1. 横浜共立学園中学校とは?
JR石川町駅から徒歩10分、横浜市山手の閑静な住宅街にある、キリスト教系の伝統校です。神奈川地域の女子校受験は長く、フェリス、横浜共立、横浜雙葉の3つ学校が神奈川女子御三家と呼ばれ地人気実力ともに競い合っていました。
近年は横浜共立学園中学校は四谷大塚受験偏差値で60ポイントほどとなり、難度は少し落ち着いてきました。入試問題は一部難しいものも含まれますが、標準的な問題が中心で中学受験の学習範囲をしっかり理解し、速く正確に解答する力が必要です。
近年の合格実績は、難関国公立への大学実績はありますがどちらかというと難関私立の合格実績を伸ばしている印象です。
2. 横浜共立学園中学校の入試傾向について
それでは横浜共立学園中学校の入試について、具体的にチェックしましょう。各教科ではとくに2024年度入試でポイントになった問題を厳選して解説します。
①横浜共立学園中学校入試の特徴
横浜共立学園中学校は入試が2月1日のA方式と2月3日のB方式があります。
<受験科目>
A方式
・算数45分(100点)
・国語45分(100点)
・理科40分(100点)
・社会40分(100点)
※4教科400点満点
<2024年度入試結果>
・合格者最低点:232点(58.0%)
・合格者最高点:非公表
・合格者平均点:非公表
・受験者平均点:253.6点(63.4%)
<受験者平均得点率>
・算数63.0点
・国語69.6点
・理科61.8点
・社会59.2点
B方式
・算数50分(100点)
・国語50分(100点)
※2教科200点満点
<2024年度入試結果>
・合格者最低点:130点(65.0%)
・合格者最高点:非公表
・合格者平均点:非公表
・受験者平均点:128.1点(64.0%)
<受験者平均得点率>
・算数55.9点
・国語72.2点
やはり女子校の特徴ですが、国語の得点率が高い傾向にあります。目標点は高めに設定しておけるのがよいでしょう。他科目は概ね7割程度を目標としておけるのが良いでしょう。
入試問題は基本、標準レベルの問題はいかに得点できるかどうかで決まります。入念な準備を心がけましょう。
②算数
例年大問5題構成の問題が出題されています。割合、速さ、立体図形などがよく出題されます。
大問1は小問集合です。計算問題数題出題されますが必ず得点できるように準備したいところです。
大問2は特殊算を使った問題がよく出題されており、近年は年齢算、流水算、食塩水の濃度などが出題されています。大問3では速さの問題や食塩水の濃度の問題が出題されます。
大問4、5は近年同傾向で、平面図形と立体図形の問題が出題されています。いずれもていねいに正確に進められると、学習が身に付くようになっていますので、中学受験標準レベルの問題をしっかり解きましょう。
2024年度特徴的だった問題は大問3の食塩水の問題でした、(3)は手順をいくつか経た後なのでその操作がしっかりイメージできているかどうかが大切です。食塩水を苦手に感じる受験生も多くいますが、大半が食塩に注目すると分かりやすく解くことができます。
③国語
例年大問3題構成で出題されます。漢字の書き取り、小説、論説の順で出題されるため標準的な中学受験の学習をしっかり準備しましょう。
大問1は漢字の読み取り、書き取り問題です。特殊な漢字、難問などは出ないので継続して漢字練習をしておければ大丈夫です。
大問2、3では合わせて6,000文字程度の文章量の読解問題です。選択肢問題、空所補充、書き抜きなどが出題される他、説明記述問題が出題されます。この説明記述はキーワードとなる言葉を本文中からしっかり見つけ、解答したい問題でした。
2024年特長的だった問題は大問2の問5でした。この問題は、大問横断型で大問3の本文中から解答を書き抜くという形式の問題で珍しい傾向でした。
大問ごとの内容を関連させて作成することは中学受験入試の問題でもありますが、解答を書きき抜けというのは新しい傾向です。落ち着いて大問3の文章を読んだあとに解答ができれば得点できる問題でした。
④理科
例年大問4題構成で、理科4分野すべてから出題されます。出題傾向は絞ることはできませんが、満遍なくどの分野も学習できれば合格点には到達できます。
物理分野は振り子運動、物体の運動、浮力といった力学分野の出題が多くなっています。それ以前は電気や熱といった出題もありました。
生物分野は生物と環境、人と動物の体のつくり、メダカの生態といった出題でした。
化学分野のテーマは酸性雨、ものの溶け方、水溶液といった内容が出題されています。中学入試では定番ですが、水溶液の問題が対応できるように準備を進めておきたいところです。
2024年特長的だった問題は大問1の振り子の問題でした。受験生が苦手にしがちな物体の運動、とくに振り子や釣り合いといったところをピンポイントでついてきており、苦手分野は作らずにしっかり解答していくことの大切さを感じさせる問題でした。
⑤社会
例年大問4題構成が続いており、総合問題、地歴公民の4題構成になっています。
大問1は分野横断の総合問題で、今回のテーマは文化財でした。京都、奈良といった古都に関する話から、沖縄までの話となり幅広い興味と関心が必要な問題でした。
大問2〜4については標準的な問題のなかに難問が混じってくることがあります。まずは標準的な問題を得点することが最優先で、それができれば大きく影響はありません。落ち着いてできる問題を得点しきることが大切です。
2024年度特徴的だった問題は大問4の問4でした。インボイス制度と消費税についての問題でした。新しい制度で直接生徒様に影響はなくとも、保護者様に影響があったのではないかと思います。
時事問題としてはかなりタイムリーな内容でした。経済についての話をする機会があるご家庭にとってはイメージしやすい問題だったと思います。
⑥問題の形式等が似ている学校は?
併願先を考えていくと、横浜雙葉中学校、神奈川学園中学校、鎌倉女学院中学校などを中心に準備を進めていただけると良いと思います。通学圏内で考えて学習する他、湘南白百合中学校なども受験の可能性を考え過去問題の演習ができると良いと思います。
3. 横浜共立学園中学校を受験する際の併願パターンは?
受験校を決めるにあたっておすすめなのは「第一志望校の受験日までに合格」をしていることです。どの生徒様にとっても初めての受験。併願校で合格して本命に望めるかどうかは大きな安心材料になります。
1月に受験する併願校から2月2日まで徐々にステップアップして受験をすることが個人的にはおすすめです。
①1月
基本的には受験せずに本番に突入することになります。偏差値のランク的にも千葉、埼玉の学校は高くなるところもあり、無理に受験する必要もありません。
②2月1日
午前:横浜共立学園中学校 |
本命の横浜共立学園中学校です。まずはこの日に最善を尽くしましょう。午後受験では1科目受験を中心に考えていくことが多くなります。
偏差値のポイントに余裕があれば湘南白百合中学校、手堅く合格をということであれば、神奈川学園中学校を受験するのがよいでしょう。
③2月2日
鎌倉女学院中学校・清泉女学院中学校・横浜雙葉中学校 |
併願で一番多いのが鎌倉女学院です。ついで清泉女学院中学校といった順序です。横浜雙葉中学校を併願することもできるのでそれも候補の1つとなります。
④2月3日
横浜共立学園中学校・青山学院横浜英和中学校 |
第一志望の2回目の受験日です。難度は上がりますが、第一志望校であれば複数回受験を活かすことも考えましょう。
⑤2月4日
神奈川学園中学校・田園調布学園中学校 |
学校の選択肢は多くありません。ここまでの合格が確保できているかの判断になります。
手堅く神奈川学園中学校という選択になるのではないでしょうか。
⑥2月5日
おすすめの受験校はありません。というのもこの時期は偏差値ポイントの高い学校、そして共学が一部残っているだけのためです。2月5日まで想定しなくて済むように出願戦略を立てましょう。
4. 横浜共立学園中学校の受験対策方法
横浜共立学園中学校の入試問題は難関校にふさわしく全科目、全分野の準備をしておく必要があります。
まずは基礎の学習を徹底しましょう。
基本の土台があって初めて力が生きてくる問題も多いですから、早めの準備とたっぷりと余裕を持った学習、そして勉強だけでなくさまざまな自然、社会といったものに興味関心を持つことも大切です。それでは具体的に解説します。
①時期別・教科別対策内容
(1)小学4年生
受験勉強は小4から始めましょう。
算数 | 小4までに算数は特殊算(周期算・植木算・つるかめ算など)の考え方や図形の理解を深めたいところです。 |
国語 | 国語は読書量を増やし、説明文読解に触れる機会を増やすことが大切です。 |
理科 | 理科は4分野が満遍なく出題されるため小4生の段階ではまず中学受験教材を使って学習をスタートし、理科は百科事典や図鑑を見て知識を広げておくことをしましょう。 |
社会 | 社会は地理、歴史、公民といった分野の出題があるため地理は地図帳や資料を読み、歴史は歴史まんがなどを活用、公民は新聞やニュースを見るようにしましょう。興味関心を日常的に広げるのが大切です。 |
(2)小学5年生
受験科目の学習スタートです。「算数国語は小5で一通りの学習を終え、理社は図表や地図など知識を深める」ようにしましょう。
算数 | 算数は小5までで単元ごとの学習を完了しましょう。横浜共立学園中学校のような難関校では割合、速さ、図形といった問題の出題傾向があるため、とくに力を入れて難問までチャレンジしておきたいところです。 |
国語 | 国語は記述問題と文法事項の確認を進めましょう。文法の学習が必要なのは問題に文法が出題されるからだけでなく、選択問題を論理的に考えて解くことと、記述問題を正確に書けるようにするため必要です。 |
理科 | 理科は計算が必要な問題、速さ、質量、体積の問題を十分演習しましょう。とくに化学や物理の計算問題については出題されやすい傾向にあるためしっかり練習しましょう。 |
社会 | 社会は近現代の統計が揃っている時代の資料を使った問題を解いておき、教科書にも出てくる農産物の生産量、工業製品の出荷額など目を通してください。社会の教科書のグラフ、資料の読み取りの時間を作りましょう。 |
(3)小学6年生(4月〜6月)
全領域を完成させて総合演習に入る時期です。この時期には入試問題を演習しましょう。自分で対策をするというよりも、志望校対策をする中学受験塾に通って効率よく仕上げ学習をするのがよい時期です。
算数 国語 |
算数と国語は総合演習です。志望校以外の入試問題で構成された演習問題を解きながら実力養成をしましょう。志望校の入試問題は9月以降にとっておき、入試本番を想定した過去問演習で使うのがよいです。この時期は時間内に問題を解く、正確にミスなくできるようにする、そして得意分野を作っておく練習をする時期です。そして復習ノートを作って間違い直しをして、自分の弱点分野にあたる学習を復習しましょう。 |
理科 社会 |
理科社会も分野別の学習から分野を横断した入試問題形式の学習を進めましょう。この段階で知識不足がないように、小4、小5の学習を進めておきたいところです。 |
(4)小学6年生(7月〜8月)
まとめの時期です。基礎、標準レベルの問題で失点しないことが中学受験では重要なため、夏期講習などを通して徹底して基礎力を固めましょう。そして勝負を分けるのが難度の高い問題です。速さ、時間、割合といった問題にチャレンジおいてください。
理社はここがまとまった弱点補強の機会です。分野別に復習をしていくこと、資料を読み解いて知識を深めることなどやりたいことはたくさんありますが、優先準備を決めて取り組みましょう。
塾では志望校別のテキストを使って対策をする時期です。この時期は成果重視で学習塾などの環境も上手く使うべきです。また、ともに同じ志望校を目指して学習する同級生がどの程度のレベル、到達度なのかを比べ合うことも重要な経験です。
(5)小学6年生(9月~11月)
志望校の過去問題の演習時期です。第一志望校と併願校の過去問題を演習し本番力をつけます。試験なれをして、最後まで集中しきって解答できるように、この時期にリズムをとって進めます。最低でも過去問題は10年分。一度ではなく二度三度と解きなおしをします。
この時期の学習のポイントは「本番力の養成」です。入試本番の試験時間、試験問題を意識した学習を進めて本番で得点できる力をつけます。
詳しくは「過去問題対策方法」に記載していますのでそちらもご覧ください。
(6)小学6年生(12月~1月)
入試本番へ向けての最終調整の時期です。この時期には志望校、併願校、入試スケジュールなどはほぼ決まっていますので、試験日から逆算して過去問題の演習と弱点補強、日々のルーティンとしての問題演習などを進め、万全の状態で本番を迎える準備をする時期です。
規則正しい生活リズムを意識して、健康的な生活を意識しましょう。受験のことを考えると集中力のピークを午前中に持っていけるようにしましょう。
②横浜共立学園中学校の過去問対策方法
(1)過去問の効果的な使い方
横浜共立学園中学校のような難関校の問題は次のように進めるのがおすすめです。
- 入試本番と同じ時間、時間割で問題を4教科解く
- 自己採点をして解説をよく読む
- 該当分野の問題演習を進める
- 間違えた問題は再度チャレンジする
この4つです。
(2)いつから解き始めればよいか
標準的な開始時期は小6の9月です。過去問題の対策は、4教科の学習と演習が終了した後に実施しましょう。受験勉強のなかで、過去問題を使った学習は本番の次に重要と言ってもいいくらいの大切な学習です。
ですから雰囲気を味わいたいので大問1つだけ昨年度の問題をやってみるといったことは避けて丸々1年分解くことがおすすめです。
(3)何年分を何周解けばよいか
4教科で10年分は解きましょう。時間に余裕があれば15年分解いても良いと思います。
ただし、1度解いて終わりではなく、解き直しと再チャレンジを含めても同じ年度を最低3周は解いておきたいところです。
入試の過去問題はどの問題が出題されても、バッチリできるようにしておくのがベストです。
算数 | 算数はとくに勝負を分ける科目です。最低10年分を3周は必ず、問題の独自性を考えるとさらに追加して過去問題の演習はしておきたいところです。 |
国語 | 国語は10年分を3周必ずしましょう。そして記述問題の根拠を時間内に見つけ、文構造を組み立てて解答する練習をしっかりしましょう。 |
理科 社会 |
理社についてはまずは10年分。復習は2周分でも足りるかもしれませんが、分野ごとの演習としてさかのぼって問題を解いておくのはありです。ただ、問題を解く前に単元別の復習をよくしておくべきなので、得点と時間をよく考え、相談しながら決めましょう。 |
③保護者様にできるサポート内容
(1)生徒様のモチベーションを高める
受験へ向けて最も成績を左右するのは生徒様のモチベーションです。高いモチベーションを維持するには身近にいる保護者様がよいパートナーになっていることが望ましいです。生徒様は怒ったり、叱られるということよりも「信頼され期待される」ことのほうを望んでいます。
とくに学習ではテストの点数などで落ち込んだり、フラストレーションがたまることがあります。その時によく話を聞いて、優しいアドバイスや前向きな言葉がけをしていただくだけで生徒様はまた頑張ろうと思って行動に移せます。
親子の関係では、「生徒様の意見をよく聴く」ことを意識してください。
(2)スケジュールの管理、ペース配分などのサポート
小学生が苦手なところとしてどの生徒様もあるのがスケジュール管理です。中学受験をする小学生はある意味アスリートと同じような状態にありますので、保護者様がマネジメントをすることで、学習に集中できるようになります。
いつまでに何を終わらせるか?といったことも生徒様だけに任せてパンクしてしまうよりも、ご家庭でオープンにして「いつまでに何をやる」という目標を立てたり、「うまくいかなかった場合にどうリカバリーするか」などを管理していただけると生徒様も安心して学習に集中できるようになります。
(3)学習環境の構築
学習環境は中学受験ではとても重要なポイントです。ここでの学習環境は勉強部屋のような施設・設備だけではなく、使う教材や通う塾のことも示しています。
多くの方は中学受験塾に通塾されて準備すると思いますが、教材や塾選びも大切です。どのくらい生徒様の面倒をみてくれるか、相性はどうか?といったところまで生徒様にすべて考えさせることは難しいですから、保護者様が万全の状態で受験の準備ができるように、整えていくことが大切です。
まとめ
横浜の女子御三家の1つ横浜共立学園中学校。入試問題は標準的な問題が中心ですが、しっかりとした準備をしてミスなく得点したいところです。
今回解説しポイントをよく準備し、併願戦略をしっかり組み立ててぜひ本番にのぞんでください。
きっと持っている力をすべて発揮できるはずです!
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