数学が苦手な中学生が多い3つの理由
①概念が抽象的で授業内容がわかりにくい
中学校での数学は小学校とは異なり、負の数や無理数、二次関数といった日常とのつながりが想像しにくい題材を扱います。このため、小学校でやっていたような具体例で考えるやり方が通用しにくくなっています。
さらに、授業の進度が速くなるので、理解に時間をかけているとあっという間に置いていかれてしまいます。
②公式の意味を理解せずに暗記してしまう
数学を勉強する上では公式や定理を正しく用いる必要があります。ですが、その公式や定理が成立する条件や、その条件でなければならない理由などもセットで理解しなければテスト本番で使えるレベルにはなりません。
先ほども述べた通り、中学校の数学は授業のペースが速く、こうした事柄を理解する暇もないまま次に行ってしまいがちです。このような「置いていかれる」経験が重なると、生徒様の数学への苦手意識はどんどん強いものになっていくでしょう。
③問題の解き方のパターンが整理できていない
数学の問題にはある程度パターンがあります。これらのパターンを上手く引き出せるようになれば高得点が期待できます。
しかし、どのパターンを当てはめればよいかが整理できていないと、制限時間内に問題を解くことが一気に難しくなります。
数学が苦手な中学生におすすめな勉強法
では、どのようにして中学校の数学を勉強すればいいのでしょうか。
ここでは、「日々の学習編」と「テスト編」について、それぞれおすすめ勉強法をお伝えします。
数学への苦手意識を持つ生徒様は多いですが、正しく理解し、適切な演習を積むことで、必ず得意な科目にすることができます。諦めずに根気強く取り組みましょう。
①日々の学習で意識すべき5つのポイント
(1)わからないところがあったらすぐ戻る
数学は基礎の積み重ねが重要です。わからない部分はすぐに復習し、何が理解できていないのかを明確にしましょう。
必要に応じて小学校の範囲に戻るなどして、基本的な箇所でのつまづきを徹底的になくしていきましょう。
(2)時間があれば予習して先取り
数学への苦手意識は授業に「置いていかれる」感覚から来ることが多いです。そこで、授業内容を予習して先取りすることで「置いていかれる」ことへのストレスなく学ぶことが出来ます。
予習は計画的に行うことが大切です。計画の立て方がよくわからない場合は家庭教師を利用するのも良いでしょう。
(3)公式や解法を丸暗記しない
公式や定理は丸暗記せず、成立する条件などもセットで覚えましょう。また、なぜその条件でなければならないのかを自分の言葉で説明できるところまで理解しましょう。
問題を解く際も、ワーク等に書いてある答えを丸暗記するのではなく、そこで使うべき定理や公式に立ち返って自分で答えを作れるようになりましょう。
(4)解法パターンを整理して繰り返し演習
数学の演習は回数の積み重ねが重要です。演習を繰り返すうちに解き方のパターンがわかり、計算ミスも減っていきます。
まずは机に向かってペンを手に取り、目の前の問題を解くところから始めていきましょう。
(5)応用問題にも取り組む
基本問題が一通り出来るようになったら、高校・大学受験を見据えて応用問題にも取り組みましょう。
最初は出来なくても大丈夫です。とりあえず目の前の問題についてしっかり考えることが大切です。これも繰り返し演習して克服していきましょう。
②テスト勉強のやり方とポイント
(1)定期テストに向けた準備法
定期テストの問題は学校で使う問題集の類題が出ることがほとんどです。まずは学校からテスト範囲として提示された部分を周回するようにしましょう。
問題集の問題がすらすら解けるようになれば、テスト本番の問題も時間内に余裕で間に合うようになるはずです。
(2)ケアレスミスを防ぐチェックのやり方
テスト本番の問題を時間内に解けるようになったら、余った時間を見直しに使いましょう。
自分では大丈夫だと思っていても、よく見たら意外と初歩的なミスをしているものです。符号の正負を間違えているなど、自分に特有の傾向があればそれを意識して今後の学習とテストに取り組むことにしましょう。
(3)テスト後の見直しで次に繋げる
テストが返却されたら、まずは分からなかった問題についてどこを間違えたのか、何に気付けなかったのかを整理して解き直すようにしましょう。
点数に一喜一憂せず、次に繋げることを大切にしましょう。
(4)模試を活用して弱点を見つける
模試は定期テストより難しい問題が出ます。難易度が高い分、自分の苦手分野が見つけやすく、見直しの効果も定期テストよりも高いです。
ただし、模試には学校の授業とその予習復習ではカバーできない問題もいくらか出てきます。その場合は家庭教師や塾など、外部のサービスの利用も検討してみるとよいでしょう。
保護者様にできる数学のサポート
苦手意識を和らげる声かけの工夫
保護者様が生徒様に対し、やってはいけないことは生徒様を焦らせるような声かけです。「なんでこんな問題も出来ないの?」というような否定の言葉は生徒様のやる気を削ぎ、数学への苦手意識をさらに強める結果になります。
やるべき声かけは生徒様の「出来ない」に共感する声かけです。「うんうん、難しいよねそれ」といった共感から入って、わからないところを一緒に考えられるとベストです。
中学生の生徒様は保護者様にあれこれ指図されたくないお年頃です。生徒様の自主性を大切にしましょう。
テストの結果の受け止め方と次への繋げ方
生徒様のテストが返ってきたら、まず気になるのは点数だと思います。しかし、それに言及することは極力控えましょう。
評価するべきは前回からの伸び幅です。点数が下がった場合でも、生徒様が難しかったと言う場合はまず共感し、その上でステップアップを促していきましょう。
数学が得意になると得られる3つのメリット
①高校数学の土台が出来て大学受験も有利に
中学校の数学が得意になると、高校数学を学ぶ上での強い土台ができます。微積分やベクトル、複素数平面といった難しい概念も理解しやすくなります。
また、大学受験では数学での得点が合否を分けることが多いです。特に難関大ほどその傾向は強く、数学が苦手な受験生も多いので数学を得点源に出来ると一気に有利になります。
②他の教科の成績にもいい影響がある
数学は物理や化学などの他の理系科目の土台にもなります。これらの教科でなくても、計算が必要な問題が他教科で出てきたときに焦らずに済むようになり、テストでの安定感が上がります。
また、現代では文系に進んでも情報は必修であり、データ分析は必須の素養となっています。日頃から数学を勉強し、数字の扱いに慣れておくことでデータ分析にも強くなれます。
③数学を通して鍛えた思考力が将来の進路や仕事でも活きる
数学を学ぶことで、問題の条件を読み取り、論理的に問題を解決する思考法が養われます。数学によって身につけることができる問題を読み取る能力、論理的思考力、問題解決能力は、社会人になってもきっと役立つでしょう。
まとめ
これまで、数学の苦手になってしまう要因やおすすめ勉強方法、保護者様のサポート方法、中学数学の重要性などを紹介してきました。
数学は進度が早く、特に苦手意識がもたれやすい科目ですが、正しい理解をして解法を整理することで、必ず得意科目にすることができます。
中学校で培った教養や勉強方法、知識、思考力は必ず高校でのアドバンテージになるだけではなく、大学や社会でも活きるはずです。
正しいやり方で数学も他教科も効率よく学んで、部活や行事も楽しめる充実した中学生活を送れることを願っています。