1. サレジオ学院中学校とは?
横浜市営地下鉄グリーンライン北山田駅の閑静な住宅街の中にある男子校です。
環境面がよく、キリスト教教育に基づいた人格教育が根づいており、在学生や卒業生からは「いい友達」と「いい先生」に恵まれたところが魅力だったとよく聞きます。
大学受験合格実績は、2024年東大11名(現役9名)、橋10名(現役8名)、東工大7(現役6名)を筆頭に早稲田82名、慶應52名と難関校へ多数の生徒が合格しています。
神奈川の中堅男子校として人気、実力ともにある伝統校です。
2. サレジオ学院中学校の入試傾向について
それではサレジオ学院中学校の入試について、具体的にチェックしていきましょう。
各教科では特に2024年度入試でポイントになった問題を厳選して解説します。
※教科別の入試情報はA試験の内容を中心に進めております。
①サレジオ学院中学校入試の特徴
※4教科点350満点
※A試験、B試験も共通です。
<2024年A試験結果>
・合格者最低点:229点(65.4%)
・合格者最高点:295点(84.2%)
・合格者平均点:250.3点(71.5%)
・受験者平均点:224.3点
<2024年B試験結果>
・合格者最低点:229点(65.4%)
・合格者最高点:280点(80.0%)
・合格者平均点:244.0点(69.7%)
・受験者平均点:214.5点
A試験、B試験ともには合格最低ラインが65.0%となっています。また、A試験の合格者平均71.5%、B試験、69.7%となっており7割越えの得点ゾーンが受験生の目標得点率になってきます。
標準的な問題を堅実に得点することで合格に近づくことができます。
<2024年A試験合格者平均得点率>
・算数68.7%
・国語70.3%
・理科80.2%
・社会68.0%
<2024年B試験合格者平均得点率>
・算数69.9%
・国語68.8%
・理科76.8%
・社会63.8%
※帰国生試験についてはサレジオ学院中学高等学校ホームページをご参照ください。
理科独自性が強い問題ですが8割ラインを、その他の教科は7割ラインを得点できるように過去問題の演習を進めましょう。社会が得点できると差がつけられるという特徴があります。
②算数
例年大問5題構成で難度としては標準的なレベルの問題が中心です。時間配分を意識しつつ失点を抑えて高得点を目指したいところです。
大問1は計算問題です。分数、小数などの四則混合計算問題が出題されるので落ち着いて完答しましょう。
大問2は小問集合です。速さ、規則性、整数などといった問題が幅広く出題されています。5問すべて正解したいところですが、難度にはばらつきがありますので、固執せずにどんどんできる問題から解答を進めましょう。
大問3〜5問は年によって出題が変わります。2024年は平面図形、数の性質、動点問題でした。年によっては思考力問題なども出題される場合もあり、落ち着いて正解できる問題をきっちり正解していきましょう。
2024年度特徴的だった問題は大問5です。正三角形が並べられその辺上を点が移動します。その距離、時間、面積などについての問題でした。三角形の図形としての特徴を理解しつつ、動点が2点あることで受験生に適度な難しさを与えてくるよく考えられた問題だったと思います。
③国語
例年大問3題構成で、漢字の読みと書き取り、論説文読解、小説文読解が出題されます。
特徴としては読解文の文章が10000字程度と長いため、速く正確に読み解くことが必要です。
大問1漢字の読みと書き取りは標準的なレベルで毎年出題されます。レベルは標準的なので全問完答できるように対策をしましょう。
読解問題の2題は設問による難しさは一部ありますが、中学受験問題を対策してきているのであれば十分力が発揮できるレベルです。選択肢を正確に選び、文中のキーワードをもとにして記述問題に取り組むことができればしっかり答えられる問題でした。
2024年特長的だった問題は大問3の読解でした。疫病を警戒する父と息子の話で、新型コロナウイルスが蔓延していたころを彷彿させる内容でした。一方で主観的に読み取っていくのではなく、文章中に書かれた登場人物の様子を正確に読み取る必要がある問題でもあり、読解力が鍛えられているかが問われている問題でもありました。やや難しめの問題でした。
④理科
大問4題というのが例年の構成ですが小問数が多いのが特長です。また小問は難易度順に並んでおらず、どの問題が易しいか難しいかなどは解いてみないとわからない構造になっています。導入や説明が多く設問数が多いこともあってタイトな時間で解答していく必要があります。
大問1は物理、大問2は化学、大問3が生物、大問4が地学という構造は毎年同形式です。各分野から満遍なく出題されており、分野を絞って学習することは難しくなっています。難度が高めになるのが思考力問題、計算問題などです。
2024年特長的だった問題は大問3でした。野外のフィールドワークの水質調査を通しての問題だったのですが、理科が苦手だと読みにくい調査方法についての説明などが長くあり、試験時間を意識していると飛ばしてしまいたくもなります。ただそこはしっかり設問までよく読み取って解答する必要があります。日頃から実験や調査、資料の読み取りなどに慣れていれば楽しんで進められる問題でした。
⑤社会
近年は大問数1題の総合問題形式で出題されます。総合問題形式ではありますが、地理、歴史、公民の分野から幅広く出題されます。ほぼ一問一答形式に近いため時間が足りないといったことにはあまりなりにくい問題になっています。地図、統計、資料を扱うため準備としては地図帳、資料集などはよく目を通しておくようにしたいところです。
2024年特長的だった問題は小問25の避難所に関する問題でした。避難所をわかりやすく伝えるための課題点を指摘する問題でした。障がい者に対しての配慮や、外国人労働者などもわかるようにする配慮などが必要であることを指摘する問題ですが、教えられて気づくことではなく他者に対する配慮があるかどうかなどが問われています。人格教育に重きをおくサレジオ学院らしい問題だったのではないかと思います。
⑥問題の形式が似ている学校
問題の傾向、また併願のことを考えると活用できるとよい学校は
逗子開成中学校、浅野中学校、都内の学校であれば芝中学校なども活用してもよいかもしれません。
難関男子校の標準的な問題はサレジオ学院の受験対策にも役立てられます。
3. サレジオ学院中学校を受験する際の併願パターンは
受験校を決めるにあたっておすすめなのは「第一志望校の受験日までに合格」をしていることです。どの生徒様にとっても初めての受験。併願校で合格して本命に望むことができるかどうかは大きな安心材料になります。1月に受験する併願校から2月2日まで徐々にステップアップして受験をすることが個人的にはおすすめです。
①1月受験校
栄東中学校・市川中学校
実際に通うことよりも合格することを優先して、実力試しをしていくのが1月受験です。そうなってくると栄東中学校、市川中学校などを受験することがよいでしょう。
神奈川にお住まいであれば、受験をしないことも十分選択肢となりうると思います。
②2月1日
サレジオ学院中学校A試験
A試験本番です。本格的な受験スタートの初日に第一志望校の受験となります。まずはここで力を発揮できるように準備を進めましょう。
③2月2日
中央大附属横浜中学校・神奈川大学附属中学校・鎌倉学園中学校
進学のことを考えるのであれば堅実に合格をしておきたいところです。
この日は攻めというよりも守りの日。男子校にこだわりたいのであれば鎌倉学園という選択肢になるでしょう。
2日目以降のチャレンジを見据えて合格を掴んでおきましょう。
④2月3日
浅野中学校・逗子開成中学校
チャレンジ校として神奈川男子校御三家の浅野中学校を選択する方が多いです。安全圏というのであれば逗子開成中学校を受験するのがよいでしょう。
⑤2月4日
サレジオ学院中学校(B試験)
B試験の本番です。A試験に合格しているのであれば、受験する必要はありませんが、第一志望校が複数回受験できるのであれば、まずはその学校を受験することをおすすめします。
難度が上がるので避けたいということであれば堅実な受験がよいので、その場合は鎌倉学園の3回目の試験を受験しましょう。
⑥2月5日
逗子開成中学校・桐蔭学園中学校
ここまで受験を引き伸ばさないことが前提になりますが、その場合を考えると逗子開成中学校か、お住まいで桐蔭学園中学校を選択するかというようになるかと思います。
4. サレジオ学院中学校の受験対策方法
サレジオ学院の入試問題は難関校にふさわしく全科目、全分野の準備をしておく必要があります。
まずは基礎の学習を徹底しましょう。基本の土台があって初めて力が生きてくる問題も多いですから、早めの準備とたっぷりと余裕を持った学習、そして勉強だけでなく様々な自然、社会といったものに興味関心を持つことも大切です。それでは具体的に解説していきます。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学四年生
受験勉強は小4から始めましょう。
逆算して考えると小4までに算数は特殊算(周期算・植木算・つるかめ算など)の考え方や図形の理解を深めたいところです。
国語は読書量を増やし、説明文読解に触れる機会を増やすことが大切です。
理科は4分野が満遍なく出題されるため小4生の段階ではまず中学受験教材を使って学習をスタートし、百科事典や図鑑を見て知識を広げておくことをしましょう。
社会は地理、歴史、公民といった分野の出題があるため地理は地図帳や資料を読み、歴史は歴史まんがなどを活用、公民は新聞やニュースを見るようにしておきましょう。興味関心を日常的に広げるのが大切です。
(2)小学五年生
受験科目の学習スタートです。「算数国語は小5で一通りの学習を終え、理社は図表や地図など知識を深める」ようにしましょう。
算数は小5までで単元ごとの学習を完了しましょう。サレジオ学院中学校のような難関校では数の性質、速さ、図形といった問題の出題傾向があるため、特に力を入れて演習しておきたいところです。
国語は記述問題と文法事項の確認を進めましょう。文法の学習が必要なのは問題に文法が出題されるからだけでなく、選択問題を論理的に考えて解くことと、記述問題を正確に書けるようにするため必要です。
理科は計算が必要な問題、速さ、質量、体積の問題を十分演習しておきましょう。特に試験時間に対して設問が多いのでしっかり練習しておきましょう。
社会は近現代の統計が揃っている時代の資料を使った問題を解いておき、教科書にも出てくる農産物の生産量、工業製品の出荷額など目を通してください。社会の教科書のグラフ、資料の読み取りの時間を作ることもやっておきましょう。また、サレジオ学院中学校では総合問題形式で出題されるのでどの分野もしっかりと仕上げておきたいところです。
(3)小学六年生(4月〜6月)
全領域を完成させて総合演習に入る時期です。この時期には入試問題を演習しましょう。自分で対策をするというよりも、志望校対策をする中学受験塾に通って効率よく仕上げ学習をするのがよい時期です。
算数と国語は総合演習です。志望校以外の入試問題で構成された演習問題を解きながら実力養成をしましょう。志望校の入試問題は9月以降にとっておき、入試本番を想定した過去問演習で使うのがよいです。この時期は時間内に問題を解く、正確にミスなくできるようにする、そして得意分野を作っておく練習をする時期です。そして復習ノートを作って間違い直しをして、自分の弱点分野にあたる学習を復習しておきましょう。
理科社会も分野別の学習から分野を横断した入試問題形式の学習を進めましょう。この段階で知識不足がないように、小4、小5の学習を進めておきたいところです。
(4)小学六年生(7月〜8月)
まとめの時期です。基礎、標準レベルの問題で失点しないことが中学受験では重要なため、夏期講習などを通して徹底して基礎力を固めましょう。そして勝負を分けるのが難度の高い問題です。特にサレジオ学院中学校の準備としては速さ、時間、割合といった問題の応用問題、図形の応用問題にチャレンジおいてください。
理社はここがまとまった弱点補強の機会です。分野別に復習をしていくこと、資料を読み解いて知識を深めることなどやりたいことはたくさんありますが、優先準備を決めて取り組みましょう。
塾では志望校別のテキストを使って対策をする時期です。この時期は成果重視で学習塾などの環境も上手く使うべきです。また、ともに同じ志望校を目指して学習する同級生がどの程度のレベル、到達度なのかを比べ合うことも重要な経験です。
(5)小学六年生(9月~11月)
志望校の過去問題の演習時期です。第一志望校と併願校の過去問題を演習し本番力をつけていきます。試験慣れをして、最後まで集中しきって解答できるように、この時期にリズムをとって進めていきます。最低でも過去問題は10年分。一度ではなく二度三度と解きなおしをしていきます。
この時期の学習のポイントは「本番力の養成」です。入試本番の試験時間、試験問題を意識した学習を進めて本番で得点できる力をつけます。
詳しくは「過去問題対策方法」に記載していますのでそちらもご覧ください。
(6)小学六年生(12月~1月)
入試本番へ向けての最終調整の時期です。この時期には志望校、併願校、入試スケジュールなどはほぼ決まっていますので、試験日から逆算して過去問題の演習と弱点補強、日々のルーティンとしての問題演習などを進め、万全の状態で本番を迎える準備をする時期です。
規則正しい生活リズムを意識して、健康的な生活を意識しましょう。受験のことを考えると集中力のピークを午前中に持っていけるようにしましょう。
②サレジオ学院中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
サレジオ学院中学校のように難度の高い入試問題は次のように進めるのがおすすめです。
①入試本番と同じ時間、時間割で問題を4教科解く
②自己採点をして解説をよく読む
③該当分野の問題演習を進める
④間違えた問題は再度チャレンジする
この4つです。
(2)いつから解き始めればよいか
標準的な開始時期は小6の9月です。
過去問題の対策は、4教科の学習と演習が終了した後に実施しましょう。受験勉強のなかで、過去問題を使った学習は本番の次に重要と言ってもいいくらいの大切な学習です。ですから雰囲気を味わいたいので大問1つだけ昨年度の問題をやってみるといったことは避けて丸々1年分解くことがおすすめです。
(3)何年分を何周解けばよいか
4教科で10年分は解いておきましょう。時間に余裕があるのであれば15年分解いても良いと思います。
ただし、1度解いて終わりではなく、解き直しと再チャレンジを含めても同じ年度を最低3周は解いておきたいところです。入試の過去問題はどの問題が出題されても、バッチリできるようにしておくのがベストです。
サレジオ学院中学校はどの教科もバランスよく最低10年分を3周は必ず過去問題の演習はしておきたいところです。
時間配分や問題の解き慣れにもなるように、たっぷり時間をかけて準備を進めてください。
国語は10年分を3周必ずしておきましょう。そして記述問題の根拠を時間内に見つけ、文構造を組み立てて解答する練習をしっかりしておきましょう。
理社についてはまずは10年分。復習は2周分でも足りるかもしれませんが、分野ごとの演習として遡って問題を解いておくのはありです。ただ、問題を解く前に単元別の復習をよくしておくべきなので、得点と時間をよく考え、相談しながら決めましょう。
③保護者様にできるサポート内容
(1)生徒様のモチベーションを高める
受験へ向けて最も成績を左右するのは生徒様のモチベーションです。高いモチベーションを維持するには身近にいる保護者様がよいパートナーになっていることが望ましいです。生徒様は怒ったり、叱られるということよりも「信頼され期待される」ことのほうを望んでいます。特に学習ではテストの点数などで落ち込んだり、フラストレーションがたまることがあります。その時によく話を聞いて、優しいアドバイスや前向きな言葉がけをしていただくだけで生徒様はまた頑張ろうと思って行動に移すことができます。特に親子の関係では、「生徒様の意見をよく聴く」ことを意識してください。
(2)スケジュールの管理、ペース配分などのサポート
小学生が苦手なところとしてどの生徒様もあるのがスケジュール管理です。中学受験をする小学生はある意味アスリートと同じような状態にありますので、マネジメントを保護者様がすることでプレーである学習に集中できるようになります。いつまでに何を終わらせるか?といったことも生徒様だけに任せてパンクしてしまうよりも、ご家庭でオープンにして「いつまでに何をやる」という目標を立てたり、「うまくいかなかった場合にどうリカバリーするか」などを管理していただけると生徒様も安心して学習に集中できるようになります。
(3)学習環境の構築
学習環境は中学受験ではとても重要なポイントです。ここでの学習環境は勉強部屋のような施設・設備だけではなく、使う教材や通う塾のことも示しています。
多くの方は中学受験塾にご通塾され準備をすることになると思いますが、教材や塾選びも大切です。どのくらい生徒様の面倒をみてくれるか、相性はどうか?といったところまで生徒様にすべて考えさせることは難しいですから、保護者様が万全の状態で受験の準備ができるように、整えていくことが大切です。
まとめ
神奈川の難関男子校であるサレジオ学院中学校。
入試問題の難度は高すぎることはありませんが、出題はバランスよく、4教科とも満遍なく学習する必要があります。
ぜひ合格して通学する日のことを想像しながら、受験の準備を一歩ずつ進めてください。
多くの卒業生がそうであるように、社会貢献できる人材として羽ばたけるように、まずはこの中学受験を乗り越えてください。
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