1. SAPIXの組分けテストとは?
組分けテストは、SAPIXが提供する重要なテストの一つです。生徒様自身の学力を正確に測定し、それぞれの能力や学習進度に最適なクラス編成のためにおこなわれます。
ここからは、組分けテストの目的や特徴、重要性について、詳しく解説します。
①組分けテストの概要
SAPIXの組分けテストは、生徒一人ひとりの学力を正確に把握し、最適なクラス編成を実現するための重要な指標となる試験です。
対象 | SAPIX在籍の小学1年生から6年生 |
回数 | 年3回(主に1月、3月、7月) ※6年生は3月と6月の2回のみ |
科目 | 算数、国語、理科、社会(配点は学年に応じて調整) |
特筆すべき点は、出題範囲が設定されていないことです。日々の学習の定着度を測る真の実力テストと言えます。
そのためマンスリーテストよりも難易度は高く、4科目合計の平均点が5〜6割になる場合もあります。
②SAPIXにおける組分けテストの重要性
SAPIXにおいて組分けテストは所属クラスや学習環境に大きく影響します。
組分けテストの結果によっては、現在のクラスからの昇級や降級が行われます。
SAPIXのクラス変動に関係するのは「マンスリーテスト」「組分けテスト」の2つです。違いは以下の通りです。
・マンスリーテスト ・・・ 最大でも2〜3クラスの変動
・組分けテスト ・・・・・ クラス変動の幅に制限がない
つまり、テストの結果次第で、一気に大きくクラスが上がったり下がったりする可能性があります。
上位クラスでは、よりレベルの高い内容を学ぶ機会が多くなります。さらに周囲の生徒様からの刺激も得られます。そのため、降級してしまったときはショックを受けるご家庭も多いです。
しかし、生徒様自身の学習ペースに合った授業を受け、理解度を深めるための時間を得られるチャンスでもあります。
▼SAPIXのクラス分け対策の詳細については、以下ページも併せてご覧ください。
「SAPIXのクラス分けの基準は?クラスアップのための方法も解説!」
③難易度はマンスリーテストより高い
SAPIXの組分けテストは、生徒の実力を総合的に測定するための試験です。
問題の難易度自体はそれほど高くないですが復習テストやマンスリーテストと異なり、明確な出題範囲が示されないため幅広い学習が求められるため難易度は高くなっています。
この試験方式には、中学受験本番での実力を見るほかに、生徒様自身に高い目標を持ってもらい、学習意欲を高めたいという塾側の狙いがあります。
2. 組分けテストの出題範囲と傾向
組分けテストはマンスリーテストと異なり、幅広い範囲から出題されるのが大きな特徴です。そのため、特定の単元の復習だけでテスト対策をするのは困難です。難易度もマンスリーテストより高く、得点差が大きく開く傾向があります。ただし、すべてが難問揃いというわけではありません。
基礎レベルの問題を確実に得点できれば、マンスリーテストと比べて大幅に成績が下がるという事態は避けられます。
少しでも高得点を目指すために、組分けテストそのものの出題傾向を知っておくことも重要です。
ここからは、組分けテストの各教科の出題範囲と出題傾向について解説します。
①国語の出題範囲と傾向
国語の問題は、主に読解力と語彙力を問う問題が中心です。漢字の読み書き、慣用句や文法に関する問題、複数の読解問題など、国語に関する総合力を問われる構成です。
読解問題には必ず記述形式の問題が含まれているため、自分の読み取った内容を論理的に書いて説明するトレーニングが必要です。
国語の問題構成は以下の通りです。
問題内容 | 問題数・配点 |
漢字の読み書き | 約10問・20点 |
知識問題(慣用表現など) | 約10問・20点 |
長文読解問題1(論説文または小説文) | 約55点 |
長文読解問題2(論説文または小説文) | 約55点 |
客観問題(選択肢や抜き出し問題)は1問4〜6点程度で、10〜15問程度出題されます。
これらの問題で点数を固めつつ、記述問題で部分点を確保していく戦略が効果的です。
②算数の出題範囲と傾向
算数の出題範囲は、基本的な計算問題から高度な応用問題までさまざまです。単純な四則演算から始まり、文章問題、図形問題、論理的思考力を問う問題などが含まれます。
難易度自体はマンスリーテストと同程度のものが大半ですが、範囲が広いため対応が難しいと感じる生徒様が多くいます。また、最上位生でも苦戦するような高レベルの問題もいくつか出題されます。
算数の問題構成は以下の通りです。
問題内容 | 問題割合 |
計算力を問う基本問題 | 約10〜20% |
文章題(つるかめ算、和差算などの典型問題を含む) | 約30〜40% |
図形問題(円と多角形、立体図形など) | 約20〜30% |
数の性質や規則性を見出す問題 | 約10〜20% |
思考力を要する応用問題 |
約10〜20% |
特に、図形問題では円とおうぎ形の問題が頻出です。また、速さや比に関する問題も重要な出題分野です。
③理科の出題範囲と傾向
理科の問題は、実験や観察の知識、思考力を問う内容が中心です。生物、化学、物理、地学の各分野から幅広く出題され、基礎的な用語の知識を問う選択問題から、実験結果の分析や考察を求める記述問題まで含まれます。
日常生活との関連を意識した問題も多く、科学的な視点で物事を捉える力が試されます。
理科の問題構成は以下の通りです。
問題内容 | 問題割合 |
基礎的な用語や概念の理解を問う問題 | 約20〜30% |
実験・観察の結果を分析する問題 | 約30〜40% |
科学的思考力を要する応用問題 | 約20〜30% |
最新の科学トピックスに関連した問題 | 約10〜20% |
特に、実験結果のグラフ分析や、複数の科学的概念を組み合わせて考える問題が重視される傾向にあります。
④社会の出題範囲と傾向
社会では、それまでの学習範囲からさまざまな問題が出題されます。日本の地理や歴史、政治経済の仕組み、国際関係など、幅広い知識が問われる内容です。単純に用語を暗記していればいいというわけではなく「なぜその土地が適しているのか」「なぜその出来事が起きたのか」といった因果関係まで理解しておくことが求められます。
また、新聞やニュースで取り上げられるような時事問題も含まれることがあり、社会への関心と理解度も範囲に含まれます。
社会科の問題構成は学年や学習時期によって異なります。
以下は多くの単元を学んできた6年生の例です。
問題内容 | 問題割合 |
地理分野(日本地理、世界地理) | 約30〜40% |
歴史分野(日本史、世界史) | 約30〜40% |
公民分野(政治、経済、国際関係) | 約20〜30% |
時事問題 | 約10〜20% |
学年によっては、出題傾向をある程度予測できる場合があります。
例えば、6年生の3月のテストには地理総合と江戸時代までの歴史がよく出題され、7月のテストには近現代史が必ず出題されます。
3. 組分けテストの効果的な対策方法
ここからは、組分けテストの効果的な対策方法を「全科目共通の勉強方法」と「科目別の勉強方法」の2つに分けて解説します。
範囲がないからこそ対策の難しいテストではありますが、それでも有効な手段は存在します。
具体的に紹介しますので、ぜひ参考にして取り入れてみてください。
①全科目共通の勉強法
全科目共通の勉強方法として、日々の授業や課題にしっかり取り組むことが大切です。
1回1回の授業で学んだことを確実に理解し、疑問点はその場で解決する習慣をつけておくことが、最も効果的な対策です。また、定期的な復習も必要です。
学んだ内容を定着させるため、その日の授業内容を当日中に復習したり1週間後に復習したり、何度も同じ単元に触れることが効果的です。これにより、知識の定着率が高まり、長期的な記憶力の向上にもつながります。
インプットも重要ですが、それ以上に意識していただきたいのがアウトプット、つまり問題演習です。過去のテキストやマンスリーテストの問題を再度解いてみて、自分の弱点を見つけ克服を目指しましょう。
問題を解いた後は、その後の振り返りも大切です。
間違えた問題はなぜ間違えたのか、正解するためにはどのような知識や考え方が必要だったのかを丁寧に分析しましょう。
言葉で説明できるレベルまで仕上げておけば、本番で似たような問題が出てきた際に対応できる確率が高まります。
②国語の組分けテスト対策法
(1)漢字の要やコトノハを活用する
国語で高得点を取るためには、基礎的な知識系問題で確実に得点することが求められます。
漢字の要やコトノハを活用し、漢字や語彙、ことわざ、慣用句、文法などの知識を定着させておきましょう。ことわざなどの復習をする際には、毎回ノートに書かずに口頭でチェックするだけでも効果が期待できます。ちょっとした隙間時間を活用しましょう。
(2)授業での解き方を思い出す
読解問題については、組分けテストのために特別な対策は必要ありません。
普段の授業で取り組んでいる手順を思い出し、本番でも同様の手順で動けるように確認しておくと良いでしょう。
たとえば
・どういう部分に線を引くか
・設問のどこにマルをつけるか
・選択肢はどうやって絞り込むか
といった項目を確認しましょう。これらの項目を事前にメモにまとめるのも効果的です。
(3)捨て問の意識を持つ
また、書き抜き問題など、時間がかかる割に配点の低い問題を「意識的に飛ばす」といったテクニックも確認しておくと良いでしょう。
▼SAPIX国語のおすすめ勉強方法については、以下ページをご覧ください
③算数の組分けテスト対策法
(1)基礎トレやデイリーチェックを解く
算数の組分けテスト対策では、基礎的な計算力の向上と応用問題への対応力の両方を身につける必要があります。
基礎トレやデイリーチェックをくり返し解き、満点を取れる状態にしておきましょう。それだけでも大問1(計算問題)で満点を狙えるだけの力がつきます。
また、デイリーサピックスの★、★★を完璧にマスターしておけば、大部分の標準レベルの問題で正解できるようになるでしょう。他にも、過去のマンスリーテストや組分けテストで不正解だった問題の解き直しも有効です。
応用的な内容は原理原則を複数組み合わせて解くような問題として問われます。そのため、一問一問についてこの問題は、どの考え方を利用して解いたかを確認し、自分の中で整理しておく必要があります。
(2)捨て問の意識を持つ
国語と重複しますが、時間内に一問でも多く答えるためには捨て問の意識を持つことが重要です。
算数好きな生徒様ほど、つい一問にこだわって時間を割いてしまうケースがよく見られます。
大幅な点数ダウンのリスクもあるため、この点についてはしつこいくらい声掛けをするをおすすめします。
▼SAPIX算数のおすすめ勉強方法については、以下ページをご覧ください
④理科の組分けテスト対策法
(1)デイリーサピックスやコアプラスを活用する
理科の組分けテスト対策では、基礎知識の習得と科学的思考力の両方が求められます。
デイリーサピックスや、高学年であればコアプラスを用いて、各分野の基本的な概念や法則を確実に理解しておきましょう。用語の暗記はもちろん大前提ですが、なぜそうなるのかという原理原則まで理解することが重要です。
物理や化学の分野では計算問題も出題されます。知識をもとに正しい式を立てる力や、正確な計算力も必要です。過去のテキストやテストを用いて、くり返し練習しておきましょう。
(2)日常生活と科学の関連性を意識する
また、日常生活と科学の関連性を意識することも効果的です。たとえば料理中の化学変化や、天気の変化と気圧の関係など、身近な現象を科学的な視点で捉える経験をしておくと、初見の問題にも対応しやすくなります。
▼SAPIX理科のおすすめ勉強方法については、以下ページをご覧ください
⑤社会の組分けテスト対策法
(1)デイリーチェックやマンスリーテストを活用する
社会では、それまでに学習した地理・歴史・公民の3分野から、基礎的な知識を問う問題が幅広く出題されます。
デイリーチェックや過去のマンスリーテストを活用し、重要な出来事や地理的特徴を視覚的に理解しておきましょう。読解力が必要な問題もあるため、資料の読み取りや考察問題を同時に進めておけば、より高度な問題にも対応できます。
また、問題を解いてみて忘れていると感じた単元に限りテキストに戻るといった、アウトプット主体の学習がおすすめです。
(2)ニュースや新聞に目を通す
時事問題が出題される場合もあります。
そのため、テキストに掲載されている知識だけでなく、ニュースや新聞に目を通す時間も意識的に確保しましょう。
▼SAPIX社会のおすすめ勉強方法については、以下ページをご覧ください
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4. 組分けテスト対策で保護者様にできるサポート
組分けテストに向けて、家庭でできるサポートは多岐にわたります。
まず、学習環境を整えることが重要です。静かで集中できる場所を確保し、必要な参考書や問題集を用意しましょう。特に「兄弟が遊んでいる真横で勉強するのはしんどい」と漏らす生徒様は多いです。
別の部屋で遊ばせる、ゲームなど音の出る遊びを避けるなど、可能な範囲で配慮してあげましょう。
環境が整うことで集中しやすくなるのはもちろんですが、何よりも「家族が協力してくれている、協力しようとしてくれている」という安心感が、生徒様にとっては大きなやる気の元となります。
また、組分けテストには特定の出題範囲がないため、保護者様が生徒様の苦手分野を把握し、具体的なスケジュールを立てることも大切です。小学生はまだ範囲のないテストの経験が浅く、自力ではどこから勉強すればいいか判断できないのが普通です。大人の客観的な目で判断し、カレンダーなどに日々の学習内容をまとめてあげましょう。
5. 組分けテストの結果の活用と今後の学習計画の立て方
組分けテストを実際に受けた後は、復習や分析をおこないましょう。
SAPIXのテスト問題は、基礎から応用までバランスよくちりばめられており、教材としても非常に優れています。今回手に入った問題自体を、いかに学力向上に役立てる材料にするかという意識が重要です。
自己採点や解き直しをされているご家庭は多いですが、ここからはもう少し詳しくテスト後の動きについて解説します。
①できたところ・できなかったところを冷静に分析する
テスト結果を効果的に活用するには、できたところ・できなかったところの分析が不可欠です。
できた問題とできなかった問題を分け、それぞれの理由を考えてみましょう。
できた問題についても他の問題にも応用できるよう、なぜ正解できたのかを振り返り言語化しておくのがおすすめです。できなかった問題に関しては、単純な知識不足なのか、問題の読み取りミスなのか、時間配分の問題だったのか、できなかった原因を特定し、改善に活かしましょう。
ただしできなかったこと自体を責めるのは避けてください。できるはずの問題でミスをしてしまった場合最も落ち込んでいるのは生徒様自身です。あくまで「どうすれば次の機会には同じミスを避けられるか」という視点で分析することを心掛けてください。
②正答率を活用して復習の優先順位を設定する
SAPIXの組分けテストでは、問題を標準問題と応用問題に分類しています。正答率70%以上の基本的な知識を問う問題が標準問題、正答率30%程度の応用力を試す問題が応用問題とされています。
偏差値を上げるコツは、まず標準問題の正答率を高めることです。応用問題で苦戦しても、標準問題で高得点を取れば、総合的な偏差値は高くなる傾向があります。正答率と自分の回答を比較し、苦手分野とその原因を分析しましょう。
特に、正答率が高いのに間違えた問題は、理解が不十分な可能性が高いので、重点的に復習するとよいでしょう。
③今後の学習計画に役立てる
テスト結果を今後の学習計画に活かすには、目標設定が重要です。組分けテスト対策というよりは「いかに日頃の学習で知識を定着させていくか」という視点で考える必要があります。
例として以下のようなことを意識するとよいでしょう。
・基礎トレや漢字の練習は時間を決めて毎日おこなう
・授業の復習をいつやるか、教科ごとに曜日や時間を決めておく
・目の前の学習内容だけでなく、前の単元を振り返るための時間も用意する
・体調不良や急用で予定通りに動けなかったときに備え、予備日も決めておく
テスト結果が返ってきた直後は「もっとやらなければ」という焦りから、実現が難しい計画を立ててしまう保護者様や生徒様が多く見られます。しかし計画倒れが続くとストレスが溜まってしまい、勉強へのモチベーションが下がりがちです。あくまで落ち着いて、無理のないスケジュールを立てることを意識しましょう。
④組分けテストの結果に一喜一憂しすぎない
テスト結果は学習の一つの指標であり、過度に一喜一憂しないことが大切です。良い結果が出たからといって学習ペースを落としたり、悪い結果に落ち込んで学習意欲を失ったりすることは、長期的な学力向上の妨げになります。
実際に、αクラスで上位だった生徒様が、一度の組み分けテストでアルファベット中位まで下がってしまったことがありました。その時は強いショックを受けていましたが、その後気持ちを切り替えてしっかり学習に向き合った結果、半年ほどで元のクラスに戻ることができました。
重要なのは、結果を受け止め、次の学習に活かす姿勢です。
特に下がってしまった場合、生徒様自身もショックを受けています。保護者様は、結果に関わらず、まずは生徒様の努力を認め、前向きな姿勢を持つよう励ますことが大切です。その後、どうやってクラスアップを目指していくか、前向きなプランを立ててあげるようにしましょう。
また、テスト結果だけでなく、長期的な成長にも着目してください。
テストは学習の過程であり、最終目標ではないことを常に意識し、継続的に学習意欲を維持できる環境を作ることが大切です。
▼SAPIXについていけない際の対策の詳細は以下ページをご覧ください
まとめ|普段からの定着を意識して幅広い出題範囲に対応しよう
組分けテストは、出題範囲がないため非常に難易度の高いテストです。クラスの昇降制限もないため、SAPIX生にとっては非常に重要です。対策として、定期的な復習と授業でわからないことをその場で解決することが重要です。基本的な問題はくり返し解いて覚え、応用問題はさまざまな問題を解くのが良いでしょう。
ご家庭では、生徒様の苦手な分野や得意な分野を普段から把握しておくことが大切です。生徒様と保護者様で一緒に考えることで、生徒様自身で分析してみても分からなかった苦手分野を見つけることができるでしょう。
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