されても良いように全ての分野の基礎固めを徹底させる必要はあるでしょう。
内容は一部に計算問題・思考力が必要な問題も含まれますが、大半は標準レベルの問題です。まずは標準レベルを固め、時間感覚を適切に身につけることが重要です。
➃社会の入試傾向
大妻中の社会は試験時間30分・大問3題の出題形式です。
大半の問題は標準レベルで一問一答形式の問題が多いものの、近年では考えさせる問題が増えている傾向にあります。
2024年度では大問1で資料から三重県の林業の課題を説明させる問題が出題されました。思考力を充実させることは他受験生と差をつけるポイントとなります。
まずは基礎知識を身につけ、その上で思考力を要する問題に取り組み、着実に力を伸ばしていくことが大切です。
3. 大妻中学校の入試対策
応用問題が多数出題される中学校では早期に基礎固めを終え、応用力をつける時間を多く確保する必要があります。しかし本校では標準レベルの問題を確実に解き切る能力が最重要となります。
よって基礎固めの徹底を最優先に取り組みましょう。その上で本校の傾向に合わせた対策・時間配分を養っていきましょう。
また勉強計画は各塾で実施される確認テストや志望校別判定テストを目標に立てることが大切です。大妻中学校を目指す生徒様は以下の偏差値を目標に立てると良いでしょう。
・SAPIX:48
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①算数の入試対策
(1)〜6年生前期
6年生前期までは苦手分野をなくすことを目標に取り組みましょう。
5年生では特に新分野を次々と習うことになるため、分野によって習熟度の差が大きく生まれやすい時期です。日頃の確認テストを大切にし、高得点を取るために日々の学習でしっかりと基礎力を身につけることが大切です。
この際「解法を覚える」勉強に走る生徒様も多いようですが、解法暗記では今後応用問題を解く際に太刀打ちできません。
「なぜこのように解くのか?」
に着目して答えまでのプロセスを理解することが大切です。
6年生以降は分野の向き不向きに関わらず、塾では週ごとに扱う分野が異なります。得意分野は確認程度にとどめて、不得意分野に比重を置くなど勉強内容を工夫すると良いです。
また本校では記述形式での出題が大きな特徴となります。日頃から図・式を書く習慣を身につけ、「考え方を書く」ことに慣れておくと良いです。この習慣は入試対策だけでなく、間違えた原因を探す際にも利用でき、学習効率の向上も期待できます。
(2)〜6年生後期
6年後期では基礎力を完成させ、入試に向けた実践力を磨いていきましょう。勉強内容としては以下の2つです。
①分野別の基礎力の確認
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まず分野別の確認を行いましょう。その際に解けない問題・苦手問題が見つかれば、解き方を見直し徹底的に復習を行うことで穴を潰していくことが大切です。
この際6年前期までに扱ったテキストを見直すのも良い勉強方法となります。着実に復習を繰り返し、標準レベルの問題を確実に解けるようにしましょう。
また模試・過去問での演習をたくさん行い、さまざまな分野が出題される状況下でも確実に得点できるようにしましょう。
本校の入試においては標準レベルの出題が多いものの些細なミスが命取りとなるケースもあります。そのため解ける問題で落とさない力を演習を通して養いましょう。
②国語の入試対策
まず知識問題で確実に得点できるような対策を行いましょう。知識の勉強は日頃の習慣を大切にしましょう。「寝る前」「起床後すぐ」など習慣化しておき、常日頃から触れておく必要があります。
(1)〜6年生前期
6年前期までは「質」を意識した読解問題の勉強を行いましょう。授業で扱った文章を深く復習することが大切となります。
・授業で解いた問題の「解答までのプロセス」を理解する
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この2点を意識し、効率的な復習方法を身につけることが成績アップの鍵となります。また論説・小説・韻文の3つから出題されるため、それぞれの文章でしっかり得点できるように以上の勉強を行いましょう。
読解問題の成績は短期的に上げることは難しく、6年後期の時点で苦手な状況はなるべく避けたいです。そのため毎回の確認テスト・志望校別判定テストの得点を気にすると良いでしょう。
もし点数が悪いのであれば、答案を見て自分の苦手箇所・原因を突き詰める必要があります。
(2)〜6年生後期
前期までは1つの文章を深く復習する方法が主でしたが、後期では塾での実践演習・志望校別判定テスト・過去問など扱う問題数が非常に増えます。よって復習効率を上げる必要があります。
この際解けた問題は軽く見直し、解けなかった問題は
・なぜ解けなかったか/どのような流れで答えに至ったのか
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を分析してもう一度まとめてみましょう。
また本校の国語はスピードが命となるため、制限時間内に問題を正確に解くことができるかを日頃から気にすると良いです。また復習の際には解き方の見直し・時間配分の見直しを行って本番に向けて実践力を高めていきましょう。
③理科の入試対策
理科の入試に向けて以下の2つを意識すると良いです。
・基礎力を充実させる
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一部に難度の高い計算問題・思考力問題が出題される場合もありますが、大半は標準レベルの問題であるため基礎固めの充実度がかなり重要となります。
その上で時間配分の感覚や、応用問題への対応力を身につけることを意識しましょう。しかしこれらの勉強は早くとも6年後期の段階で構いません。
(1)〜6年生前期
6年前期までの期間は知識を身につける・標準レベルの計算問題を確実に解けるようにすることを意識して学習に取り組みましょう。
特に5年生では新しい分野を次々に習うことになると思います。そのため覚える知識の量が非常に多くなります。よって毎回の授業で
・基礎知識はしっかり暗記する
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勉強を着実に行う必要があります。
また知識量が多い分野では特にインプットだけに専念せず、積極的に問題を解いてアウトプットすることが大切です。
基礎力の確認を行う上で確認テストは良い判断材料となります。そのため6年生前期までは特に確認テストに焦点をおいた学習が有効です。
理科の標準レベルに不安がある生徒様は少なくとも苦手分野をなくすことを意識してください。苦手分野をなくすためには1つ1つの単元を原理からよく理解し、知識を丁寧に覚えていくことが最優先となります。
(2)〜6年生後期
6年後期では基礎力の確認、入試への対応力の強化を目標に学習計画を立てましょう。
まずは分野別に標準問題を解くことができるか確認を行うことが大切です。その際に解けない問題・苦手問題が見つかれば、徹底的に復習を行い苦手を潰すことが必要です。
しかし自信のある単元は基礎学習の比重を減らし、演習の比重を増やすことで入試への実践力を高めていきましょう。
演習・過去問に取り組むことは時間配分、得点力を身につける上で非常に重要な対策となります。特に本校の理科は30分の中で大問4つを解き切る必要があるため、時間配分のミスは命取りになりかねません。
演習で間違えた問題は基本から丁寧に復習を行い、新たな知識は確実に身につけるようにしましょう。
応用問題に関しては授業・過去問で出てきた問題を確実に復習し、身につけることを意識しましょう。標準レベルの得点率が重要な本校の入試において、むやみに応用問題を対策することは効果的であるといえません。
④社会の入試対策
近年では思考力が問われるような問題も増加傾向にあるため、演習の時間を長めに取れる状態が理想です。そのため6年前期の段階で基礎固めをできていると他受験生と大きな差をつけることができます。
また社会では覚える知識量が多いため、6年前期までに確実に知識を身につけておくことで対策がかなりしやすくなります。
(1)〜6年生前期
5年生は新しい単元を次々に習うこととなり、覚える知識の量が非常に多くなります。よって毎回の授業で知識のインプットを欠かさず行うことが大切です。
<地理>
地理の学習は地名・気候→産業の流れで授業が進んでいきます。
地名は名前・場所を地図帳・白地図を用いて暗記し、気候は海流・地形など原因を理解することに注力しましょう。
また産業に関しては地形・気候と密接に関連していることが多いため、どのように関連しているのか着目しながら勉強していきましょう。
特に本校の入試では地図を用いて位置が訊かれるケースも多いので地図を用いた勉強は有効であるといえます。
<歴史>
まずは時代の流れ・出来事の因果関係をしっかり追いましょう。
「政策はどのような時代背景・流れがあってとられたか」など背景を理解することで知識の理解が深まります。
これらの理解が深まったら文化・外交・産業・学問の切り口でジャンル別に学習していくと歴史の整理がしやすいです。
ここでおすすめなのが、ジャンル別に年表をつくって流れを図式化する勉強です。時代の流れを図式化することで視覚的に覚えることができます。
<公民>
日本国憲法・三権分立に関しては暗記の側面がかなり大きいため、理解に重点をおいて暗記しましょう。また時事問題にも気を配れると良いでしょう。
全体として典型問題の割合が多いので、解けなかった問題を確実に復習する努力が身を結ぶ単元といえます。
(2)〜6年生後期
まずは基礎力の確認を大切にしましょう。日々の演習で知識の抜けを感じたら即座に補う、知識の確認作業を日々の習慣に取り入れるなど基礎固めを大切にした学習が重要となります。
その上で記述問題への対策を行いましょう。入試本番に向けた実践演習・模試の機会が増えてくるかと思いますが、解けなかった問題はどのような背景・流れで答えに辿り着くのかを確認し、基本とともに復習しておきましょう。
また志望校判定テストの結果を見て、自分の苦手分野・問題を分析しておきましょう。応用力が足りないのであれば演習量を増やしていく必要があります。
⑤過去問の取り組み方
過去問は基礎力が身についた6年後期の時期に取り組むことが効果的でしょう。
主に学校の入試傾向・難易度・時間配分を掴むことを目的として取り組みます。
そのため夏期講習が終わったタイミングで1年分解いてみることをオススメします。そこで各科目の出題傾向や時間配分の方法を分析しておきましょう。
特定分野の応用問題が苦手なのであればその分野の演習量を増やす、時間が足りないのであれば解くスピードを意識して演習に取り組むなど本番に向けた具体的な対策を練ることができます。
また早期に分析を行うことで、演習や模試の時間で意識すべきことが明確化されます。
このように1ヶ月に2年分くらいのペースで過去問に取り組み、最終的には10年分程度取り組めることが理想です。
また第二・三志望校に関しては3年分程度取り組み、同じく過去問の傾向等を掴んでおきましょう。
⑥保護者様ができるサポート
生徒様は4教科の学習を効率よく行うことが必要ですが、各教科における勉強目的、勉強計画を自力で整理することはかなり難しいと思われます。そのため目標を生徒様と一緒に立て、目標から逆算したスケジューリングをしてあげることが重要となります。
特に漢字・知識などの勉強については継続的に行う必要があるため、習慣を作ってあげるようなサポートも重要です。
「○月のテストで△点を取ろう!」「計画通り進んでる?」などの声かけを通して生徒様と保護者様が共に目標に向かって進めるような環境づくりを行うと良いでしょう。
また試験結果が悪くても「できなかったところを責める」ことは避けましょう。まずはできたところに注目して褒めてあげることが大切です。その上で苦手科目、分野を一緒に分析し、苦手克服のための勉強計画を練り直すことが重要です。
4. 大妻中学校の併願校
以下が大妻中学校を受験される生徒様の代表的な併願校となります。
〜1/31 | 2/2 | 2/3 | 2/4~ |
1/13 淑徳与野 | 共立女子 | 大妻 | 大妻4 |
1/22 昭和秀英 | 大妻 | 共立女 | 山脇学院C |
1/21 東邦大東邦 | 山脇学園B | 富士見 | 品川女子学院 |
まず1月中の受験は必須と考えてください。
それは①安全校の合格を勝ち取る、②受験の緊張感に慣れるといった目的があるためです。生徒様の緊張感をなるべくなくすためにも早めに合格を得ておくことが大切となります。
また全体として本校と同程度または1〜2ランク程度下のレベルの中学校を受験される方が多いイメージです。偏差値に余裕がある方は東邦大東邦中などを受験しても良いでしょう。
また2/4以降は倍率がかなり上がってしまうため2/3までの期間で確実に合格を勝ち取れるスケジュールを組むことが非常に重要となります。
まとめ
大妻中学校の入試傾向と対策法について幅広く解説してきました。
本校に合格するためにはまず基礎固めを徹底し、応用力を着実に身につける必要があります。また記述問題に重点をおく本校に向けて日頃から「書く」ことに意識を向けましょう。
入試突破は生徒様1人ではなく、保護者様のサポートも大切となります。
ぜひスケジュール管理など影で支えていただき、生徒様と二人三脚で受験に向かって頑張っていただければと思います。
正しい努力で中学受験を成功させるために勉強計画や勉強方法の参考にしていただければ幸いです。
【参考文献】
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