1. 中学受験の志望校を決める際にまず押さえるべき4つの重要基準
中高一貫校にはさまざまな特徴があり、学校の雰囲気も異なります。
確認するべき重要なポイントを4つ解説します。
①進学校か大学附属校か
(1)進学校
進学校は、難関大学への進学を目的としている学校です。
ほぼ全員が大学受験をするため、中学から高校までの6年間の学校生活で連帯感が芽生えます。
学校の先生も大学受験について熟知しており、授業のレベルが高いです。志望大学の合格に向けて補習などの講習が充実しています。
学校によっては中学卒業前から高校のカリキュラムを前倒しで学習し、高校3年生になってからは大学受験対策に専念できます。大学受験のための環境が整っているのです。
(2)大学附属校
大学附属校は、系列大学への内部推薦による進学が可能な学校です。成績を維持できれば大学受験をしなくても内部進学できます。
人気があり倍率が高い学部に内部進学したい場合は、高校在学中の成績・出席などに加えて、卒業論文が必要な場合もあります。
系列大学に内部進学する生徒様と、他の大学を外部受験する生徒様の割合は学校によって異なります。外部受験すると内部推薦が保持できない学校もあるので、注意が必要です。
将来の夢を叶えるために大学受験したい生徒様は進学校を、中学受験のあと勉強や芸術などさまざまな学業にゆっくり親しみたい生徒様は大学附属校を受験すると良いでしょう。
②共学か別学か
(1)共学
共学の特徴は、男女共同の学校生活によりさまざまな考え方に触れて多様性が育まれることです。
能力の高い異性と切磋琢磨できる環境なので、男女の特性を理解し、個性を尊重しながらコミュニケーションをとる力が育まれます。
進路選択においても、さまざまな選択肢に気付けるため視野が広がるでしょう。
(2)別学
別学の特徴は、異性の目を気にせず好きなことに取り組めることです。
男子は女子の目を気にせず趣味に没頭でき、女子は男子の目を気にせず元気いっぱいに活動できます。校内・校外で活躍する生徒様も多く、共通の趣味を持つ友人を見つけやすいそうです。
進路選択においては、クラスの男女比などのバイアスがないため、女子でも理系を選択しやすくなるでしょう。
生徒様に多様性を育んでほしいなら共学が、人目を気にせず好きなことに取り組んでほしいなら男子校・女子校がおすすめだと言えるでしょう。
③自宅からの距離と通学時間
自宅から離れた場所にある中学に通学する場合は、自宅からの距離など、通学のイメージを具体的にしておきましょう。
特に以下のポイントを押さえておくのがおすすめです。
・自宅のドアを出てから学校の教室に入るまで何時間何分かかるか ・使用する電車の通勤ラッシュの時間、遅延のしやすさ ・雨天時の通学時間 ・部活の朝練、放課後練がある場合の登下校の時間
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移動距離が長いと、登下校だけで疲れてしまい、授業に集中できなくなってしまいます。
また学校が都心にある場合、電車の通勤ラッシュや遅延を考慮し、早く登校するなど工夫が必要になる場合もあります。
朝は保護者様のお弁当作りの時間もありますので、通学のイメージを具体的に抑えることは非常に大切です。
一方で、読書が好きな生徒様なら電車通学中の時間を読書時間として有意義に使えるかもしれません。乗り換えが少なく混雑しない電車であれば、通学は苦にならない場合もあります。
④偏差値
受験する上で偏差値のリサーチは大切です。
生徒様の持つ偏差値より高い偏差値の学校だと、入試が難しく、且つ合格したとしても授業や定期テストについていけなくなってしまう可能性があります。
偏差値の高い学校で切磋琢磨するか、無理のない偏差値の学校で等身大のまま勉学に励むか、生徒様のスタイルに合っている学校を選ぶようにしましょう。
志望校は偏差値のレベル別で3種類あります。それぞれの種類と受験の際の注意点を解説します。
(1)目標校・チャレンジ校
目標校・チャレンジ校とは、生徒様の現状の偏差値よりもレベルが高い学校のことです。
具体的には、生徒様の偏差値より5~10ほど高く、合否判定テストで30~50%の間の学校を指します。
生徒様にとっては憧れの学校となるので、入学できたら勉強に対するモチベーションが向上するでしょう。
偏差値の高い学校の入試では、応用力を求める問題が多く出題されます。失敗を恐れずに挑戦するチャレンジ精神が必要不可欠です。
模試の判定結果が悪くても、直前の追い込みによっては合格の可能性もあるので、1校だけでも受験してみましょう。
(2)志望校
志望校とは、生徒様の現状の偏差値とレベルが同等で実力相応の学校のことです。
合否判定テストで50~80%の学校を指します。
今まで学んできたことを試験で発揮すれば志望校に合格できるはずですが、油断は禁物です。試験が終わるまで集中力が欠けないよう気合を入れましょう。
最も倍率が低い2月1日午前受験では志望校に出願するのがおすすめです。
(3)安全校
安全校とは、生徒様の現状の偏差値よりもレベルが低い学校のことです。
具体的には、生徒様の偏差値より5~10ほど低く、合否判定テストで80%以上の学校を指します。
中学受験は何が起こるかわからないので、実力が出せず想定外の結果になるかもしれません。
万が一に備えて安全校も検討しておきましょう。
ただし、生徒様が受験校にこだわりがある場合は、モチベーションを維持するためにあえて安全校を設定しない選択もあります。
首都圏の方は、埼玉県や千葉県の1月受験校でまず安全校を受験し、一足先に合格を掴み取れれば安心です。
なお、偏差値は模試の種類によって出方が異なります。
有名な中学受験の模試は
・SAPIXオープン ・日能研 全国公開模試 ・四谷大塚 合不合判定テスト ・首都圏模試
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の4つです。
模試によって難易度・受験者層の違いがあるため、同じ中学でも模試ごとに偏差値が異なる場合があります。模試ごとに偏差値算出の違いがあることを念頭に、志望校の検討を進められるとよいでしょう。
2. 中学受験の志望校をさらに絞り込むための6つの視点
4つの基準をもとに志望校候補の学校をある程度選び出せたら、さらに学校を絞り込んで志望校を決める必要があります。
これからご紹介する6つのポイントを参考に、候補の学校が生徒様の希望にあてはまるか、じっくり検討してみてください。
①大学進学実績
中学受験をされる方の中には、将来的に大学受験を希望する方も多いでしょう。大学受験を意識するのであれば、大学進学実績も確認しておくと安心です。
学校によっては、医学部などの進学実績が公表されています。中学受験時点で生徒様の志望学部や将来の夢が決まっている場合は、学部の進学実績も意識すると良いですね。
進学実績の他に、現役合格率(浪人せず大学に合格した割合)にも注目しましょう。
現役合格率が高い学校の方が、生徒様にとっても負担が軽くなるはずです。
中学受験が終わったその先の将来の夢に向かえるよう、保護者様がサポートしてあげましょう。
②学費や奨学金制度
中学受験は塾などで出費がかさみますが、入学した後も学費の支払いがあります。
文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」によると、私立中学校の学費の年間平均は143万6,353円、私立高校の学費の年間平均は105万4,444円です。
また学費の他に、制服費・交通費・部活費・寄付金・スマホの通信費など、他にも出費が続くので、それも踏まえて学校の検討をするようにしましょう。
また、学校によっては奨学金制度があります。成績優秀者向けのもの、経済的理由での給付型、貸与型などがあります。
選考基準、給付額、継続条件なども学校ごとに異なるので、保護者様がしっかり奨学金制度を確認しましょう。
③校風や教育方針
学校の校風により、教育方針や雰囲気が変わります。
自主性を重んじる革新的な学校と、規律に厳しい保守的な学校では雰囲気が全く異なるので、各学校の教育方針をホームページで確認しておきましょう。
勉強、部活動、異文化交流なども、学校ごとに特色が異なります。
校長先生のご挨拶のページを読むと、教育方針の中で重視しているポイントがわかるでしょう。中学入学後に生徒様が充実した学校生活を送れるよう、志望校を決める前にリサーチしておきましょう。
④設備や施設の充実度
私立中学校は公立中学校より設備が充実しています。最新の設備を期待して中学受験を決断する保護者様も多いでしょう。
設備の例は以下のようにたくさんあります。
・エアコン完備 ・図書館が広く蔵書数が多い ・食堂がある ・温水プールがある ・グラウンドや体育館が広い ・部活動の種類が多い ・中学生から高校生まで通うため校舎が広い ・カウンセリングルームや保健室が充実している ・教室数が多く、少人数クラスで授業を受けられる ・タブレットやPCを授業に活用している ・寮がある ・校舎を最近リフォームしている
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設備が充実した、手厚い教育環境を提供できるのが私立中学校の魅力です。学費が高くても、生徒様のメリットになるような設備が整っていれば納得できるかもしれません。
オープンキャンパスで校舎や設備を見学して、入学後の学校生活を想像してみてくださいね。
⑤学校行事(修学旅行や海外留学)
私立中学校はグローバル人材の育成や異文化交流など、国際教育に力を入れる学校も多いです。
修学旅行で海外に行ったり、学校行事として留学プログラムや海外研修が用意されていたりします。英検やTOEICなどの資格の取得を奨励している学校もあります。
ほかに、文化祭や体育祭に力を入れているなど、学校によって行事の内容や注力具合が異なります。生徒様が学校生活で頑張りたいことや、将来のイメージに合った学校を選べると、より充実した中学・高校生活になるでしょう。
⑥創立の歴史や伝統
(1)伝統校
戦前に設立された伝統校は創立者の建学の精神が残っています。創立時から伝統行事が続いており、歴史を大切にしています。著名な卒業生を輩出している学校も多いです。
在校生の保護者様がその学校の卒業生、というパターンもあり、同窓会のネットワークも魅力的です。
(2)新鋭校
戦後に設立された新鋭校は、「生徒のために改革を実行する」「良いものを積極的に取り入れる」という姿勢が強く出ています。生徒たちも「自分たちで学校を作る」という熱意にあふれています。
習熟度別クラスや少人数制授業などを導入している学校もあります。
生徒様の性格により、どちらの学校が合っているか比較できると良いですね。
3. 子どもと一緒に志望校を決めるためのステップ
志望校を決める上では生徒様と保護者様の話し合いが必要です。お互いの熱意が強く、意見が合わないこともあるかもしれません。ご家庭での話し合いのポイントをご紹介します。
ステップ① 話し合いを始めるタイミング
志望校の話し合いは、一般的には小学3年生の2月頃からが良いと言われています。
基礎学習から志望校対策までの内容を網羅するのに約3年間かかるためです。
志望校を決める時期について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
中学受験の志望校はいつ決める?適した時期や話し合いのコツを解説!
ステップ② 子どもの意向を引き出す
まず、生徒様が自由に意見を言える雰囲気づくりを心がけましょう。普段から保護者様が生徒様にとって「本音を話しやすい存在でいること」が大切です。
そのうえで
・生徒様の興味があること ・得意なこと ・将来何をしたいのか ・どんな大人になりたいのか
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などを引き出しながら、志望校を選ぶようにしましょう。
受験は生徒様にとって大きな負担になります。「偏差値が高い学校の方が良い」などの価値観を押し付けたり、プレッシャーをかけたりしないようにしましょう。
学校見学やオープンキャンパスに行くと、志望校の雰囲気がわかり、入学後のイメージがふくらむのでおすすめです。校内を歩き、実際に通っている生徒の様子を見ると、「将来入学した自分の姿」を想像しやすくなるでしょう。
ステップ③ 子どもの意向と親の意向をすり合わせる
生徒様の意向と保護者様の意向がずれていた場合は、生徒様の意思を尊重しながら、以下の点をポイントに話し合いを重ねましょう。
・生徒様の適性や長所が志望校と合っているか ・お互いの譲れない条件 ・優先順位の高い要素
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これらを再確認しながら、妥協点を探っていくのがよいでしょう。
また、塾の先生や家庭教師の先生、小学校の先生に意見を聞くのもおすすめです。
志望校候補それぞれのメリット・デメリットを、学習環境・雰囲気・実績・通学時間・費用など多角的な視点で客観的に洗い出して検討してくれます。
志望校に実際に通うのは生徒様であるということを忘れず、意見を出し合って話し合えるとよいですね。
4. 志望校選びのNG行為
志望校を選ぶ際、保護者様の独断と偏見で決めてしまうのは避けましょう。志望校選びのよくある失敗例を2つご紹介します。
①生徒様に相談せずに決める
小学生の判断力で志望校を決断するのは非常に大変ですが、だからといって生徒様の意向を無視して決定してはいけません。本人が行きたくない学校を無理やり受験させると学習意欲が著しく下がります。
中学受験を成功に導くためにも、親子で意見を一致させておきましょう。
②偏差値だけで決める
偏差値だけで志望校を決めると、校風や教育方針が生徒様と合わない可能性があります。
また、志望校合格を最終目標にしてしまうと、中学受験が終わった後に目標を見失ってしまいます。
偏差値が高い中学に入学するのも魅力的ですが、生徒様の人生にとって中学受験はひとつの通過点です。
6年間の学校生活がつらくならないよう、校風・教育方針・偏差値など多角的な視点から志望校を検討しましょう。
5. 志望校選びに関するよくある質問
①塾の先生に反対されたらどうする?
塾の先生に志望校を反対されたら、落ち着いてまずは理由を聞きましょう。
先生は生徒様のことをよく把握しているので、生徒様の学力の問題なのか、志望校の校風が生徒様に合っていないのか、適切なアドバイスをくれる可能性が高いです。
先生の意見を聞いた上で生徒様がどう感じたかがポイントとなります。
志望校にこだわりがあり変更したくない気持ちが強いのなら、生徒様と保護者様と先生が協力して解決策を考える必要があるでしょう。
また、6年生になってから先生に志望校の変更を勧められる場合もあります。
生徒様の意思とは別に、安全に合格できる学校を案内されます。しかし、生徒様が志望校を絶対に変えない意思を持っているなら、あえて志望校変更の話を伝える必要はないかもしれません。
まずは保護者様が検討し、必要に応じて生徒様や塾の先生と再度相談しましょう。
② 志望校の変更はいつまで可能?
受験直前での志望校の変更は、基本的には避けたほうがよいですが、以下のようなやむを得ない事情があるなら検討しても良いでしょう。
・過去問の点数が伸び悩んでいる場合 ・志願者数が例年より多く難化が予想される場合 ・1月の前受け校の受験で不合格となった場合
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なお、志望校を変更する場合、受験対策の内容や併願校の組み合わせも変わります。今までとは別の学校の過去問をとく必要もあります。その点を踏まえ、志望校の検討を進められるとよいですね。
③ 子どもが志望校を決められない場合の対処法は?
生徒様から志望校の意思がなかなか出てこない場合は、ゆっくり会話する時間を設けましょう。
その際、生徒様と以下のようなお話をすると、生徒様が意思を固めやすくなるでしょう。
・生徒様が興味を持っていること ・生徒様の将来の夢 ・生徒様の好きな教科 ・生徒様が入りたいと思っている部活動
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また親子で一緒に、中学校の「パンフレット」「ホームページ」「公式SNS」を眺めたりすると、より志望校へのイメージを沸かせやすくなるのでおすすめです。
まとめ:東大卒元家庭教師から、志望校選びのアドバイス
中学受験をして中高一貫校に通うとなると、志望校選びは生徒様の6年間の学校生活を決める重要な選択です。保護者の方も、どう決めて良いか悩まれることも多いでしょう。ご紹介したような情報を是非参考にしてください。
加えて、志望校選びを進める上で大事にしていただきたいポイントを2つお伝えします。
1つ目のポイントとして、保護者様側の学校選びの軸を決めておくことが重要です。中学受験・中学校進学を通して何が得たいのか、生徒様にどうなって欲しいのかを考えておきましょう。
これを考える上では、生徒様本人がどのような子ども・状況であるかを把握し、それを踏まえて考えることも大切です。
したがって、2つ目のポイントは、生徒様をよく見ることです。
どんなことを喜ぶか、どんなものが好きか、どんなことが嫌いか…といったようなことは、年齢が上がるほどつかみづらくなってきます。小さい頃のように単純に表出するわけではありませんので、保護者様と言えど、ただ家での様子を見るだけではわからないことも多々あります。
そこで、生徒様の様々な側面を見るために、家での様子、友達との様子、塾での様子など、様々な場面で活動しているところを見ると良いでしょう。とはいえ、監視している感じがすると生徒様も気にしてしまいます。そっと、さりげなく見る感じで様子を伺えると良いですね。
保護者様・生徒様双方が十分に納得できる軸が見つかれば、志望校選びもスムーズに進み、どのような結果になっても納得できる中学受験体験へと昇華することができるでしょう。
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