1. 豊島岡女子学園中学校とは
豊島岡女子学園中学校は1892年に創立された私立女子中学校で東京都豊島区に位置しています。
近年では「新御三家」の1つに数えられるほど難易度の高い学校として知られており、2/2〜4を受験日にしている本校では2/1受験日の女子最難関の併願校にも挙げられます。
そんな豊島岡では「道義実践・勤勉努力・一能専念」を教育方針に掲げ、伝統的な倫理・道徳を規範とした指導を行っています。
また英語教育に力をいれる本校では充実した海外研修や留学制度が整っており、特に英語を学びたい生徒様にとっては非常に良い環境となる学校です。
2. 豊島岡女子学園中学校の入試傾向
豊島岡入試の各科目ごとの配点・試験時間、試験結果は以下の通りです。
科目 | 配点 | 時間 |
算数 | 100点 | 50分 |
国語 | 100点 | 50分 |
理科・社会 | 50点・50点 | 50分 |
まず配点から国語・算数に大きく比重をおいた試験であることがわかります。また受験者・合格者平均点差の大部分が国語・算数で占められており、国語・算数の得点差が合否に直結していると言って過言ではないでしょう。
一方理科社会に関して、比重はそこまで高くないものの合格者平均点が7割〜8割程度と高得点勝負となっていることが特徴です。そのため1つのミスが大きな命取りとなり、基礎力の充実が必要不可欠となります。
また入試は理社合わせて50分と珍しい形式となります。また問題数も多いため非常にスピードが求められる試験となっています。
①算数の入試傾向
試験時間50分、大問6つで構成される算数の試験問題は大きく大問1・2と大問3〜6の2つに分けられます。
大問1・2は「小問集合」に分類され、難易度の高い問題もあるものの大半が標準的な問題となります。一方大問3〜6は「応用問題」に分類され、難しい問題が多いものの出題分野にかなり傾向が見られます。
そのため早期に基礎固めをクリアし、出題傾向のある分野は特に応用力を身につけることが必要となります。
また「平面図形」「立体図形」「速さ」「数の性質」「文章題」の分野が中心に出題されています。よって実践力を身につける6年後期の段階では優先的に取り組む必要があり、これらの分野の問題で7〜8割程度取れる状態が必要です。
特に立体図形に関しては大問6で「切断問題」がほぼ毎回出題されており、差がつく非常に重要な分野です。
2024年度の大問6では「平行な面の切り口は平行である」という性質をもとにして解く問題でした。切断問題には様々な技術が存在し、それらを使えるように訓練する必要があります。そのため量を踏んで様々な解法の切り口を学ぶ必要があります。
②国語の入試傾向
国語の試験は論説文・物語文の2題で構成されています。文量は7000〜8000字程度であり、回答数は25問程度であるためすばやい処理能力が求められる試験だといえます。
問題内容としては選択肢の比率が高く、5つの選択肢から適切なものを選ぶ問題の出題が定番となります。
また文章の要旨に関する60〜90字程度の記述問題も出題されることから深い文章理解が問われる試験となります。
2024年度大問1(8)は文章の要旨を読み取り、波線部から離れた第3段落の内容も踏まえて解く必要がありました。答えの根拠は近くにあるとは限りません。全体の論理も踏まえて問題にアプローチする必要があります。
最終的には様々な解法を土台とした文章の要旨をすばやく理解することが必要です。
一方知識問題に関して毎年漢字3題は必ず出題されますが、語彙問題は年度によってまちまちです。そのため読解問題に比重を置いた試験であるといえます。
しかし併願校で国語の知識が重要となるケース、語彙力が読解力の土台となることを踏まえても知識の強化は必要と言えます。
③理科の入試傾向
理科の試験は社会と合わせて50分、物理・化学・生物・地学の計4問で構成されています。標準的な問題が中心ですが、単純計算で大問4つを25分で解き切る必要があるためスピードが求められる試験となります。
問題内容としては実験・観察結果から問われる問題が多く、計算問題・知識問題に比重を置いています。
そのため各分野の基礎固めを徹底し、物理化学を中心に計算問題の練習を着実に行うことが必要です。
2024年度大問2では「化学変化」に関する問題が出題されました。2種類の反応が起こる複雑な設定でしたが、基本に忠実に行うことで解ける問題でした。
➃社会の入試傾向
社会の試験は理科と合わせて50分、大問3つで構成されています。理科と同じく、時間が短いため解くスピードが非常に重要です。
問題内容としては「あるテーマに関するリード文から出題される形式」「資料・地形図・史料をもとに出題される形式」の2つに大分されます。これらの問題は単なる知識ではなく、自分の知識と結びつける力が必要となります。
また歴史・地理・公民の全分野から各1題で出題される構成となりますが、各大問で他分野の知識が関わるケースも多く「体系的な知識」が求められます。
そのため体系的な知識を身につけ、それらの知識を資料やリード文と結びつけることで答えを導く能力が必要です。
2024年度大問1では政治史に関する史料から問題が出題されました。史料の読み取りだけでなく関連知識に関する問題も多く出題され、知識の充実度が合否を分けるといっても過言ではありません。
3. 豊島岡女子学園中学校の入試対策
豊島岡に限った話ではありませんが、6年生前期までに基礎固めを終え、6年生後期で受験本番に向けた実践演習を積んでいくことが受験攻略の鍵となります。
どんな難問も基礎力の土台があって初めて解けるようになるものです。そのため6年性後期の演習に向けて基礎固めを徹底することが必要となります。
基礎固めの必要性は全ての教科に言えることですが、豊島岡の場合は特に算数・国語の難易度が高く実践演習の量を積むことが必要となります。そのため6年前期までに算数・国語の基礎固めを終え、成績を安定させられるかが鍵となります。
理科・社会に関しても徹底的な基礎固めを行ってください。最終的には資料・データ・グラフの読み取り問題を解く上で実践演習の慣れも必要となりますが、これらの力は土台の知識力があってはじめて安定させることができるものです。
また入試に向けた実践力は日頃の勉強習慣にも影響します。特に解答までのプロセスを重要視する算数・国語においては日頃から考えたことを「書く」習慣が大切です。以下の習慣は身についているでしょうか。
算数:式や図を用いて考えをノートに残す
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これらの習慣は自分の考えがあっているか確かめるきっかけにもなります。その際、間違えた部分はしっかりと直し今後同じ間違えをしないように復習しましょう。 ここで具体的な勉強方法に関して解説します。
①5年生
5年生の勉強で意識することは各科目で基礎を固めることです。
5年生では多くの塾で新たな分野の授業が次々と行われ、授業進度に遅れることが今後の学習の足を引っ張る恐れがあります。
まずは新たに習った分野の学習をその週のうちに消化する習慣作りが必要となります。
そのためには各塾で1ヶ月に1回程度実施されている確認テストに照準を合わせた勉強が効果的となります。確認テストは基礎力の定着度合いの確認を行うことができ、生徒様も目標意識を持ちやすいことから非常に有用となります。
豊島岡を志望される生徒様は各塾で発表されている偏差値を目標におき、そこから逆算して勉強計画を立てると良いでしょう。
・SAPIX:61
|
(1)算数
基礎固めを意識した勉強を徹底し、毎回の確認テストに焦点を置いた勉強を行いましょう。
算数においては「解法を覚える」ような勉強に走ってしまっている生徒様も多いですが、解法暗記では難易度の高い問題に対応することができず応用力がききません。
「なぜこのように解くのか?」を説明できるようにすることが重要です。
そのためには日頃から「図・式・表を書く」習慣づくりが必要となります。考えのプロセスをまとめる作業は自分の考えを整理できるだけでなく、間違えた原因の発見にも役立ちます。
(2)国語
豊島岡の入試は読解問題が中心となるため、読解問題の勉強に焦点を置く必要があります。
しかし読解問題の勉強は「量」より「質」が重要です。そのため多くの問題に触れる必要はありません。その分授業で扱った文章を深く復習することを意識しましょう。
ここで「深く復習するとは?」と思われた方が多いと思います。
深く復習するとは具体的に
・解いた問題の「解答までのプロセス」を図式化するなどして理解し、最終的には自身の言葉でまとめ直す
|
の2点です。
読解問題には「心情説明」や「理由説明」などある程度問題のパターンが存在し、解法も多く存在します。そのため解答までのプロセスを理解し、その解法をストックしていくことが有効です。
一方、豊島岡では知識問題に関して比重は小さいものの毎年出題されます。そのため市販の参考書等を用いてコツコツと積み上げることも必要です。毎日一定の時間に勉強する習慣をつけることが大切です。
(3)理科
豊島岡の入試では標準的な問題が多く出題されます。そのため「基礎固め」は徹底する必要があります。
まず全分野に共通して
知識のインプット⇄問題演習を通したアウトプット
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のサイクルを意識して勉強することが必要です。知識のインプットだけでは知識の使い方を学ぶことはできず、「体系的な知識にならない」ためです。
またインプットする際に意識するべきこととしては原理・背景を理解することです。
例えば電気回路(物理)において乾電池が「電流を起こすもの」であることは理解しやすいです。しかし豆電球が「電流を邪魔するもの」であるのは、水路中で回る水車が水の流れを邪魔するように電気が流れにくいフィラメント中を通る必要があるためです。
このような原理を1つずつ押さえることでアウトプットに必要な知識を理解しながら暗記することができます。
(4)社会
社会に関しても理科と同じく「基礎固め」を徹底しましょう。社会に関してはインプットの比重が多くなるため、暗記の工夫をすると良いです。
ここで各分野で具体的な知識のインプット方法をお伝えします。
<地理>
地理の学習は地名・気候→産業の流れで授業が進んでいきます。まず地名・気候に関しては以下のことに注意しましょう。
地名:名前・場所を地図帳で覚え、白地図を用いてアウトプットする
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また産業に関しては地形・気候と密接に関連していることが多いため、どのように関連しているのか着目すると良いです。
<歴史>
時代の流れ・出来事の因果関係をしっかり追いましょう。
「政策はどのような時代背景があってとられたか」「豊臣秀吉はどのような流れで全国統一したのか」など背景を理解することで知識の理解が深まります。
これらの理解が深まったら文化・外交・産業・学問の切り口でジャンル別に学習していくと良いです。
ここでおすすめなのが、ジャンル別に年表をつくって流れを図式化する勉強です。時代の流れを図式化することで視覚的に覚えることができます。
<公民>
日本国憲法・三権分立に関しては暗記の側面がかなり大きいため、理解に重点をおいて暗記しましょう。
また豊島岡では時事問題に関する問題が出題されるケースが多いです。そのため習った内容が時事問題と関連していないかチェックすることも有効です。
これまで分野別のインプット方法をお伝えしました。しかしアウトプットも非常に重要です。知識を一通りインプットしたタイミングで問題集を解いてみましょう。
そして暗記できていないところがあれば、再度インプットを行うことで暗記を効率的に行うことができるはずです。
また社会に関しては地理→歴史→公民の順に学習しているため、新しい分野の学習中に既習分野(特に地理)の内容を忘れてしまうケースが存在します。
そのため長期休暇のタイミング等を用いて、地理の内容を復習しておくことをオススメします。
②6年生前期
6年生になり、本格的に志望校対策を行う必要があると考える保護者様も多いかと思いますが、前期段階はまだ基礎固めの期間です。
基礎固めを最優先におき、確認テストの点数にこだわる勉強はこれまでと変わりません。また勉強方法も5年生までと全く変わりません。
しかし、志望校別判定テストの結果を次第に気にする必要はあるでしょう。模試を受けたら苦手分野や時間の使い方など自分に足りないところを分析し必ず克服を目指しましょう.
③6年生後期
多くの塾で各志望校別の対策講座が開講されることになります。この時期で6年前期までに築いた土台を用いて応用力を磨いていきます。そのため塾での実践演習、過去問、志望校別判定テストなど演習の機会がかなり増えることになります。
6年生後期の勉強で重要なことは次の2つです。
・分野別の応用力を上げていく
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まず分野別の基礎力を土台に入試問題に対応できる力をつけることが必要です。特に算数においては立体図形(切断)をはじめ出題傾向に偏りがあるため優先的に取り組む必要があるでしょう。
またほとんどの応用問題は6年前期までに習った知識・考え方をもとに解くことができます。よって復習の際には「どの解法・知識を利用したら解けたのか」に着目することで基礎力の確認も同時に行うことができます。
一方で分野別対策と同時に重要となるのが志望校の傾向に向けた対策を行うことです。これは過去問を用いることが一番有効ですが、塾の実践演習・模試も有効活用して自身の弱点を発見しましょう。
そして志望校合格に向けた計画を具体的に立てることが大切です。
④過去問の取り組み方
過去問は基礎力が身についた6年後期の時期に取り組むことが効果的でしょう。
主に学校の入試傾向・難易度・時間配分を掴むことを目的として取り組みます。
そのため夏期講習が終わったタイミングで1年分解いてみることをオススメします。そこで各科目の出題傾向や時間配分の方法を分析しておきましょう。
特定分野の応用問題が苦手なのであればその分野の演習量を増やす、時間が足りないのであれば解くスピードを意識して演習に取り組むなど本番に向けた具体的な対策を練ることができます。
また早期に分析を行うことで、演習や模試の時間で意識すべきことが明確化されます。
このように1ヶ月に2年分くらいのペースで過去問に取り組み、最終的には10年分程度取り組めることが理想です。
また第二・三志望校に関しては3年分程度取り組み、同じく過去問の傾向等を掴んでおきましょう。
⑤保護者様ができるサポート
生徒様は4教科の学習を効率よく行うことが必要ですが、各教科における勉強目的、勉強計画を自力で整理することはかなり難しいと思われます。そのため目標を生徒様と一緒に立て、目標から逆算したスケジューリングをしてあげることが重要となります。
特に漢字・知識などの勉強については継続的に行う必要があるため、習慣を作ってあげるようなサポートも重要です。
「○月のテストで△点を取ろう!」「計画通り進んでる?」などの声かけを通して生徒様と保護者様が共に目標に向かって進めるような環境づくりを行うと良いでしょう。
また試験結果が悪くても「できなかったところを責める」ことは避けましょう。まずはできたところに注目して褒めてあげることが大切です。その上で苦手科目、分野を一緒に分析し、苦手克服のための勉強計画を練り直すことが重要です。
4. 豊島岡女子学園中学校の併願校
以下が豊島岡を受験される生徒様の代表的な併願校となります。
〜1/31 | 2/1 | 2/3 | 2/4~ |
浦和明の星 | 桜蔭 | 豊島岡② | 豊島岡③ |
栄東A | 女子学院 | 筑附女子 | 洗足 |
淑徳与野 | 吉祥女子 | 鴎友学園 | 浦和明の星 |
まず1月中の受験は必須と考えてください。
それは①安全校の合格を勝ち取る、②受験の緊張感に慣れるといった目的があるためです。生徒様の緊張感をなるべくなくすためにも早めに合格を得ておくことが大切となります。
豊島岡の合格判定が高く、他校の対策にも十分時間が取れる場合は桜蔭・女子学院・渋幕などの難関中を併願校にして良いと思います。しかし合格判定が低い場合は豊島岡の対策に比重を置き安全校を確実に取る戦略が有効です。
また2/4以降は倍率がかなり上がってしまうため2/3までの期間で確実に合格を勝ち取れるスケジュールを組むことが非常に重要となります。
まとめ
豊島岡の入試傾向と対策法について幅広く解説してきました。
豊島岡に合格するためにはまず「早期から基礎固めを徹底する」ことに加え、日頃の勉強方法が重要となります。自分の考えを「式」や「文章」にまとめることで記述力の向上を早期から行ってください。
また入試突破は生徒様1人ではなく、保護者様のサポートも大切となります。
ぜひスケジュール管理など影で支えていただき、生徒様と二人三脚で受験に向かって頑張っていただければと思います。
正しい努力で中学受験を成功させるために勉強計画や勉強方法の参考にしていただければ幸いです。
【参考文献】
他の学校の入試傾向・受験対策
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