中学受験はいつから始める?
小3・小4で始めるケースが多い
中学受験を始めるベストなタイミングは、小学3年生の冬、または小学4年生の春です。 この時期から、基礎力をしっかり築くことで、5年生からの本格的な受験対策にスムーズに移行できます。早めに始めることで基礎固めはもちろん、学習習慣を整え、無理のないペースで勉強を進めることができます。
また、生徒様の興味や適性を見極める時間も十分に確保できるため、効果的な学習計画を立てやすくなります。 中学受験は長期戦です。より具体的で計画的な準備が成功の鍵です。
小5・小6から始めても間に合う?
小学5〜6年生が中学受験を始めるには遅すぎるか、というと必ずしもそうとは言い切れません。
小学5〜6年生は低学年の頃より集中力が高く、自分自身で効果的な学習法を進めたり、意欲的に学習に取り組める、というメリットもあります。短い時間で学習できる能力を身につけられるようにもなります。
しかし、小学5〜6年で始める場合、いくつか注意点があります。
(1)学習量が一気に多くなるため、生徒様の負担も大きくなる
小学5〜6年生は中学校の学習に向けた本格的な内容に入り、内容がぐっと深く広い知識となってきます。 今まで以上の学習量をこなす中で、中学受験の核となる基礎学力の確認・補習となると、やはり学習量はかなりの量になり、生徒様にとって負担は大きいでしょう。
(2)無駄を削減した効率的な学習が求められる
多くの受験生が早期から準備を始めているため、小学5〜6年生からのスタートでは、既に基礎学力が定着しているライバルと競争することになります。 そこを埋めるためには、無駄を削減した効率的な学習方法と効果的な勉強計画が不可欠です。
例えば、それらの学習量を補うために塾や家庭教師の授業を増やすことは、生徒様自身、及び保護者様の経済的な負担、送迎等の時間の制約が増えるでしょう。
【学年別】中学受験対策の具体的なスケジュール
中学受験への一般的なスケジュールは、おおよそ以下の通りです。
学年 | 対策内容 |
小1・2 | 毎日の学習時間を設定し、基本的な学習習慣を身につける |
小3・4 | 塾や家庭教師などをつけ、基礎学力を固める |
小5 | 志望校を決め、中学受験に合わせた応用力の演習をする |
小6 | 過去問演習、模試を受けるなど、本格的な受験対策に取り組む |
それぞれ、以下で詳しく解説します。
小1・小2:学習習慣の基礎作り
低学年の間は、中学受験の準備期間として、生徒様の学力のベース作りを行う時期です。
次のことをポイントとして意識してみてください。
(1)学習習慣の定着
毎日決まった時間に勉強する習慣をつけることが大切です。
毎日、家庭学習の時間を確保し、宿題や予習・復習をしっかり行いましょう。
(2)読書習慣の定着
まず低学年の間に身につけたいことは国語の読解力です。そのため、普段から読書する習慣を身につけるようにしましょう。
興味のある分野からたくさん本に触れるようにし、幅広い分野の本を読むことで、語彙力や読解力を養いましょう。図書館を利用するなど、親子で読書の時間を持つことがおすすめです。
また、気になったことは辞書などを使ってすぐに調べてみると良いです。
(3)基礎学力の向上
読み・書き・計算をバランスよく定着させるために、算数の基礎的なドリルや、国語の漢字・文法の習得をしっかり行いましょう。塾のカリキュラムなどでは、国語(読み・書き・漢字)の定着の徹底、算数は四則混合の計算を確実にすることが目標にされている場合が多いです。
また子どもの自主性を高められるよう、子どもが興味を持てるものをたくさん増やし、学ぶ楽しさを一緒に経験しましょう。科学館や博物館へ行ったり、自然観察をしたり、様々な経験を通じて子どもの好奇心を刺激することが大切です。
この時期は、出来ないことに目を向けるより、出来たことを思い切り褒めることがおすすめです。
また早寝早起きやバランスの良い食事、適度な運動を習慣化することで、健康な身体と心を育てます。
小3・小4:塾通い、学力の基礎固め
中学年の間も、低学年の際と同じく学力の基礎固めと生活習慣の確立を行う時期です。
またこの時期から、中学受験塾に通い始めるのが一般的です。
やるべきことは低学年の頃と変わりませんが、塾に通い始めることも相まって、学習すべき内容がより具体的になり、ボリュームも増えます。
国語 | さまざまなジャンルの本を読み、読解力や語彙力を養いましょう。 特に、小学4年生までの漢字を確実に覚え、書けるようにしておきましょう。 併せて、簡単な作文や日記を書く習慣をつけ、表現力を高めましょう。 |
算数 | 中学年になると、算数では四則計算を終え、発展的な問題も多くなってきます。四則混合の計算を確実にすること、更にはスピードをあげることが課題となります。 問題数が増えても時間内に解けるよう時間管理も始めましょう。早いうちから問題を解くスピードの感覚を掴むことは、後々過去問に取り掛かる時にとても役に立ちます。 また、文章題に取り組み、問題を読み解く解法力を鍛えましょう。 パズルや論理的思考の訓練も効果的です。 |
理科・社会 | 身の回りの自然や社会現象に興味を持ち、観察力を養います。 図鑑や地図帳を活用し、自分で調べる力を身につけましょう。 |
▼塾選びについての関連ページは以下をご覧ください。
小5:志望校選定、応用力の演習
高学年になると、いよいよ本格的な中学受験対策が必要になってきます。
(1)志望校選定
小学5年生の春~初夏までに志望校に対する考えを固め始められると良いです。併願校も含めて10校ほどピックアップし、もし全く思いつかないようなら、塾の先生や家庭教師の先生に相談しましょう。
中学受験の志望校選びのコツは、さまざまなポイントで各学校を比較し多角的に検討することです。
(2)応用力の演習
低学年・中学年で培った基礎学力を使って、実践的な内容で応用力を身につけていきましょう。間違えた問題の解きなおしももちろん大切ですが、初めて見た問題に対して、かかりそうな時間をイメージし、 実際に解くのにかかった時間の差を把握し、出来るだけ正確に時間間隔を掴めるようにしていきましょう。
比較的得意な教科は解法時間もイメージしやすいですが、苦手な教科ですと、実際思っていた以上に時間がかかってしまうことも少なくありません。
この自分のイメージとの相違がある部分を少しずつ埋めていくことが大切です。
小6:過去問演習、模擬試験を受ける
小学6年生では模試の受験や過去問の対策が始まります。問題を解く時間配分を覚えたり、間違えた問題・苦手な単元でも点数を取れるように仕上げていく必要があります。
(1)過去問演習
中学受験では、学校ごとに試験問題の内容が大きく異なります。
中学受験の過去問は、小学6年生の7〜8月頃に購入し、9月から解き始めるとラストスパートをかけられます。過去問を見て選択式の問題と記述式の問題どちらが多いのか、出題されやすいのはどの単元か、分析しておくと本番であわてずに解答できます。
(2)模擬試験
模試を受けることは、受験生にとって様々なメリットがあります。
例えば、受験生の中での自分の現在の立ち位置を把握することができます。また、実際の受験を想定して臨み、独特な雰囲気に慣れることで、試験当日の練習にもなります。
そして、模試を受ける際のポイントの一つが、受験後の復習です。模試を受けた後は必ず復習をしましょう。中学受験で受ける模試は一回きりではありませんから、受験後に復習をして、不明点を一つずつつぶしていくことが合格への近道です。
中学受験に向けて、保護者様ができるサポート
中学受験を控えた生徒様に対してどのようにサポートすれば良いか悩む保護者様は少なくないです。まだ中学生ということもあり、中学受験では保護者様の役割は重要と言えます。
ここでは、具体的にどのようなサポートができるのか解説します。
受験勉強の進捗を確認する
生徒様の受験勉強がうまく進んでいるのか、つまずいているのかコミュニケーションをとって確認してください。
例えば、学習につまづき予定していた目標がその日にこなせなかった場合、出来なかった課題は先延ばしにせず、その日のうちにスケジュールを組みなおし修正しましょう。その際、一緒にスケジュールを考えることが重要で、生徒様にも「見守っているよ」「一緒に頑張ろうね」という気持ちが伝わります。
また、積極的に会話をしていくことで、実は悩みを抱えており、受験に集中できていなかったことが判明する場合もあります。
このように生徒様が持つ問題点を早期に見つけてあげられれば、受験の成功率も上がるでしょう。
モチベーションを維持するための声掛け
中学受験という長期戦においては、モチベーションの維持が重要です。
そのために、まずは勉強する目的を明確にして、なぜ勉強する必要があるのかを「自分ごと」として理解できるまで具体的に伝えていきます。保護者様が受験の重要性を伝えても、生徒様が「勉強をやらされている」と感じている限りは、モチベーションは上がっていきません。
次に、中学受験に合格した後の将来を鮮明にイメージさせましょう。楽しい人生が待っていると思う気持ちから受験勉強へのモチベーションにつながる可能性が期待できます。
そして、どのような些細なことでも本人の努力を褒めてあげることもモチベーションを上げるためには効果的です。
健康管理・メンタルケアをする
中学受験に向けて、生徒様・保護者様どちらも健康管理を心掛け、万全な体調で勉強に集中できるようにしてください。
受験期は想像以上にメンタルが不安定になることもありますので、生徒様、保護者様それぞれがリラックス、リフレッシュできる発散方法を見つけておくことも必要です。
▼保護者様ができるサポートについての関連記事は以下をご覧ください。
中学受験の勉強を始めるにあたっての注意点
中学受験を考え、実際に準備を始めると、日頃の生活やかかってくる費用も変わってきます。
どのタイミングから始めるのか、どのくらい費用をかけられるのか、中学受験のその先をイメージし、合格までの具体的なスケジュールを立てることが、受験合格の一歩となります。
生徒様・保護者様の気持ちを揃える
生徒様・保護者様どちらか一方の想いにならないよう、「同じ目標に向かって一緒に頑張っていく」という関係性を作るようにしましょう。
中学受験を始めるきっかけは「勉強が好き」でも、「良い大学に進みたい」でも、「希望する職業に就きたい」でも良いと思いますが、いずれにしろ「なんとなく受験してみよう」ではなかなか合格は勝ち取れません。
最後まで全力で走り抜けられるようにするためにも、「中学受験の先にどんな未来を見据えたいのか」について親子でしっかりすり合わせておくようにしましょう。
スケジュールをしっかり組む
中学受験の対策をどのタイミングで始めるかによって、中学受験にかけられる時間が限られてきます。
そのため中学受験を始めようと決めた際には、受験までの日数を逆算して、これからできることを着実にこなしていけるよう、無理のないスケジュールを立てるようにしましょう。
抱え込みすぎないよう、相談できる先・頼れる先を作っておく
中学受験のために家庭教師や塾を利用し、受験のノウハウを知り尽くしているプロに頼ることは、生徒様の不安や保護者様の負担を軽減するためにも効果的です。
しかし、その分費用もかかるものですので、通常の指導料・長期休みの講習費など、どのくらいかかるのか見積り、無理のない範囲で検討してみてください。
まとめ:東大卒元家庭教師から、これから中学受験を始める保護者様へ伝えたいこと
中学受験を考え始めるパターン・タイミングは様々ですが、基本的には保護者の側が先に意識をすることが多いかと思います。
始める前、始めた後で常に意識していただきたいことは、保護者・生徒様含め、中学受験を通して一体何を得たいのか、ということです。
ただ、それも中学受験に対する知識がないと解像度が上がらず、ぼんやりしたゴールになってしまいがちです。
保護者として、中学受験全体を通して最も意識していただきたいことは、今の中学受験、ひいては社会・教育全体について基本的な知識を持ち、それを踏まえて、中学受験を通して一体何を得たいのかを考え続けることです。
解像度高く、明確なゴールを生徒様と共有して持つことができていれば、どのような結果であっても、中学受験を通して保護者様・生徒様の今後の糧となる経験を得ることができるでしょう。
【参考文献】
中学受験で親ができる8つのこと!成功する親に共通する条件とは?
【中学受験】スケジュールはどう管理する?効率よく勉強するためのコツとは | ママソレ powered by ママ賃貸|子育てママのくらしがちょっぴり軽くなる生の声メディア | 教育
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