1. 部活と勉強を両立することの何が大変なのか
部活と勉強を両立させるのは並大抵のことではありません。
具体的に生徒様はどういった問題を抱えてしまうのか、私の体験も交えながら見ていきたいと思います。
①勉強時間がとれない
部活に入る一番のネックは勉強する時間が取れなくなることです。
クラブを頑張っていれば帰宅するころにはもう晩御飯の時間で、ご飯を食べたらもう疲れて、お風呂に入ったらすぐに眠たくなってしまい、勉強どころではなくなるという生活を平日の大半は送るのではないのでしょうか。
土日も試合や先輩の応援に遠征に行ったりと、塾や家庭教師の先生にかかる時間もなく、気づいたら試験の1週間前で焦って勉強を始めるという経験を私もしていました。
テスト直前に一夜漬けする勉強方法は、皆さんもご存じかとは思いますが、とても効率の悪い方法です。
短期間でぎゅっと詰め込んだ記憶は、テストが終われば同じくらいのスピードで雲散霧消してしまいます。
中学時代の勉強は高校での基礎となる重要な部分で、ここが定着していないと高校で苦しい局面を迎えてしまいます。
英語などは特に積み重ねが命の教科で、テスト直前にだけ覚えて後は忘れてしまう状態だといつまでたっても進歩できず、知らず知らずの間に周りに取り残されてしまうことになります。
②二つのことに集中するのは難しい
二兎を追うものは一兎も得ずという言葉があるように、人間にとって「二つのことを同時に努力し目標を追求していく」という行為は非常にチャレンジングです。
部活と勉強の場合は、勉強に時間を使えば部活の成績は落ちる、その逆もしかりとふたつともを頑張ることによって得られる相乗効果をあまり望めず、時間や集中力の配分に特に気を付けなければなりません。
そういった難しいことが中学生に求められているため、クラブ活動を頑張る生徒様の成績が振るわなくてもそれは当然のことで、そのことで生徒様を強く責めたり、ストレスを余分に抱えたりすることは避けた方がよいです。
大人でもフルタイムで働きながら家事をする、別の資格勉強をすることなどはとても大変で労力を必要とするかと思います。
中学時代からその大変さを経験できることは生徒様を成長させることに繋がる、とプラス思考で生徒様のことを見守って頂ければと思います。
③周囲に勉強熱心な子があまりいない
部活に注力しすぎることの弊害として出てくるのが、周囲の友達に勉強熱心な子がいなくなってしまう可能性があるということです。
中学という多感な時期に付き合う友達の重要性は高く、友達に流されてしまうことも多くあります。
もし「クラブを熱心に頑張っているが勉強はサッパリ」な子とばかり付き合っていれば、勉強はしなくてもいいのかと思ってしまい勉強の優先度が低くなってしまう可能性があります。
その反対に、周囲に文武両道の子がいれば自分の成績が悪いと恥ずかしいと思い自主的に勉強に身が入る可能性もあります。
保護者様としては生徒様と密にコミュニケーションをとって、どんなお友達と交流しているのかを把握しておくことが求められると考えます。
2. 部活と勉強を両立させるおススメの勉強方法3選
当然ですが部活を熱心に頑張っていると、帰宅部の子よりは大幅に勉強時間が限られてしまいます。
この章では少ない勉強時間で効率よく成績を上げる方法について、3点ほど筆者の経験も交えて解説していきたいと思います。
①とにかくスキマ時間を活用する
中学レベルの基礎を固めるにはとにかく量をこなすことが命です。
特に英語に関しては、高校、大学受験ともに最重要科目であり着実に知識を積み上げていく子といけない子で差が大きく出てしまい、それが合否に直結します。
部活に大きくエネルギーを割く中で量をこなす時間を捻出するためには、通学中や食事中などのスキマ時間を積極的に活用していく他にありません。
筆者は1時間30分の遠距離通学をしていましたが、電車に乗っている間は積極的に英語や古文などの暗記系科目の単語帳を見るように心がけていました。
また食事中も親に問題を出してもらったり、英語の音源を流し聞きするなどして、できる限り机の前で座っていない時間を有効活用していました。
英語は特に、机の上でカリカリ書いて集中しながら一気に覚えようとするよりも、短時間で細切れに何回も触れる方が脳に定着しやすいと言われています。
普段ゲームをしたり、寝てしまっていたりする時間をいかに生産的な時間に変えられるかが鍵になってきます。
②普段から勉強する習慣をつける
おおよそ試験の1週間前から部活が停止し、勉強に集中できる環境に移行すると思いますが、1週間で頭に詰めこんだ知識は試験が終わるとすぐ記憶から抜け落ちてしまいます。
次の試験は前の試験の範囲も含んでいますが、その知識が抜けているので2倍勉強する羽目になり、当然非効率になってしまい成績も下降し、負のスパイラルに突入し、できる子との差がどんどん広がってしまいます。
学校が毎週小テストなどを実施してくれて、普段から勉強する習慣を作ってくれる場合はいいですが、
そうでない場合は塾や家庭教師などの選択肢を使って、生徒様に試験直前以外でも努力する習慣を早急に作らせた方が良いです。
③目標を持たせる
一つ目の「スキマ時間を活用する」、二つ目の「普段から勉強する習慣を身に着けさせる」のどちらの方法も、生徒様に今までよりもっと努力を求め負担をかける方法です。
恐らく反抗期の年齢ということもあり、大きな抵抗にあうことが予想されます。
それを防ぐ方法が目標を持たせ、その達成には努力が必要なことを自覚させることです。
目標がないと頑張れず怠惰な日々を送ってしまいがちですが、ゴールが一度決まれば自然と腰を落ち着け勉強に身が入るようになります。
一番のおすすめは志望校を早くに決めることです。
志望校を決めるのは難しいと思われる方は違う目標でも構いません。
例えば一番簡単に生徒様の発奮を促せるのは、「勉強の目標を達成したらお小遣い」などのインセンティブを与えてあげることです。
筆者が以前家庭教師として担当していた中3の生徒様も、毎週私が自作する英語の単語テストで一定以上をとれば2000円のお小遣いをあげるというインセンティブ制度を導入した結果、真剣に暗記に取り組むようになり、
半年後には英語だけですが平均点に全く届かなかった所から上位三分の一に安定して入るレベルになってくれました。
中学時代は高校と比べて、まだ成績の入れ替えが激しい時期です。
どんな子でも3か月以上継続してコツコツ一つの教科に取り込めば容易に成績上位に食い込めます。
一度成功体験をつかめば自分はやればできる子なんだという自信を持つことができ、他の教科への勉強にも身が入る確率が高くなります。
まず最初はインセンティブにより生徒様を奮い立たせ、一度成功を体験して、勉強する習慣がついた後は、ご褒美を上げるのをやめて見守っていくという方法は、
特に反抗期で生徒様とのコミュニケーションが難しいという方に効果的だと思うので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
3. 部活と勉強を両立させる際の注意点
前章で紹介した勉強方法を実践するうえで大切な注意点についてです。
①コミュニケーションを密にとる
注意点の一つ目は生徒様とコミュニケーション不足に陥らないように心がけることです。
そして絶えず生徒様の現在の成績や学習状況、そして悩みがないかについて把握しておくことが重要です。
もし成績も悪く、また悩みなどがあってクラブなどでの態度も芳しくなければ、その状態を放置しても百害あって一利なしなので、すぐに何か対策を講じる必要があります。
生徒様の方から悩みなどを打ち明けてくれればいいですが、なかなか思春期で自分の弱みを言うことも憚れる年齢だと思うので、
保護者様からコミュニケーションを密にとって、生徒様の状況の把握に努められることが望ましいです。
②早く行動する
二つ目の注意点はもし生徒様に問題があれば、状況を打開するために早く手を打つことです。
中学時代は勉強面で一時期失敗してもまだまだ少々の努力で取り返すことが可能です。
問題は勉強しない状態や、精神的に問題を抱えている状況が放置されたまま高校に進学していくことです。
何か困りごとが生まれたら、学校の先生や時には外部の人に積極的に相談し、生徒様本人も巻き込んで、できる限り早くその問題に対処することが求められます。
4. 部活と勉強の両立のために、保護者ができるサポートとは
部活と勉強の両立のためには保護者様の役割が非常に大きくなります。
具体的にどんな対応が望ましく、どんな対応が逆効果になってしまうのか私の考えを述べていきます。
①してはいけない対応
一番してはいけない対応は、生徒様の意思に反して部活を強制的にやめさせてしまうことです。
勉強に集中してほしいという親心はわかりますが、生徒様は今まで自分の思いで続けてきたものを突然力づくで止められると、
大きな喪失感を抱いてしまい、自分が否定されたような錯覚を覚えアイデンティティにも傷がついてしまう可能性があります。
そうなってしまった場合、保護者様が勉強しなさいと言えば言うほどそれに反抗するようになり、せっかく時間を確保できてもゲームなど他のことにのめりこんでしまうでしょう。
次の章でも述べますが、部活は勉強に与えるプラスの影響も大きいです。
部活を辞めさせるにしても、生徒様と深いコミュニケーションをとりながら、また部活を辞めた後の時間をどう使うかもある程度決めたうえで慎重に行動することが求められます。
②おすすめの対応方法
2章のおススメの勉強法でも書きましたが、全く勉強をしない状態から生徒様が継続的に勉強する習慣をつけるキッカケとして、
お小遣いなどなんでもよいので、ご褒美を与えてみるというのはとても効果的な方法です。
例えば毎週の学校の単語の小テストで満点を取ったら何円お小遣いをあげるとか、そういったご褒美で奮い立たせてでもテスト直前以外の時間も勉強をさせるのと、
全く何もアクションをとらずそのままの状態を放置するのは、後になって成績の見違える差になって返ってくると思います。
高校生になると精神が成熟し、親からお金をもらうことを目当てにして勉強することを恥ずかしく感じるタイミングが来るので、ずっとインセンティブを与える必要はありませんが、
中学時代というまだ精神も幼い段階で他に選択肢がない場合はぜひトライしてみて頂きたいと思います。
また、環境をがらっと変えてみることもいい影響をもたらします。
週に1日でも勉強に集中できる日を作って集団塾に行かせることで、進んだ勉強をしている同い年の子から刺激を受けたり、
個別や家庭教師の先生に親からでは言えない厳しいことを言ってもらったりすることで、
学校と家の往復だけという環境をガラッと変えて生活にメリハリを持たせてみてもいいかもしれません。
特に兄弟がいて時間をかけて生徒様の勉強を見てあげられない、反抗期で上手くコミュニケーションできないといったお悩みを抱える場合は、ぜひ外部の人に頼ることをおすすめします。
5. 勉強と部活を両立させる重要性
部活に入ることは、生徒様が勉強するにあたって決してデメリットばかりではありません。
最後の章では部活と勉強を両立する意義について解説します。
ぜひ部活を生徒様に続けさせるか悩まれている保護者様の参考になれば幸いです。
①部活で鍛えられる力
部活に入ることで勉強に役立つことは、まず何といっても生徒様の体力、精神力が養われることです。
この二つの力は特に受験期になってボディーブローのように効いてきます。
小学校のころよりも勉強する科目数が圧倒的に増え、格段に覚えることも多くなる高校受験、大学受験を乗り切るためには、
普段から運動をしたり仲間と激しく切磋琢磨できる環境に身をおき、自分を物理的にも精神的にも成長させることが重要だと思います。
そのような場を提供してくれるのが部活であり、社会人になった時のことも考えると中学時代を部活に捧げるのは良い選択肢だと思います。
②部活で情報戦を制す
受験勉強は努力も大事ですが、それと同じくらい情報も重要になってきます。
生徒様が部活に入っていれば、友達や先輩から多くの情報を仕入れられる機会に遭遇します。
友達から定期試験の情報をもらっていい点を取ることができれば、それは生徒様の自信につながり勉強のモチベーションを向上させます。
また先輩からは志望校の情報や通っている塾の情報をもらえることもあります。
部活の保護者様同士の交流でも、情報を共有したり受験の悩み事を解消し合ったりする機会に巡り合えると思います。
私の経験からも、生徒様が何かしらのコミュニティに入っていることは、受験という情報戦を制するうえで大きなアドバンテージになるでしょう。
最後に
勉強と部活を両立することはかなり大変なことです。
ですがそれを乗り切れば大きな成長が期待できます。
私も中学時代テニスに打ち込んだ経験から、体力や精神力がつき、部活に入っていたメリットを享受しています。
生徒様が、勉強も部活も思いっきり頑張って悔いのない中学生活が送れるよう、保護者様としては積極的にアクションをとって、
必要ならば塾や家庭教師にも頼ってみることが良いのではないかと考えています。
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