1. 淑徳中学校とは?
1892年に前身の学校が設立され、1948年に現校名に改称、1991年に共学校となりました。スーパー特進東大選抜コースとスーパー特進の2コース制ですが、進級時にコース替えがありますので、入学後の努力次第で、上位コースへと移動できます。
早稲田大学・慶応大学などの難関大学へ多数合格しています。昔から英語教育に定評があり、中学3年生時に全員参加の語学研修、高校時には1年間の留学が義務付けられる留学コースが設置されているなど、本気で英語を学びたい生徒様をバックアップ。
週一回の淑徳の時間では、仏教を通じた人間教育が行われています。
2. 淑徳中学校の入試傾向について
スーパー特進入試第一回の試験科目は、算数・国語・理科・社会の四科目、または算数・国語の二科目です。試験時間は各々50分・50分・25分・25分、配点は100点・100点・50点・50点となっています。
スーパー特進入試第二回の試験科目は、算数・国語の二科目で、試験時間・配点は上記同様です。スーパー特進東大選抜入試第一回~第三回の試験科目は、算数・国語の二科目で、試験時間・配点は上記同様です。
スーパー特進入試第一回では、四科目・二科目の選択ではありますが、四科目の生徒様はいずれの基準点でも合否判定をしてもらえます。また、スーパー特進入試では、高得点の生徒様はスーパー特進東大選抜へとスライド合格が可能です。
入試問題は、算数で差がつきやすい傾向にあります。数の問題・図形・速さを中心に十分な対策をしてください。国語では、文章レベルがやや高く、記述問題・作文問題どちらも問われる可能性があります。
理科は理解を中心に、一方社会は知識問題を中心に対策すると良いでしょう。
①算数
例年、大問5題の出題で、大問1番は計算問題、大問2番は小問集合、大問3番以降が単元別の問題となっています。大問によっては、解法を書く問題があります。採点官に式・やり方が伝わるように書く必要がありますので、よく練習してください。この傾向は回数によりません。
よく出題される単元は数の問題・図形・速さです。全体として基本〜標準的な問題が中心です。しかし、スーパー特進東大選抜の方が、やや難しめの問題です。以下、単元別に解説します。数の問題は規則性・場合の数・約数・倍数がよく出題されています。具体的に書き出して状況を把握しましょう。
図形は平面図形・立体図形共に出題されており、平面図形は、相似・面積・図形の移動が、立体図形は、体積・回転体がよく出題されています。
2024年度第一回スーパー特進でも、図形の移動に関する問題が出題されました。図形の移動は頻出単元ですから、過去問で対策をしていた生徒様にとっては容易な問題だったと思われます。
速さは水量・旅人算・運賃の問題が中心です。グラフを伴う問題が頻出です。過去問や問題集でよく演習をしてください。
②国語
例年、大問2題の出題で、大問1・2番各々文章題となっています。この形式は回数によりませんが、算数同様、スーパー特進東大選抜の問題がやや難しめの問題です。
文章題は説明文と物語文が各々1題ずつ出題されています。どちらの文章も、文章のレベルはやや高いものが出題されています。幅広く様々なジャンルを読んでおく必要があるでしょう。設問は漢字・接続詞・文学史・語彙・正誤選択・抜き出し・穴埋め・記述問題など、総合的な出題となっています。
最も特徴的な問題は記述問題です。記述問題は、大きく分けて2通りの出題形式です。一つは、本文の内容に関する記述問題です。50字〜100字程度の字数が多く、複数題出題されています。
要旨を問うような本格的な記述問題も出題されています。2024年度第一回スーパー特進東大選抜は、物語文で100字の記述問題がありました。この問題に対しては、しっかりとした読解力とポイントを外さずに書くことが求められます。
もう一つの形式が、生徒様の考えを問う作文問題です。2024年度第一回スーパー特進では、こちらの形式の記述問題が出題され、憧れを持っている職業について100字で書く記述問題でした。
日頃から日記を書いたり、記事の感想を書いて、生徒様自身の考えを書く練習をしてください。どちらの形式が問われても良いように準備しましょう。
③理科
例年、大問4題の出題で、物理・化学・生物・地学が満遍なく出題されています。この傾向は回数によりません。
全体としては基本〜標準的なものが多いですが、実験・考察・観察問題や時事的な題材が中心ですので、解きづらさを感じる生徒様もいらっしゃるように思われます。机上の勉強だけではなく、普段から図鑑・理科事典を見ながら納得していく、理解していく学習の仕方が必要です。
計算問題も出題されており、物理・化学だけではなく、生物・地学分野でも出題されます。文章をよく読めば計算できる問題も多いですから、とにかく良く読解し、必要な情報を的確に取り出せるように練習しましょう。
尚、2024年度第一回では、物理・化学・地学で計算問題が出題されました。一つひとつの計算量は多くないのですが、表や文章の読み取り、言葉の定義(密度とは何か)が問われる内容でしたから、対応できた生徒様とそうでない生徒様で差がついたと思われます。
記述問題も出題されています。生徒様の考えを述べる問題もありますから、日頃から理科に興味を持ち、科学館に行ったり、ドキュメンタリー番組を見たりするのが良い対策になるでしょう。
④社会
例年、大問4題の出題で、地理・歴史・公民・時事問題が満遍なく出題されています。基本〜標準的な問題中心の出題です。この傾向は回数によりません。
地理では、地図帳を中心とした学習を意識しましょう。具体的な都市の場所や地形が問われる場合があります。また、グラフや統計も頻出です。日頃から資料集を確認して、理解をしていくと良いでしょう。
世界地理もよく出題されています。国の場所、緯度経度、時差、世界の地形など学習しておいた方が良いと思われます。地形図についての出題もあるので、学習しましょう。
歴史は大問で2題出題されており、できごとの並べ替えとできごとの正誤問題です。できごとと時代を結びつけておき、流れを理解しておく必要があります。
2024年度第一回スーパー特進では、史料や写真を基にできごとを並べ替える問題が出題されました。具体的な年号暗記だけでなく、資料集での学習も欠かせません。
公民は、日本国憲法が頻出で、その他も幅広く出題されています。条文穴埋め問題もありますから、対策が必要です。時事問題も出題されていますので、ここ1.2年の内容は理解しましょう。
⑤問題の形式等が似ている学校は?
全体的な傾向としては、帝京大学中学校とサレジアン国際学園世田谷中学校を混ぜたような出題です。算数と理科は帝京大学中学校の方が似ており、国語と社会はサレジアン国際学園世田谷中学校が似ているでしょう。
3. 淑徳中学校を受ける際の併願パターンは?
①1月
埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校 |
1月は、練習として、埼玉栄中学校・獨協埼玉中学校・西武学園文理中学校が挙げられます。
しっかりと合格を手にすることで、精神的に落ち着けると思われます。
②2月1日
午前:淑徳中学校(スーパー特進・1次) 午後:淑徳中学校(スーパー特進東大選抜・1次) |
午前・午後、どちらも淑徳中学校で決まりです。
③2月2日
午前:安田学園中学校(3次)・穎明館中学校(2次)・駒込中学校(3次) 午後:淑徳中学校(スーパー特進東大選抜・2次)・三田国際学園中学校(ISC・3次) |
午前の受験校の選択については、スーパー特進に合格している場合は「安田学園中学校(3次)」が適しています。一方、合格していない場合は「穎明館中学校(2次)」や「駒込中学校(3次)」がよい選択肢となるでしょう。
午後は「淑徳(スーパー特進東大選抜・2次)」が最適です。すでに合格している場合は、「三田国際学園中学校(ISC・3次)」も候補に挙がります。ただし、1日に午前・午後と続けて受験することを考えると、生徒様の負担を考慮し、どちらかの受験を回避するのも一案です。
④2月3日
午前:安田学園中学校(5次)・法政大学中学校(2次)・日本大学第一中学校(2科・1次) |
午前にスーパー特進に合格している場合は、「安田学園中学校(5次)」が適しています。また、2日までにスーパー特進東大選抜に合格している場合は、「法政大学中学校(2次)」が良い選択肢となります。一方で、抑え校に合格していない場合は、「日本大学第一中学校(2科・1次)」が適切でしょう。
午後は「淑徳中学校(スーパー特進・2次)」が最適です。また、スーパー特進に合格している場合は、「芝国際中学校(特待・4次)」にチャレンジするのも良いでしょう。
⑤2月4日
三田国際学園中学校(ISC・4次)・穎明館中学校(4次) |
スーパー特進東大選抜に合格している場合は、「三田国際学園中学校(ISC・4次)」が適しています。一方、抑え校としては「穎明館中学校(4次)」が良いでしょう。
4. 淑徳中学校の受験対策方法
ここからは具体的な受験対策方法について説明します。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学4年生
算数 |
算数は、塾のカリキュラムに沿って学習しましょう。 また、計算力も必須です。淑徳中学校では、計算問題が出題されていますし、計算力が必要な問題も多々出題されています。 |
国語 | 国語も、カリキュラム・予習シリーズをもとに学習しますが、文章が難しいと感じる場合は、少し簡単な文章から確実に読めるようにしてください。 |
理科 | 理科は、生物・地学を中心とした暗記単元が始まりますから、今のうちにしっかりと暗記をしましょう。 |
社会 | 社会は、地理分野が本格的に始まりますので、地図帳片手に場所を調べながら学習しましょう。 |
(2)小学5年生
算数 | 算数はカリキュラム通りに学習して頂きたいですが、小学4年生の内容、及び小学5年生で習う内容も適宜復習してください。 |
国語 | 国語は、物語文・説明文共に、客観的に読む訓練です。 |
理科 | 理科は、物理・化学などの計算問題が始まります。単元問わず、計算問題はよく出題されていますので、標準的な問題は解けるようにしましょう。単に解法を暗記するのではなく、式の意味を考えましょう。 |
社会 | 社会は、歴史が始まります。全体的な流れを理解しながら、暗記をしてください。主なできごとが何時代なのか、判断できるまで反復してください。できごとの並べ替え問題が出題されます。年号暗記も必要となりますので、しっかりと暗記をしてください。資料問題も多いですから、写真・絵・史料をよく見ておいてください。 |
(3)小学6年生(4月〜6月)
算数 | 算数は、前学年までの復習をしっかりしながら、全体的なレベルを上げていく時期です。 |
国語 | 国語は、標準的な文章で、設問の解き方を確認してください。作文の対策として日記だけでなく、新聞記事を使用して、自分の考えを書く練習をすると良いでしょう。 |
理科 | 理科は、引き続き、身の回りの事柄への理解を深めましょう。計算問題についても、言葉の意味にも気を付けながら、難しい計算と言うよりも、仕組みを理解できるようにしてください。 |
社会 | 社会は公民が始まります。幅広く基本~標準的な内容を定着させてください。日本国憲法の条文については、穴埋め問題が出題されますから、十分対策をしましょう。グラフや資料も読み込むようにしましょう。時間を見つけて、地理・歴史の復習も取り入れると、今後楽になります。 |
(4)小学6年生(7月〜8月)
算数 | 算数は、過去問を3〜5回分解きましょう。また、苦手単元があれば、夏休み中に克服しましょう。 |
国語 | 国語も、過去問を3回分は解いて、形式になれましょう。記述問題は、記述する際に主語を書くことを意識すると良いと思われます。 |
理科 | 理科も、過去問を3回分解きましょう。理解不足の所は、基本に戻って理解をしましょう。知識問題はこの夏休みに定着させましょう。 |
社会 | 社会も3回分過去問を解きましょう。過去問を通して弱点を見つけ、補強しましょう。 |
(5)小学6年生(9月~11月)
算数 | 算数は、過去問中心になりますが、とくに解き直しに力を入れてください。 |
国語 | 国語は、過去問を中心に進めますが、漢字や語彙も強化も忘れずにおぼえてください。 |
理科 | 理科も過去問を中心に学習します。 |
社会 | 社会も、過去問は解きますが、それと同時に、全般的な復習も忘れずにしてください。 |
(6)小学6年生(12月~1月)
算数 | 算数は過去問の解き直し、数の問題・図形・速さの問題ができるようにしましょう。 |
国語 | 国語は時間配分・設問形式を忘れないために、1週間~2週間に1度は過去問に触れましょう。 |
理科 | 理科は、今まで習ってきた内容や過去問の内容で、理解しきれていない単元を確認してください。 |
社会 | 社会は、全般的な復習をしつつ、地理では地図帳・統計・世界地理を中心に確認してください。歴史は年号の確認、公民は日本国憲法条文を再度確認しましょう。時事問題はできるだけ多くの内容を理解してください。 |
②淑徳中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
算数は比較的似た傾向の問題が出題されるので、過去問の解き直しをしてください。
国語・理科・社会については、過去問から形式になれるようにしましょう。過去問に適応できない生徒様は10回分以上解きましょう。
(2)いつから解き始めればよいか
算数と国語については、夏休み前から解き始めましょう。この2科目は配点が高い科目で、算数は差がつく教科です。
一方、理科と社会は夏休みに入ってから始めましょう。あまり早く始めても、試験範囲の学習が終わっていない場合があるので、夏休みに集中して学習しましょう。
(3)何年分を何周解けばよいか
算数 | 算数は数の問題・図形・速さの問題を素早く正確に解く練習が必要です。 |
国語 | 国語は記述問題が多く、作文問題が出題されています。 |
理科 |
理科は、過去問を解きながら理解していない箇所を発見し、周辺事項を理解し直すようにしましょう。計算問題についても、理解することが重要です。 最低5回分、できれば10回分解きましょう。 |
社会 | 社会は特殊な形式ではありません。そのため、5~10回分解きましょう。 |
③保護者様にできるサポート内容
(1)成績が下降してきたら…
基本〜標準的な問題ができなくなっている可能性が高いです。塾などで難しい問題ばかりしていると、基本的な所がおろそかになり、成績が下降します。小学4年生・5年生の基本的な問題から復習するように伝えてください。
生徒様にも「少し前の単元に戻ってやってみようか。」とお声掛けし、「ゆっくり基本からやり直してみよう。」と生徒様を責めずに、対応してください。また、試験の結果に一喜一憂せず、長い目で生徒様を見てあげてください。
間違えた問題をできるまで解き直すのが復習です。また、1度解けたとしても、しばらく日にちが経過してから解き直すことも必要なので、保護者様で管理してください。
(2)計算力対策
淑徳中学校では計算問題が必ず出題されているので、毎日10問程度、四則演算の計算問題を解くと良いでしょう。
計算間違いが多い生徒様の場合、まずはゆっくりと正確に問題を解く練習をしましょう。正確さが身についてから、スピードの順番でお願いします。
(3)理科の対策
淑徳中学校の理科は、理解を問う問題が出題されいます。保護者様としましては、身近な事柄について、生徒様と会話をしながら、一緒に調べて理解させるようにしてください。
たとえば、
「洗濯物を干すと乾くのは何故だろうね?」
「シャボン玉の仕組みを一緒に考えてみようか。」
「虫眼鏡はどういう仕組みになっているんだろうね。」
「鏡に全身を映すにはどうすればよいだろう。」
など、身近にあるものを調べることが、理科の対策につながります。
ぜひ、生徒様とご一緒に取り組んでください。
(4)時事問題対策
時事問題こそ、保護者様の出番です。今、ニュースや新聞で見聞きする内容は、保護者様にとってはわかる内容でも、生徒様にはわからない内容も多いです。ニュースや新聞で出てきた内容を生徒様と会話してください。
たとえば、
「今円安が進んでいるってニュースで言っていたけど、どういうことかわかる?」
「男女の格差社会ってどういうことなんだろうね?」
と言った質問を生徒様にして、わからない場合は一緒に調べましょう。
(5)ケアレスミス対策
計算間違い・見間違い・勘違いなど全てケアレスミスと言われます。しかし、そのミスは放っておいて直るのでしょうか。また、優秀な生徒様は何故ケアレスミスが少ないのでしょうか。
計算ミスを防ぐには、(2)でお話したように、ゆっくり、正確に計算できることが大切です。頭で計算(暗算)せずに、筆算をしましょう。
次に、見間違い・勘違いについてです。文章の数字や人物には丸をつけるなど、目立つようにしましょう。また、何を答えるべきなのか、設問で聞かれていることにも印をつけます。答えを出したら、問題文を確認して、生徒様自身の解答も確認してください。
このように、徹底すると今までのミスが少なくなります。保護者様も、生徒様の横でチェックしてください。
まとめ
入試問題は算数で差がつく傾向にあります。数の問題・図形・速さが頻出単元ですから、とくに力を入れて取り組みましょう。
国語は読解力と記述力が問われます。記述問題については、作文問題が出題されることもありますから、生徒様の考えを論理的に書けるように練習しましょう。
理科は理解に重きを置いた対策を、一方で社会は知識問題が主ですから、暗記をしてください。
【参考文献】
・淑徳中学校
・淑徳中学校2025年度版10年間過去問声の教育社
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